2015年12月発売から6年目を迎え、モデル末期に突入したといえるトヨタ「プリウス」。2020年度販売台数では13位にランクインしましたが、同じトヨタ内や他社からライバルが登場するなかで、プリウスにはどのような魅力があるのでしょうか。
■ライバル多数、プリウスの魅力は?
ハイブリッド車の代名詞ともいえるトヨタ「プリウス」の現行モデルは、発売から6年目を迎えています。
2020年には、後発の新型モデルが続々と登場したことで、発売当初の勢いはないものの、月間販売台数はコンスタントに4000台を上回っています。
現在、プリウスを購入する人は、どのような部分を魅力と感じているのではないでしょうか。
現行プリウスは2015年12月に発売され、2016年、2017年は年間・年度ともに登録車のなかでもっとも販売台数が多くなったほか、2019年も年間では同台数順にて1位に輝いています。
しかし、2020年では年間12位(6万7297台)、年間13位(5万9160台)となるなど、大きく順位を落としました。
その背景には、2019年9月に同じトヨタから「カローラ(セダン)」と「カローラツーリング(ワゴン)」が登場したことが大きいといわれています。
これは、セダンのカローラ(ハイブリッド車)がプリウスと類似するパッケージを持っているうえ、安全快適機能などが後発のカローラのほうが上な部分もあることから、プリウスからの乗り換え需要が多くなっているようです。
また2020年2月には、プリウスよりも小さな「ヤリス」が発売され、燃費性能は世界トップクラスを誇るなど、プリウスとその弟分となる「アクア」からユーザーが流れているといいます。
さらに、トヨタ以外からも多種多様なハイブリッド車が登場したことで、かつてほど個性を主張するのが難しいなかで、プリウスの立ち位置はどのように変化したのでしょうか
トヨタの販売店は、現在のプリウスの立ち位置について、次のように話します。
「世界初の量産型ハイブリッド車であるプリウスには、登場以来先進的なイメージをアピールしていますが、現在では、そのイメージが世間一般にも広く浸透しています。
その結果、保守的なお客さまにとっても受け入れられやすい『最先端のクルマ』となっているように感じます」
一方、別の販売店は、次のように分析します。
「『いつかはクラウン』のキャッチコピー通り、『クラウン』にステータスを感じ、あこがれを持つお客さまがいらっしゃるように、ステータスとしてプリウスを選ばれる人が少なからずいらっしゃいます。
かつて、ハリウッドセレブがプリウスに乗ることで環境意識の高さをアピールしたことで北米でプリウスが話題になりました。
その影響は今も続いていて、環境問題に敏感な個人のお客さまや、法人のお客さまの需要につながっています。
日本国内でも、高額所得者の人がプリウスを選ばれるというケースもあるようです」
■ハイブリッドが普通になっても、プリウスは特別
では、実際にプリウスを所有するオーナーはなぜプリウスを選んだのでしょうか。
現行モデルを所有する60代の男性は次のようにプリウスの魅力を語ります。
「プリウスには、未来のクルマのアイコンとして、ほかの車種とは違う『カリスマ性』があるように思います。
私のような60代の人間にとっては、プリウスは完全に『未来のクルマ』というイメージであり、ほかのハイブリッド車とは異なる、特別な存在と感じます」
また、別のオーナーは、競合車と比較してプリウスを選んだ理由を次のように話します。
「私は、購入時に日産『リーフ』も候補にありましたが、価格や航続距離の面からプリウスを選びました。
環境のことを考えると、やはり燃費のいいクルマに乗りたいと思いますが、先進的なイメージのあるプリウスは、誰が見ても地球に優しいと伝わる点も魅力に感じます」
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ハイブリッド車のラインナップが増え、さらにはプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)、そして燃料電池車(FCV)といった次世代のエコカーも登場している昨今では、プリウス以外にも多くのエコカーの選択肢があります。
しかし、それでもプリウスを選ぶユーザーが少なくないのは、ハイブリッド車のパイオニアとして築き上げたブランドが大きく影響しているようです。
発売から6年目となった現行プリウスですが、すでに次期型プリウスに関する噂も出てきています。
ハイブリッド車が当たり前となったいま、次期型プリウスはどのような進化を見せるのか、注目です。