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日産とホンダ統合協議開始 「ケイレツ」再編も加速 神奈川経済に影響必至 

カナロコ by 神奈川新聞 2024年12月23日 23時20分

 日産自動車がホンダと経営統合の協議に入った。販売台数世界3位の巨大連合が実現すれば、多層のサプライヤー(下請け)で構成される「ケイレツ」の再編も加速しそうだ。2千社近くが日産と取引する県経済への影響は必至だ。 

 23日の会見でホンダの三部敏宏社長が言及した「シナジー(相乗効果)」は七つ。サプライチェーン(供給網)の「高度化と最適化」は、そのうちの一つだ。統合後もそれぞれのブランドを存続し、重複する部品を共同調達して競争力を高める。

 完成車メーカーを頂点とする下請けの重層的な構造は「ケイレツ」と呼ばれる。帝国データバンク(TDB)が同日発表した集計(11月時点)によると、ホンダと日産のサプライチェーンはそれぞれ、2万2465社と1万9084社で裾野は広い。

 重複する取引先は9242社。年商10億円未満が7割を占め、中小企業が支えている。経営統合が実現すれば、サプライヤーは規格統一、電気自動車(EV)化、契約見直しといった対応を求められ、競争力が問われそうだ。

 TDB横浜支店情報部の横井大士さんは「サプライヤー間でもM&A(企業の合併・買収)の動きが加速する可能性もある」と指摘。自動運転やEV技術の需要拡大で成長が見込める一方、「取引が打ち切られ、ケイレツから淘汰(とうた)される恐れもある」とみている。

 東京商工リサーチ(TSR)によると、県内における日産の取引先(12月時点)は1757社。車体骨格のユニプレス(横浜市港北区)、足回り部品のヨロズ(同)、ドア内装部品の河西工業(寒川町)といった県内の1次サプライヤーも、ホンダやトヨタ自動車との取引を増やしているが、日産依存度はなお高い。自動車産業は県経済の基幹ともいえ、県財界幹部は「(ケイレツ再編は)県内の景況感に少なからず影響する」と注視している。

 主力市場で売れ筋のハイブリッド車(HV)を投入できず、EVも劣勢の日産は、今期中間決算の連結純利益が前年同期比で9割超落ち込んだ。TSRによると、国内取引先はこの半年で5.4%(762社)減り、深刻な経営不振が一因とみられる。車載ソフトウエア開発を手がける企業の役員は「来期以降の取引は全く読めない」と困惑している。

 自動車産業に詳しい佃モビリティ総研の佃義夫代表は取引先の「日産離れ」が進んでいるとみている。年間の販売台数計画と実績の乖離(かいり)が目立ち、「サプライヤーの信頼を損なっている」と指摘する。

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