いまや日産を代表する電動技術となった「e-POWER」。最近の新車販売でも日産のTOP3はe-POWERを搭載するモデルが占めています。e-POWERには、どのような魅力があるのでしょうか。
■e-POWER搭載車は好評?ユーザーの声はいかに
最近の日産における販売台数TOP3は、「ノート」、「セレナ」、「キックス」といったe-POWER搭載車をラインナップするモデルが占めています。
実際に、e-POWER搭載車はどのように評価されているのでしょうか。
自動車販売協会連合会(自販連)が発表した2021年1月と2月における日産の販売台数では、e-POWERが搭載されているノート、セレナ、キックスがそれぞれ日産のTOP3を占めています。
ノートのe-POWER搭載車は2代目から搭載されており、2020年12月に発売された3代目の現行モデルはe-POWER専売車となっています。
セレナのe-POWERは、2018年3月に現行モデルへ追加設定。キックスは2020年6月に国内の日産車として10年ぶりのブランニューモデルとして登場。3代目ノート同様にe-POWER専売車です。
このように、日産のなかではe-POWER搭載車が好調に見えます。実際にユーザーからはどのように評価されているのでしょうか。
e-POWER搭載車の人気について、日産の販売店スタッフは以下のように話します。
「e-POWER搭載車を検討されるお客さまには、特徴である力強い加速感と、それにもかかわらず燃費が優れているという点に興味をもっていただいています。年齢層については、30代までの若い世代が多い印象です」
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また、実際の購入者からは、次のような声があるといいます。
「このドライブフィールや回生ブレーキの便利さを体感すると、たとえハイクラスでもガソリンエンジン車には戻れません」
「高速でアクセルを強く踏み込むとき、カーブの吸い付き感、モーター加速で他をグイグイ鋭く追い越していく」
駆動方式はEV同様のe-POWERだからこその利点が目立つといえるでしょう。
■e-POWERはGT-R開発のノウハウが継承されて誕生した?
e-POWERについて、日産は「EVのように滑らかで、スポーツカーのように気持ちいい。それが電気の力で走る『e-POWER』です」といいます。
このスポーツカーのようにという部分では、日産が世界に誇るスーパースポーツ「GT-R(R35型)」のDNAが継承されているようです。
GT-Rに搭載されるVR38DETTエンジンを開発した1人であるパワートレイン・エンジニアの仲田直樹氏は、長年にわたってガソリンエンジンの開発を担当してきました。
その後、電気自動車「リーフ」の電動パワートレインを開発することになり、初代リーフを担当することになった際、GT-Rの開発で得た経験やノウハウを活かしたといいます。
そして、リーフの100%モーターのみで駆動するドライビングフィールはe-POWERにも継承されました。
e-POWERは、ほかのハイブリッドカーとは大きく異なります。エンジンで発電した電気をリチウムイオンバッテリーに蓄え、高出力の電気モーターのみで走行します。
そのため、ドライビングフィールはEVの走りそのものですが、ガソリンを給油すれば、航続距離を気にすることなくどこまでも走ることが可能です。
e-POWERの開発時について、前出の仲田直樹氏は次のように話します。
「『e-POWER』は一見シンプルなシステムに見えるので、簡単につくれそうと思われる人もいるかもしれません。
実は逆にシンプルであるからこそ難しいのです。走行に使う電気と発電量のバランス、エンジンをかけるタイミング、バッテリーの大きさ(容量)など、さまざまなシーンでお客さまにご満足いただけるようにしっかりと造りこんできました。
いろいろな道を走っては議論を重ね、改良したらまた走って確認する。この繰り返しでした」
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今後のe-POWERについて、2021年2月26日に日産は次世代e-POWER向け発電専用エンジンで、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を発表しました。
現在、自動車用ガソリンエンジンの平均的な最高熱効率の限界は40%台前半が限界とされていましたが、日産が実現した熱効率50%はエンジン開発において革新的なものだといいます。
また、欧州市場では1.5リッター可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載する新型「キャシュカイ」の存在を明らかにしているなど、e-POWERの進化は続いていくようです。