最近のコンパクトSUVにおいて、トヨタからは「ライズ」と「ヤリスクロス」が登場しています。先に販売されているライズは販売台数ランキングでも上位をキープするほど好調ですが、新型ヤリスクロスの登場で販売面に変化はあったのでしょうか。
■トヨタコンパクトSUV「ライズ」&「ヤリスクロス」
近年人気を集めているSUVのなかでも、トヨタのコンパクトSUV「ライズ」は、ランキング上位の常連モデルとして高い人気を誇っています。
そんななか、同社から2020年8月31日に同じコンパクトSUVの「ヤリスクロス」が発売されましたが、ライズの売れ行きに変化はあったのでしょうか。
2019年11月5日にダイハツ「ロッキー」のOEM車として同時発売されたライズは、発売から1か月にあたる2019年12月4日時点で受注台数が約3万2000台、月販目標4100台に対して約8倍という好調な立ち上がりを見せました。
ライズは、シティからレジャーまで幅広いニーズに対応する「アクティブ・ユースフル・コンパクト」をコンセプトとし、全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mmというコンパクトな5ナンバーサイズです。
ダイハツの「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」をコンパクトカーに取り入れた初のモデルとなり、車両と歩行者を検知する衝突回避支援ブレーキ機能やブレーキ制御付誤発進抑制機能(前方・後方)などを採用したダイハツが展開する安全装備「スマートアシスト」を設定しています。
売れ行きは好調で、日本自動車販売協会連合会が公表する販売台数ランキングでは、2020年上半期に5万8492台を売り上げ1位を獲得。
直近の7月や8月は同社の「ヤリス」に1位の座を受け渡しますが、それに次ぐ2位にランクインし、ランキング上位常連モデルとして安定の人気を誇っています。
そんななか、同ブランドかつ同クラスのSUVとして登場したのが新型ヤリスクロスです。先行予約期間中に約1万2000台を受注。当初の月販目標4100台の3倍となり、9月上旬時点での納車時期は3か月待ちだといいます。
コンパクトカーの「ヤリス」をベースとした新型ヤリスクロスは、ヤリスブランドで築いてきた「走る楽しさへのこだわり」「クラスを超えた質感」を受け継ぎつつ、都市型コンパクトSUVを再定義することを目指して開発されました。
ヤリスと同様にコンパクトカー向けの「TNGAプラットフォーム(GA-B)」と、一新したハイブリッドシステムの採用などにより、高次元の基本性能と環境性能を実現。新型ヤリスクロスのボディサイズは、全長4180mm×全幅1765mm×全高1560mmと、ライズよりもひと回り大きいサイズです。
新型ヤリスクロスが登場したことで、ライズの売れ行きに変化はあるのでしょうか。最近のライズの販売状況についてトヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「ライズは発売してから半年以上経ちますが、今でも納車までに約3か月を要するほど売れていて、人気が高いモデルです。
ですが、ヤリスクロスが発売になってからは、同じコンパクトSUVで価格帯も似ているということもあり、比較されるお客さまが増えてきている印象はあります。
ただし、パワートレインでは大きく異なります。ライズは1リッターガソリンターボのみのラインナップですが、ヤリスクロスは1.5リッターのガソリン車と1.5リッターのハイブリッド車が設定されています。
また、機能や使い勝手でもダイハツとトヨタで異なるので、迷われるのは最初だけかもしれません」
■ライズ&ヤリスクロスはどのグレードが人気?
発売されてから順調に販売台数を伸ばしているライズですが、どのグレードが人気なのでしょうか。前出とは別のトヨタ販売店スタッフは次のように話します。
「ライズでは上位のZグレードを選ばれる人が多いです。ライズを購入するお客さまは、手頃なクルマが欲しいというよりは、『ライズに乗りたい』と思って選ばれる人が多いので、デザインや装備にこだわる傾向にあります。
Zグレードでは、フロントウィンカーがシーケンシャルターンランプになっていたり、ステアリングやシフトノブが本革巻き仕様になっているなど、Zグレードにしかない装備や内装デザインが設定されています。
そのため、デザインや装備にこだわりたいユーザーが多いライズでは、そういったこだわりの選択ができるZグレードが人気なのだと思います」
新型ヤリスクロスでは、どのようなグレードが人気なのでしょうか。前述の販売店スタッフは次のように話します。
「ヤリスクロスでも最上位のZグレードが人気です。その理由としては、LEDヘッドランプや18インチのアルミホイールが標準装備になっている点が大きいと思います。
LEDヘッドランプやアルミホイールは装着率が高いオプションとなり、XグレードやGグレードに個別で追加する人もいらっしゃいます。
どちらにせよオプション追加分の価格はあがってしまうので、ほかのオプションも合わせて色々追加してみた結果、複数のオプションを付ける場合には、それらがすでに標準装備されているZグレードを選ぶ傾向にあります。
また、新型ヤリスクロスにはゴールド系の『ブラスゴールドタリック』といった目立つ色も設定されるほか、2トーンカラーも選択可能です」
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ライズの価格(消費税込、以下同様)は、2WD仕様が167万9000円から206万円、4WD仕様は191万8800円から228万2200円です。
一方の新型ヤリスクロスの価格は、ガソリン車の2WD仕様では179万8000円から221万1000円で、4WD仕様は202万9000円から244万1000円です。
ハイブリッド車の2WD仕様は、228万4000円から258万4000円、E-Four(電気式4WD)は251万5000円から281万5000円となっています。
このようにガソリン車の価格帯は比較対象となりますが、それぞれのグレードによって機能面が大きく異なるので、実際の検討時には細かく見比べる必要がありそうです。