トヨタ新型「アクア」とトヨタ「ヤリス」は、共にトヨタを代表するコンパクトカーですが、どのような違いがあるのでしょうか。
■同じトヨタのコンパクトカー…ではないのです!
2021年7月19日にトヨタのコンパクトカー新型「アクア」が発売されました。
同社には同じコンパクトカーとして「ヤリス」もラインナップされますが、新型アクアとヤリスにはどのような違いがあるのでしょうか。
アクアの初代モデルは2011年に発売。トヨタ「プリウス」の弟分のハイブリッド専用としてデビューしました。
その後、登録車販売台数(国内)で2013年、2014年、2015年と1位なったほか、初代発売から2021年5月末まで約187万台のグローバル販売実績を誇るなどトヨタを代表するコンパクトカーです。
一方のヤリスは、「コンパクトカーの域を超える、新世代コンパクトカー」として、2019年10月に世界初公開されました。
グローバル市場では歴代を通じてヤリスでしたが、日本ではそれまで「ヴィッツ」という車名で販売されていたものの、このモデルからヤリスに統一されて展開されています。
新型アクアとヤリスは共にトヨタのTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用。
なお、GA-Bや新開発の「1.5リッター直列3気筒ダイナミックフォースエンジン」、「新世代ハイブリッドシステム」はヤリスに初採用された後、新型アクアでも専用セッティングを施して搭載されています。
さらに、先進安全機能においてもヤリスで初採用された高度駐車支援システム「Advanced Park」が新型アクアにも搭載されるなど、基本的な部分は似ているといえます。
しかし、ボディサイズやデザインでは異なります。
ボディサイズは、新型アクアが全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm-1505mm、ホイールベース2600mm。
ヤリスは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm-1515mm、ホイールベース2550mmとなっており、ヤリスのほうがよりコンパクトなモデルです。
また、デザインでは新型アクアのエクステリアは、前後に伸びやかなモノフォルムシルエットのキャビンと、左右に張り出したリアフェンダーを組み合わせています。
対して、ヤリスは徹底的にムダをそぎ落したキャビンとボディ中心から前後タイヤに向かう引き締まった造形でアクティブな走りを予感させることを目指しました。
新型アクアのインテリアは、機能をひとくくりに集約し、シンプル・クリーンかつ上質な空間を表現。
さらに、操作性・視認性に優れた10.5インチ大型ディスプレイオーディオをトヨタコンパクトカーとして初採用しています。
ヤリスのインテリアは、ムダをそぎ落として広さと快適さを確保し、運転に集中できる空間を表現。
また、トヨタ初となったフードレス双眼デジタルTFTメーターや、ソフトインストルメントパネルを採用したほか、コンソールの幅を広くし収納スペースを拡充するなど、ワンクラス上の室内空間を目指しました。
このように、新型アクアとヤリスでは、基本的な部分を共有しながらこれまでのコンパクトカーを超える質感や機能を重視していることがわかります。
では、トヨタとして新型アクアとヤリスの立ち位置はどのように考えているのでしょうか。新型アクアの開発責任者は次のように説明しています。
「新型アクアとヤリスのボディサイズは似ていますが、新型アクアは先代から引き続き、ダウンサイザーのユーザーを想定しています。また、日常でのユーティリティに振っています。
一方ヤリスは『操る楽しみ』を大切に、運動性を重視。エントリー価格が安いのも特徴です。
また、国内のコンパクトカー市場は大きいため、トヨタでは新型アクアとヤリスを揃えることでお客さまの幅広いニーズに対応します。
なお、1番の違いとしては、ヤリスはグローバルモデルですが、2代目となる新型アクアは日本国内のみの販売を当面は予定しています」
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価格面では、新型アクアは初代モデル同様にハイブリッド車のみとなり198万円(2WD)から259万8000円(E-Four)です。
対してヤリスは、ガソリン車が139万5000円(2WD)から216万9000円、ハイブリッド車が199万8000円から252万2000円となり、価格ではほぼ同等となります。
■走りの面ではだいぶ個性が異なる?
新型アクアとヤリスは、走行性能の部分となる「走り」では異なるようです。
まず共通する特徴として、低燃費なコンパクトカーということが挙げられます。
新型アクアでは、「リチウムイオン電池」と「バイポーラ型ニッケル水素電池(世界初)」を搭載しており、WLTCモード燃費では30.0km/Lから35.8km/Lです。
一方のヤリスは、ガソリン車が19.6km/Lから21.6km/L。ハイブリッド車では35.4km/Lから36.9kmとなり、どちらも世界トップクラスの低燃費を誇っています。
走りの特徴では、パワートレインの違いとして新型アクアは前述の1.5リッター直列3気筒エンジン+モーターを組み合わせているほか、2WD/E-Fourを設定。
バイポーラ型ニッケル水素電池仕様では、バッテリー出力が高まったことで応答性や加速感が向上したほか、トヨタ初となる回生によって減速度を増大させる「快感ペダル」を採用しました。
これらにより、コンパクトカークラストップレベルとなる低燃費とHEVらしい軽快な走りを高次元で両立しています。
一方のヤリスでは、1リッター/1.5リッターエンジンのガソリン車と新型アクアと同じ1.5リッターエンジン+モーターのハイブリッド車に、それぞれ2WD/4WD(ハイブリッドはE-Four)を組み合わせて設定しています。
ヤリスでは、GA-Bを活かした軽量かつ高剛性、低重心なボディを開発。
先代モデルに比べ車両重量を50kg軽量化、ねじり剛性を30%以上強化、重心高を15mm下げ、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を両立しました。
これらによって軽快かつ上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現。軽快で走る楽しさを体感出来ます。
それぞれの販売動向について、トヨタの販売店スタッフは次のように説明しています。
「ヤリスは、2020年2月の発売から好調で、若年層から高齢層、個人から法人と幅広いお客さまから支持されています。
とくに、ヤリスは前席重視のクルマといわれることもありますが、その印象もありパーソナルカーとして使用されるケースが多いようです。
一方でアクアは、先代・新型ともにヤリスと同じようなお客さまから支持されています。
ただし、新型ではフルモデルチェンジしたことで居住空間が拡大したこともあり、全席を使う傾向の人からも検討対象となっています」
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現在、一般社団法人 日本自動車販売協会連合会が公表するヤリスの販売台数は「ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス」が合算された台数でカウントされています。
今後、新型アクアが単体でどれほどの販売台数を築けるかに注目が集まります。