被扶養者からはずれて正社員になった私に「妻として出過ぎじゃないのか」とキレたモラハラ夫
オールアバウト / 2024年4月17日 22時5分
第二子を妊娠中に発覚した夫の浮気。以来夫のことは全く信用していない。数々のモラハラ発言もあり、よきところで離婚するために、資格も取り正社員にもなった。あとは、どこで切り出し、思い知らせるかのみだ。
努力をすれば絶対に報われるとは限らないが、努力をせずにすべてが思い通りになることはあり得ない。たとえば、5年前にピアノの練習を始めていたら、今はきっと2曲や3曲は弾けるはず。だが始めなかったら、今も弾けないのは当たり前。何か目標があるのなら、今、動き出さなければ5年後にはつながらないのだ。
勉強は大変だったけれど
就職した会社で3歳年上の彼と恋に落ち、妊娠を機に26歳で結婚、退職したマヤさん(45歳)。ふたり目の子を妊娠中、夫の浮気が発覚した。「悔しいというより悲しかった。私はいい家庭、楽しい家庭を作りたくて頑張っているのに、夫はそうではなかったんだと思って……」
ただ、そのときは夫が「魔が差した」と平謝り。これからは家庭を大事にすると約束したので、マヤさんも水に流そうと決意した。ところが、決意とは裏腹に、夫への信頼感が戻らない、愛情が目減りしていくと実感した。
「1度でも浮気されたら、私はもう相手を信用できないタイプの人間なんだとわかりました。水に流せる人もいるんだろうけど、私には無理だと。でもそのときは2歳の子を抱えて、私自身は臨月。離婚をするとしても今ではないと感じましたね」
愛情が目減りしていく感覚とともに
まずは子どもを産み育てなければならない。夫のことはお金を運んできてくれて、子育てを手伝ってくれる人だと割り切った。ふたりの子を育てていくうちに、マヤさんはどんどん強くなっていった。「自分でもわかるんです。夫にはごく普通に接しているし、大きな買い物をするときなどは夫を立てて相談するけど、いつも最終的には私の意見を通す。子どもの学校や塾選びなども、夫に相談という形をとるものの私の思いが通るようにプレゼンしてる(笑)。
夫はしょっちゅう、『きみは3~4年の社会人経験しかないから』『社会に疎いから』と言うんですが、どうせ私はバカだからねーと言いながら適当に受け流す。夫はそうだねと笑ってる。内心は悔しいけど、夫を気持ちよく生活させておけば、いざ何かあったときにもお金を出してくれる。そういう単純なところがあるので、夫の性格を利用しました」
そしてマヤさん自身は、いつか来る自立のときを目指して密かに勉強を重ねていた。
これからのことを考えて水面下で努力
30代半ばになって下の子が小学校に上がったころから、彼女はウェブ関係の勉強を始めた。それと同時に福祉関係の資格も取ろうと考えた。「通信教育を駆使しました。夫からは月ごとに生活費をもらっていたけど、夫がご機嫌ならどうしても足りないと言うと出してくれる。でももともと生活費はけっこう抑えていたので貯金ができていました。その貯金を使って勉強を始めたんです。将来、きちんと身を立てることができるように」
その一方で、パートで仕事をするようにもなった。夫の被扶養者でいられる額にとどめておいたが、それらも貯金に回した。近くに住む実母に事情を話して、子どもたちを預かってもらうことも多かったが、勉強も進み、資格も取った。それが功を奏して7年前にパート先で正社員となることができた。
「被扶養者からはずれることになったと夫に言ったら、夫はどうしてとびっくりしていました。トータルで考えても私がバリバリに働いたほうが計算上、いいからと言うと『オレが頼りにならないということか』『妻として出過ぎじゃないのか』とわけのわからないことを言い出して。
ああ、この人は自分が養ってやってるから妻は言いなりになるべきだと思っている人なんだなと感じましたね」
そして3年前、知人の紹介で彼女は同業他社に転職。年収は2割以上アップした。現在、19歳の長女は大学生に、16歳の長男は高校生になった。長男が大学に行くとしてもマヤさんの収入だけで生活はしていけそうだ。だが彼女はまだ離婚を口にしてはいない。
「長女が大学に入学するとき、彼女はやりたいことがあるからちゃんと学部を選んだのに、夫は『大学は文系なら法学部か政治経済関係以外はダメ』と言い放ったんですよ。どうして子どもの人生を父親が決めるわけと娘も私も大反発。結局、私がさっさと娘の合格したところにお金を払い込んでしまいました。
夫は『オレの言うことが聞けないのか』と大騒ぎしたけど、もう娘の行きたいところに払ってしまったからどうにもならない。私は夫に『子どもたちの人生なんだから、私たちは応援しかできないんだよ』と説得しましたが、夫は『おまえの育て方が悪い』とキレていましたね」
離婚の決意は固まった!
どんなに夫がキレようが、マヤさんの心は揺らがなくなっていた。だが、下の子が大学に入ったら離婚しようという決意も固まった。「たった1回の浮気だし、それからはなんとかやってきたのだから、今さら離婚しなくてもいいんじゃないのと母は言いますが、発覚したのが1回であって、その後も夫は浮気をしていると私は確信しています。でもそれが原因ではない。私が夫をどうしても信頼できなかったのが原因。
我慢を重ねたのは、やはり子どもたちにつらい生活をさせたくなかったから。ただ、先日、息子の進路を巡ってまたバトルになったとき、ついに私、子どもにも私にも見捨てられる老後が待ってるわよと言ってしまったんです」
夫はよほどショックだったのだろう、えっという顔をしたまま表情が固まっていたという。その後、「脅すなよ」と苦笑していたが、マヤさんは真顔を崩さなかった。
「たびたび言われたモラハラまがいの言葉はすべてメモしてあります。私が正社員になって、社会人経験が少ないと言えなくなってからは、夫はよく『きみの地頭で解決できる?』とか『仕事できてるの? 周りに迷惑かけてないの?』と言うようになった。どうしても妻を下に見なければ自分が生きていけない男って、あまりにも弱いですよね」
その弱さを、数年後に思い知らせてやりたい。努力を重ね、運も味方につけて自立したマヤさんからの離婚の申し出に、夫はどんな言葉を吐くのだろうか。
亀山 早苗プロフィール
明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。(文:亀山 早苗(フリーライター))
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