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逗子・海水浴客ら4人に重軽傷、無罪主張の米兵に懲役2年6月求刑

カナロコ by 神奈川新聞 2024年9月9日 22時0分

 2022年7月、逗子海岸近くの路上で海水浴客ら男女4人を後ろから突き飛ばすなどして重軽傷を負わせた米海軍人の男(31)の公判が9日、横浜地裁横須賀支部(片多康裁判長)で開かれ、検察側は懲役2年6月を求刑し、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は26日に言い渡される。

 検察側は論告で被告について「犯行当時、精神状態に異常はなく、周囲の状況を的確に把握できており、完全責任能力があった」と指摘。「無防備な被害者らに対する一方的な暴行であり態様は危険。自己の行為と真摯(しんし)に向き合う姿勢がない」と非難した。

 顔や手など6カ所を骨折した海の家を経営する女性(60)は被害者参加制度で出廷し「この事件は傷害ではなく無差別の通り魔事件。私はこの先も海で仕事をする。もしかしたら犯人が海に来るかも知れないという恐怖がある」と涙ぐみながら訴えた。

 弁護側は、被告の精神鑑定を務めた医師の判断が正当だと強調した上で事件当時、被告が多量の飲酒によるせん妄を伴う急性アルコール中毒だったと説明。「正常な精神状態でなく常の人格から離れていた。心神喪失状態で自らの行動を適切に判断できていなかった」と無罪を主張した。

 被告は事件当時、横須賀基地(横須賀市)を母港とするイージス駆逐艦ミリアスに乗り込む2等兵曹で、横須賀には通算10年ほど勤務。日本人の妻と幼い長男がいる。被告は最終意見陳述で「あの日は正常ではなかった。こんな事態になるとは予想がつかなかった。意図的にしたことではない」と訴えた。

 起訴状によると、被告は22年7月9日、逗子市内の路上で25~58歳(当時)の男女4人に相次いで体当たりして転倒させ、顔や体を足で蹴ったり、顔を路面に打ち付けたりする暴行を加え、打撲や骨折など約1週間~2カ月のけがを負わせた、などとされる。

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