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トヨタ新型「ヴォクシー」はハイブリッドがお得!? ガソリン高騰でコスパに異変! HVが“元取れる”条件

くるまのニュース 2022年5月16日 7時10分

ハイブリッド車はガソリン車に比べて価格が高いことからかなりの距離を走らないと元が取れないといわれていました。しかし昨今のガソリン高騰により、ガソリン車とのコスパに異変が起きているようです。

■ガソリン高騰で燃費の良いクルマのほうがお得に乗れる!?

 いま話題の新型車といえば、ミニバンのトヨタ新型「ノア/ヴォクシー」やホンダ新型「ステップワゴン」です。これらの車種に共通することは、ハイブリッドが設定されていることです。

 ハイブリッドシステムは1997年に発売されたトヨタ初代「プリウス」から搭載が開始され、この後、急速に普及。いまでは小型/普通車販売ランキングの上位に入る車種のほとんどにハイブリッド車が用意されています。

 2021年度(2021年4月から2022年3月)に国内で新車として販売された小型/普通車乗用車のうち、ハイブリッド車が45%を占めました。

 充電の可能なプラグインハイブリッド車と電気自動車は売れ行きが乏しく、販売比率も各1%ずつですが、ベーシックなハイブリッド車は好調です。

 ダイハツ「ロッキー」&トヨタ「ライズ」やホンダ「シビック」のようにハイブリッド車を追加する車種もあり、選択肢は今後も増えそうです。

 新車の販売店では、ハイブリッド車の売れ行きについて、以下のように述べています。

「最近はハイブリッド車が普通の選択肢になりました。低燃費による燃料代の安さがメリットで、給油回数を減らせる便利さも人気の理由です。

 とくに最近はガソリン価格が1リッター当たり170円を上まわり、従来以上にハイブリッド車が注目されています」

 このコメントにある通り、ガソリン価格が高騰すると、燃費性能の優れたハイブリッド車を選ぶメリットも強まります。

 ガソリン価格が1リッター当たり135円から170円へと高くなると、ハイブリッドによって節約できる金額も約1.3倍に増えるからです。

 しかも最近は、ハイブリッド車とガソリン車の価格差が縮まる傾向にあります。

 かつてハイブリッド車の価格は、ガソリン車に比べて40万円から60万円高かったですが、いまは価格差が40万円を下まわる車種も増加。

 例えば2019年に発売されたトヨタ「カローラ」(セダン)の「S」グレードで、ガソリン車とハイブリッド車の価格を比べると、ハイブリッド車が43万4500円高いです。

 しかし2021年に発売されたトヨタ「カローラクロス(Sグレード)」は、カローラセダンと共通のエンジン、ハイブリッドシステムを搭載しながら、価格差を35万円に縮めました。

 新型ノア/ヴォクシーも売れ筋グレード同士で比較すると、ガソリン車とハイブリッドの価格差は35万円です。

 今後の環境性能に対するニーズの高まりや、2030年度燃費基準への対応などを考えると、ハイブリッド車を含めた電動車をさらに増やす必要がありますが、昨今の好調な売れ行きによってコスト低減も可能になり、ガソリン車との差額が縮まっているといえます。

■新型ヴォクシーHVは何キロ走ればガソリン車よりお得になる?

 しかも今はガソリン価格が高騰しており、ハイブリッド車とガソリン車の価格差を燃料代の節約で取り戻せるまでの走行距離も短くなっています。

 たとえば人気の高い新型「ヴォクシーS-G・2WD」では、ガソリン車の価格は309万円、ハイブリッド車は344万円です。

新型「ヴォクシー ハイブリッド」のエンジン

 ガソリン車と比べると、価格はハイブリッドが35万円高いですが、購入時に納める税額は12万5000円安く、そうなると税額を含めた実質価格差は、22万5000円に縮まります。

 そしてヴォクシーS-G・2WDのWLTCモード燃費は、ガソリン車が15.0km/L、ハイブリッド車は23.0km/Lです。

 レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり170円なら、1kmの走行に要するガソリン代は、ガソリン車が11.3円、ハイブリッド車は7.4円。ハイブリッド車が燃料代の節約によって22万5000円の実質価格差を取り戻せる走行距離は約5万8000kmです。

 1年間に1万kmを走るとして約6年、1万5000kmを走る場合は約4年で実質価格差を取り戻せます。それ以降は、走行距離が伸びるほど、ハイブリッド車は一層割安になります。

 しかもハイブリッド車はモーター駆動を併用するため、ガソリン車よりもノイズが小さく、加速も滑らかで、これらの満足感が高いこともハイブリッド車の特徴です。

 またハイブリッド車には100V・1500Wの電源コンセントを標準装着、あるいはオプション設定している車種も多いです。ヴォクシーでは、ハイブリッドS-Gには4万4000円でオプション設定され、「S-Z」には標準装着されています。

 電源コンセントが100V・1500Wに対応していれば電子レンジなどの家電も使えるため、災害時には非常用電源としても機能します。

 これらのメリットも含めると、ガソリン車とハイブリッド車の価格差が35万円で、実質価格差を約5万8000kmで取り戻せれば買い得でしょう。

 ハイブリッド車がお得になる車種は、ガソリン車との価格差が小さく、燃費数値の開きが大きいモデルです。

 新型ヴォクシーはその典型で、税額まで含めた実質価格差が22万5000円に収まります。加えてハイブリッドのガソリン代はガソリン車に比べて35%節約できるなど、有利な条件が重なりました。

 実際、新型ヴォクシーの新車販売総数のうち、約60%をハイブリッドが占めているそうです。

なお、初回車検時に納める自動車重量税も、ハイブリッド車であれば1万円少々安くなります。

 また、短期間で売却する場合、ハイブリッド車なら売却額が高くなるなど、ハイブリッド車は、燃費以外にもお金を節約できる要素が多いといえます。

 一方、コンパクトカーの場合、たとえばホンダ「フィット ホーム」のガソリン車とe:HEV(ハイブリッド)の価格差は34万9800円。税額の違いにより、購入時の実質価格差は32万4200円に縮まります。

 そしてレギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円として、ハイブリッド車が価格差を取り戻せる距離は約13万kmです。

 フィットは価格が安く、購入時に納める環境性能割の税額も下がり、ガソリン車とハイブリッドの実質価格差は前述の32万4200円。価格が高い新型ヴォクシーの22万5000円ほど縮まりません。

 さらにWLTCモード燃費も、ガソリン車が20.2km/L、e:HEVは28.6km/Lです。

 e:HEVが節約できる燃料代は29%で、新型ヴォクシーの35%を下まわります。つまりフィットの場合、ヴォクシーに比べてガソリン車とハイブリッド車の実質価格差が大きく、燃料代の差は小さいので、取り戻す時の条件が不利になるのです。

※ ※ ※

 コンパクトカーのハイブリッド車はあまりお得になりません。

 新型ヴォクシーやカローラクロスといったミドルサイズ以上のミニバンやSUVで、価格帯が高く、ガソリン車とハイブリッドの実質価格差は小さく、なおかつ燃費の差が大きな車種ならハイブリッド車が買い得です。

 カテゴリーや車種によって、ガソリン車とハイブリッド車の損得勘定が変わるので、購入時に試算してみると良いでしょう。

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