最近では、「ミニバンからSUV」への乗り換えが増えつつあるといいます。とくに、3列シートSUVには一定数の需要がようですが、昨今の3列SUVではどのような変化が見られているのでしょうか。
■3列SUV販売に変化アリ? 2021年は新型モデル登場で再び注目を集めるか?
現在の国内SUV市場では、ボディサイズ、パワートレイン、シート数などユーザーニーズが多様化するにつれ、ラインナップは大きな変化を遂げています。
なかでも、ミニバンの代わりとして期待されているのが3列シートミニバンですが、昨今ではどのような変化があるのでしょうか。
国内のSUV市場では、全長4m以下のトヨタ「ライズ」やハイブリッド専用車となる日産「キックス」、3列シート専用車のマツダ「CX-8」などサイズやパワートレイン、シート数において選択肢が増えました。
そのなかで、ここ数年で3列シートSUVの動向に変化が見られています。
2021年1月現在、3列シートを備える国産SUVは、トヨタ「ランドクルーザー」「ランドクルーザープラド」、ホンダ「CR-V(ガソリン車)」、日産「エクストレイル(ガソリン車)」、そしてマツダがCX-8をラインナップ。
このなかで、CX-8は2017年12月にそれまでのミニバンラインナップに代わるモデルとして投入されました。
発表時にマツダは、「CX-8は、マツダらしい走りやデザイン・質感を備えながら、3列目まで大人がしっかり座れるパッケージングを実現した新型クロスオーバーSUVであり、多人数乗車とともに上質さをお求めになるお客さまへ向けた、マツダの新しい提案です」と説明しています。
また、2018年8月に国内市場に復活したCR-Vは、同車初となる3列シートをガソリン車に設定しました。
3列シートを導入した背景について、ホンダの商品企画課・安井貴政氏は次のように説明していました。
「新たな可能性として7人乗りを設定しました。3列目の居住空間は、『SUVの可能性をひろげる』というコンセプトです。
成人男性(身長170cm)では、頭上のスペースが若干狭いものの問題なく乗車できます。既存のミニバンユーザーにもきっと興味を示していただける内容となっているはずです」
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このように昨今の3列シートSUVは定番ジャンルとなるミニバンからの買い替え需要に対するひとつの選択肢として設定されているようです。
三菱では「アウトランダー(ガソリン車/3列シート)」と「アウトランダーPHEV(2列シート)」の2種類を展開していましたが、2020年10月には公式ホームページ上で、現行アウトランダー(ガソリン車)の生産終了をアナウンス。
2021年2月17日には北米向け新型アウトランダーをオンラインで発表するとしており、恐らくガソリン車は3列シートを継続採用すると見られています。
また、2021年夏頃にランドクルーザーがフルモデルチェンジするといい、現時点では複数のパワートレインが設定されると噂されております。
そのため、2021年にアウトランダーとランドクルーザーが登場するとなると、3列シートSUVに再びの注目が集まるかもしれません。
■なぜミニバンからSUVに? 利便性よりも格好を優先?
ファミリー層からの支持も高いミニバンは、スクエアボディに3列シート、そしてスライドドアを備えていることで、広い室内空間、多人数乗車が可能、荷物を多く積めるといったメリットが挙げられます。
その一方で最近のミニバンは進化しているものの、全高が高いことやスクエアボディが災いして、高速走行時の安定性などは必ずしも快適とはいえません。
それでも利便性の高さからミニバン人気は続いていますが、ユーザーの意識に変化があるといいます。
エクストレイルに2列/3列を設定する日産の販売店スタッフは、次のように話しています。
「ミニバンは、やはり家族連れのお客さまから支持されています。祖父母や友人と出掛ける際に3列シートは便利という声を聞きます。
ただし、最近では『3列目に人を乗せることは年に数回しかなく、移動時間もそれほど掛からない』という声もちらほら聞いています。
また、『かつて子供が小さかったからミニバンだったが、大きくなったのでSUVに乗り換えたい』という声も聞きますので、少なからずミニバンからSUVへの乗り換え需要は増えているのかと思います。
実際、セレナからエクストレイルに乗り換える人もおり、たまに使うかもしれないから3列シートに決めたという人もいます」
また、SUVラインナップではライズからランドクルーザー、ミニバンでは「シエンタ」から「アルファード」など、多彩なラインナップを誇るトヨタではどうなっているのでしょうか。
首都圏の販売店スタッフは次のように話します。
「トヨタでは、ミニバン、SUV共にラインナップが多いため、『ミニバンからSUV』という乗り換えだけでなく、各ジャンルから人気のSUVに乗り換えられる人がいる印象です。
また、これまでミニバンに乗られていたお客さまが『3列目を使わない』や『子供が成長したからSUVが良い』という声もあります。
ただし、最近ではアルファードの人気も高いため、先代ハリアーからアルファードへの乗り換えなどもあるため、どのジャンルからの乗り換えが多いかは一概にいえませんが、お客さまの要望は多様化していることは間違いないかと思います」
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3列シートSUVはあくまでもSUV人気におけるひとつの選択肢ですが、それでも以前よりはミニバンからSUVに移り変わる需要は増えているようです。
北米市場でも、ミニバンから3列シートSUVへの乗り換えが多いといい、トヨタ「ハイランダー」、ホンダ「パイロット」、日産「パスファインダー」、マツダ「CX-9」、スバル「アセント」など全長5m級のモデルが設定されています。
あると便利な3列目ですが、今後も続くSUVブームにおいて日本でも採用例が増えるのか気になるところです。