日産「スカイラインGT-R」の第二世代とされるR32型、R33型、R34型は日本のみならず世界で人気のモデルですが、基本的に日本仕様となる右ハンドルモデルしか存在していません。しかし、現在中東・ドバイで左ハンドルモデルが販売されているようです。
■海外仕様が存在しないはずのR34だけど…
日本が世界に誇るスポーツカーである日産「スカイラインGT-R」。海外仕様は、ほとんど存在しないといわれています。そんななか、R34型の左ハンドル仕様がドバイで販売されています。
日本のスポーツカーは、世界でも人気の高いジャンルのひとつです。グローバル化が進む昨今では、トヨタ「86」や「スープラ」のように世界中で販売されるのが一般的ですが、モデルによっては基本的に日本でしか販売されていないものもあります。
その代表格が「スカイラインGT-R」です。R35型と呼ばれる現行「GT-R」は発売当初から海外でも販売されていますが、それ以前は基本的に国内のみでしか販売されていません。
とくに人気が高いのがいわゆるR34型と呼ばれる、1999年から2002年にかけて販売されたモデルです。
国内での人気はもちろん、映画「ワイルド・スピード」シリーズで主人公の愛車として登場したことから、世界的にも人気の高いモデルとなっています。
一方、前述の通り基本的には国内仕様しか存在しないことから、左ハンドル仕様車はほぼ存在しません。
左側通行の日本では右ハンドルが一般的ですが、左ハンドルでも問題なくクルマを走らせることができます。
しかし、アメリカのように左ハンドル以外のクルマをそもそも走らせることができない国も多く、そうした国ではスカイラインGT-Rを登録することができません。
にもかかわらず、中東ドバイの中古車販売店では左ハンドル仕様のスカイラインGT-Rが販売されています。これはどういうことなのでしょうか。
■どうしても「スカイラインGT-R」に乗りたい!ドバイの人がとった選択肢は
ドバイをはじめとする中東では、砂漠の多い地帯ということもあり、トヨタ「ランドクルーザー」のようなタフなクルマが必要不可欠でした。
そうした影響もあり、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーの人気が比較的に高い地域だといえます。
2000年代に入り、ドバイを中心に経済が急激に成長したことで道路も整備され、都市部ではスーパーカーも増えてきましたが、同時に日本のスポーツカーを求める層も見られるようになってきました。
しかし、ドバイではアメリカ同様左ハンドル以外の走行が原則として認められていないため、左ハンドル仕様のクルマを走らせることができません。
そこで、一部の富裕層たちは、右ハンドル車を左ハンドルに変更するという「荒業」に出たのです。
実際、ドバイ周辺にはステアリング位置を変更する業者が少なくないといいます。
今回出品されたモデルも、そうした業者によってステアリング位置を変更されたものと思われます。しかし、その完成度は高く、一見すると純正のように見えます。
販売店によると、この個体は2002年式の後期型でグレードは1000台限定の「VスペックII ニュル」、走行距離は約19000kmです。
ワイルド・スピードと同じく、エクステリアカラーは「ベイサイド・ブルー」、インテリアカラーはブラックです。
搭載されるエンジンは、最大280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒の「RB26DETT」、トランスミッションは6速MTとどちらも純正です。
給排気系とホイールはニスモ仕様に換装されているほか、サスペンションはオーリンズ、ブレーキはブレンボ製のものが装着されています。また、スポイラーなど随所にカーボンパーツが採用されています。
気になるお値段は約1420万円。新車価格からするとかなりのプレミアがついていますが、近年R34型GT-Rは世界的に高騰しています。
とくに限定モデルの「VスペックII ニュル」は日本国内でも2000万円を超える個体も見られることから、決して「石油王価格」というわけではないようです。