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日本上陸したBMW新型「M3/M4」の特徴は? そしてライバルとの関係とは?

くるまのニュース 2021年2月5日 19時10分

2021年1月26日に日本で販売を開始した、BMW新型「M3」と「M4」。大型化された縦型キドニーグリルを両モデルともに採用したのがニュースとなっているが、6速MT搭載モデルを用意したり、よりサーキット走行に重点を置いたトラックパッケージを設定したりと、話題も豊富にある。新型M3/M4の詳細と、そのライバル車について考える。

■新型「M3」「M4」とはどんなモデルなのか改めて考える

 BMWの日本法人である、ビー・エム・ダブリュー株式会社は、2021年1月26日におこなったオンライン新春記者会見において、新世代の「M3」「M4」をお披露目し、日本での販売を開始した。

 ちなみに、Mモデルのなかで新型M3/M4は、サーキット走行を可能とする「Mハイパフォーマンスモデル」という位置付けとなる。一方、すでに発売されていたM340i xDriveと、M440i xDriveはストリート主体の「Mパフォーマンスモデル」。つまり、現在のMモデルには性格の異なるふたつのバージョンが用意されているのだ。

 さらに、今回のM3/M4では、スタンダードモデル、より性能を高めた「Competition(コンペティション)」、サーキット走行に特化した「Competition Track Package(コンペティション・トラック・パッケージ)」という、3グレードが用意された。

 ただし、スタンダードはM4のみで、M3にはスタンダードがない。車両価格は、M3コンペティションが1324万円、M3コンペティション・トラック・パッケージが1436万円、M4が1298万円、M4コンペティションが1348万円、M4コンペティション・トラック・パッケージが1460万円となる。

 新しいM3/M4のボディは、ベースの3シリーズや4シリーズよりも全幅を大きく拡大しており、M3で1905mm、M4で1885mmの全幅を誇る。ルーフはカーボンとなり、ドアミラーやリアスポイラーにMモデル専用品を装備。迫力あるMスポーツ・エキゾーストマフラーとディフューザーも装着されている。

 足回りは、Mアダプティブ・サスペンションに、6ポッドMコンパウンド・ブレーキを装着。オプションにカーボンセラミックブレーキも用意されている。アルミホイールは、フロント19インチ/リア20インチの異径サイズ。もちろんスポーツデフも標準装備となる。

 エンジンは、すべて3リッター直列6気筒ツインターボを搭載。スタンダードのM4が最高出力480ps・最大トルク550Nmで、他グレードは最高出力510ps・最大トルク650Nmとなる。組み合わされるトランスミッションは、スタンダードのM4のみ6速MTで、その他は8速MステップトロニックATだ。

新型M3コンペティション/M4コンペティション用の3リッター直列6気筒ツインターボ「S58B30T0」。510ps/6250rpm、650Nm/2750-5500rpmを絞り出す

 今回のM3/M4の大きな特徴は、サーキット特化型のトラックパッケージ以外は、普通の3シリーズや4シリーズと同じように先進運転支援システムが用意されていることだ。3眼カメラを使ったハンズオフ機能も使えるというのが、これまでのM3/M4との大きな違いとなる。

 逆にトラックパッケージは、そうした先進運転支援システムを搭載しないことで、他グレードに比べ約25kgもの軽量化を実現。カーボンブレーキやカーボンバケットシートなども標準装備となっている。

■BMW M社の歴史とライバル「AMG」「RS」との関係

 BMWのMモデルのルーツは、1972年に設立された「BMWモータースポーツ社」にある。現在の「BMW M GmbH(BMW M社)」だ。

 サーキットで戦うために車両やエンジンを開発していた同社が生み出した量産車が、1979年に登場した「M1」や1985年の初代「M3」そして「M5」であった。

初代E30型M3(写真は1988年製Evo1)

 初代M3(E30型)の主眼はレースであったが、1993年の第2世代(E36型)以降からは、ストリート向けハイパフォーマンスカーという道を歩み出す。初代M3から2ドアと4ドアが用意されていたが、2014年登場の先代の第5世代(F80/F82型)から、クーペがM4、セダンがM3となっている。

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 BMWのDセグメントモデル、3シリーズと4シリーズをベースにしたハイパフォーマンスモデルがM3/M4。これのライバルとは、同じドイツブランドのメルセデスAMG「Cクラス」とアウディの「RS4/RS5」だろう。

 AMGは、もともとメルセデス・ベンツとは別の会社であり、1960年代からチューニングカーを製作してレース活動をおこない、そこで目覚ましい活躍をあげていた。

 その後、1990年代からAMGはメルセデス・ベンツの本社に接近し、2000年代以降はメルセデス・ベンツのモータースポーツ部門として機能するようになる。また、同時にAMGモデルは、メルセデス・ベンツラインナップのレギュラーモデルとして販売されることになったのだ。

 現在、メルセデス・ベンツにおけるAMGモデルは、コンパクトハッチバック「Aクラス」から始まり、「Sクラス」、「SLクラス」などのセダンやクーペだけでなく、「GLA」や「Gクラス」などのSUVにまで及ぶ。メルセデス・ベンツのほぼすべてのラインナップにAMGが設定されているのだ。

 そのなかでM3/M4のライバルとなるのがメルセデスAMG Cクラスだ。トップモデルとなる「AMG C63 S」は、最高出力510ps・最大トルク700Nmを発生する4リッターV型8気筒ツインターボエンジンを搭載する。

メルセデスAMG「C63シリーズ。欧州ではセダン、クーペ、ツーリングワゴン、カブリオレに設定される

 同じように、アウディの子会社「アウディスポーツGmbH」が開発するハイパフォーマンスモデルがRSだ。

 RSモデルもAMGモデルと同様、コンパクトモデル「RS3」からSUVの「RS Q3」、ワゴンモデルの「RS4アバント」2ドアクーペ「RS5クーペ」と4ドアクーペの「RS5スポーツバック」「RS7スポーツバック」まで幅広く用意している。

 M3/M4のライバルに該当するのが、「RS4アバント」「RS5クーペ」と「RS5スポーツバック」となる。搭載するのは、最高出力450ps・最大トルク600Nmの2.9リッターV型6気筒ツインターボで、駆動方式はアウディ自慢の4WD、クワトロだ。

アウディ「RS5スポーツバック」

 BMW M3/M4にメルセデスAMG C63S、アウディRS4アバント、RS5クーペ/スポーツバックの3者はすべて、各社のモータースポーツ部門が仕立てた超ハイパフォーマンスモデルだ。

 そしてMとAMGとRSは、各社のレーシングテクノロジーを惜しみなく投入しつつ、BMWとメルセデス・ベンツ、アウディのいわば最上級グレードとして、コンパクトカーからSUVまで幅広く設定しているところは3ブランド共通になる。

 だが、今回日本に上陸した新型M3/M4は、当初から6速MTモデルを用意したり、よりサーキットでの走りを重視したトラックパッケージを用意するのが、メルセデスAMG CクラスやアウディRS4/RS5とは異なっている。それこそが「駆けぬける歓び」を謳うBMWらしさといえるだろう。

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