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なぜクルマのドアノブ「フラット型」減った? いまや「グリップ型」が主流の理由は? 一部で「フラット型」残る訳

くるまのニュース 2022年3月15日 9時10分

クルマの性能とともに、デザインも変化を続けています。そのひとつとしてドアノブが挙げられます。かつては「フラップ型」が主流でしたが最近では「グリップ型」へと変化しています。そこにはどういった理由があるのでしょうか。

■フラップ型からグリップ型へ!握りやすさ以外にも理由が?

 クルマの性能は時代とともに進化を続けていますが、実はデザインも少しずつ変化しています。

 かつてのドアノブといえば「フラップ型」が主流でしたが、最近では「グリップ型」へと変化しているようです。

 なぜ、ドアノブのデザインは変化しているのでしょうか。

 クルマの乗降において、何気なく触れているドアハンドルですが、昔と今ではデザインに違いが見られます。

 かつてのドアハンドルで多かったのがフラップ型と呼ばれる形状で、小さな板のような形状のドアハンドルを上に押し上げるようにして、ドアをオープンする機構です。

 モデルによっては、横から手を入れて手前にハンドルを引くタイプもありました。

 一方、最近見かける「グリップ型」と呼ばれるドアハンドルは、見た目的にはバーのような形状になっているのが特徴です。

 こちらは、上下好きなほうからドアハンドルを握り、手前に引くことでドアがオープンする仕組みとなっています。

 現在でもフラップ型を採用しているモデルは見られますが、かつてに比べると少なくなっており、それに置き換わるかたちでグリップ型が普及しています。

 なぜフラップ型は減り、グリップ型が増えているのでしょうか。

 マツダの広報担当者はドアハンドルの変化について、以下のように話します。

「グリップ型のドアハンドルへの移行は、使い勝手の良さが最大の理由のひとつです。

 グリップ型には、どこからでも手を入れやすく、ドアの開閉がしやすいという特長があります。

 また、フラップ型に比べ、グリップ型のほうがドアを開ける際の力が削減されるというメリットもあり、万が一の事故などでも、外側からドアを開けやすくなっています」

 さらに、フラップ型はグリップ型よりも耐久性に劣る面があったため、ドアが凍結しやすい寒冷地などにおいて、ドアハンドルが破損する事例が多かったようです。

 少ない力で効率良くドアを開けることができるのは、グリップ型の大きな魅力といえそうです。

 なお、ホンダの広報担当者もグリップ型への移行について「グリップ型では、操作時に手のひらを反らさずに開けることができるなど使い勝手が向上するためです」と、マツダと同様の理由を説明しており、「使い勝手」がドアハンドルの変化の大きな理由となっています。

 さらに、マツダの担当者によると、フラップ式では、ネイルをしている女性がドアを開けづらかったり、ネイルがボディにあたってクルマが傷つく、もしくはネイル側に傷が入るといった問題もあったようです。

 また、フラップ型では、冬に手袋をつけたままドアを開けることも難しく、寒冷地のユーザーの頭を悩ませていましたが、そうした問題はグリップ型へ移行したことでかなり改善されました。

 ドアハンドルのフラップ型からグリップ型への変化は、そうした機能面でかなり効果的なものであることがうかがえます。

■一枚板が美しい?ドアハンドルの美学

 しかし、前述したようにフラップ型のドアハンドルは、採用がなくなったわけではありません。

 実際に「NSX」や「ヴェゼル」(ヴェゼルはリアドアのみ採用)では、フラップ型を採用しているといいます。

 では、フラップ型のドアハンドルにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

 ホンダの担当者によると、NSXやヴェゼルでは「デザインを優先してフラップ型を採用している」といいます。

 フラップ型には、クルマのドアを“一枚板”に見せる効果があります。

 ドアハンドルの存在感を限りなく薄くすることで、ボディのラインをより伸びやかに表現し、モデルごとのキャラクターを強調できるというメリットがあります。

 例えば、スポーツカーの場合には、より流動的でスピード感のあるフォルムが演出でき、SUVであればボディのラインを際立たせ、「カタマリ感」を強調することが可能です。

ホンダ「ヴェゼル」ではフロントドアに「グリップ型」、リアドアに「フラット型」を採用している

 さらに、フラップ型のメリットについて、マツダの広報担当者は「空力が良い点が挙げられます」と話します。

 フラップ型はドアハンドルがボディとフラットに近い状態なので、グリップ型に比べて空気抵抗が少ない特性をもちます。

 そのため、スポーツ走行が目的とされたスポーツカーでは、とくにフラップ型が有効的です。

 加えて、風切り音を軽減することもでき、静音性の観点でも効果が期待できます。

 最近では採用が減ったフラップ型ですが、デメリットだけでなく、こうしたメリットもあり、今後かならずしも無くなる訳ではないようです。

 ちなみに、2020年10月に発売された「ホンダe」では、フロントドアに格納式のドアハンドルを採用。鍵を解錠することでドアハンドルが飛び出る仕様となっており、その後のドアの開け方はフラップ型のようなかたちです。

 なお、リアドアは通常のフラップ型となっており、ホンダの担当者によると、ホンダeのドアハンドルもデザイン性を優先して開発されているそうです。

※ ※ ※

 また、商用車の多くはフラップ型を採用している例が多くあります。

 その理由ついてダイハツの担当者は「商用車の場合、出来るだけ室内空間を確保するためにフラット型を採用していることがあります」と説明しており、前述の使い勝手同様にデザインよりも機能によることが挙げられていました。

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