トヨタの人気SUV「ハリアー」ですが、2022年9月現在のリセールバリューが凄いことになっているといいます。実際には何が起こっているのでしょうか。
■都市型SUVの先駆けは、中古車市場でも大人気?
現在世界的なトレンドとなっている都市型SUVですが、その先駆けといえる存在がトヨタ「ハリアー」です。
2022年に現行モデルが発売されていますが、最近では長納期化や改良時期の問題などにより、受注停止となるなど話題となっています。
そんなハリアーですが、現在のリセールバリューはどうなっているのでしょうか。
1997年に登場したハリアーは、それまでオフロードを走るクルマという印象の強かったSUVのイメージを大きくくつがえし、都会的なイメージと高級サルーンのような快適性を兼ね備えたことで、多くのユーザーに衝撃を与えました。
2003年にフルモデルチェンジを果たした後も、国内外で順調な販売を記録していたハリアーですが、2005年のレクサスブランドの日本導入によって、兄弟車の「RX」の国内販売が開始されたことにともない、2代目をもって販売終了となる予定でした。
しかし、ハリアーの圧倒的な人気を目の当たりにしていた国内の販売会社関係者による署名運動などを経て、RXとは異なる国内専用の新型車として復活することになったというエピソードがあります。
2020年には現行モデルとなる4代目へとフルモデルチェンジされましたが、国内での人気をうけて、北米や中国などでも販売されるグローバルモデルとなりました。
初代から受け継がれる曲線を活かした美しいプロポーションと高級感あふれるインテリアデザインなどを武器に、2020年7月の発売当初から快進撃を続けた現行ハリアーですが、唯一ともいえる弱点が「納期の長さ」です。
折からの半導体不足や部品不足、新型コロナウイルス感染症の影響による中国などでのロックダウンといった理由が重なり、長納期化が著しい昨今の自動車業界ですが、ハリアーは常に1年以上の納期を要する事態となっています。
また、ハリアーの生産自体が難しくなっているため、すでに受けた注文を取り消すといった異例の事態が発生する自体に発展。その後の対応では再注文時にさまざま対応策がほどこされたといいます。
そうした背景から、中古車市場ではハリアーの値段が高騰しています。
中古車情報サイトを見ると、新車価格393万円の「Z」(ガソリン車/2WD)の新車未登録車が450万円から500万円ほどで販売されていることがわかります。
カーナビなどのオプションを考慮したとしても、新車と同等かそれ以上の価格となっています。
■ハリアーが「実質無料」!?リセールバリューの高いグレードとは?
このように中古車価格が高騰している現在、すでにハリアーを保有しているユーザーは、タイミング次第で購入価格を上回る価格で売却できる可能性があります。
この点について、トヨタ販売店関係者は次のように話します。
「あくまで『現時点では』ということにはなりますが、すでにハリアーを購入されたお客さまがクルマを下取りに出された場合、査定額が購入金額と同等となる可能性はじゅうぶんにあります。
査定額が高くなりやすいのは、やはり最上級グレードの『Z “レザーパッケージ”』です。
パワートレインについては、これまではガソリン車が安定していましたが、最近ではハイブリッド車が査定額がハネる可能性があります」
もちろん状態にもよりますが、一般的な使用状況のZ “レザーパッケージ”(ハイブリッド車/2WD)であれば、現在は500万程度の査定額を期待することができるようです。
Z “レザーパッケージ”(ハイブリッド車/2WD)の新車価格は482万円であるため、理論上は「実質無料」でハリアーに乗ることができる計算になります。
前出のトヨタ販売店関係者は「今後ハリアーの納期が短縮化すれば、買取相場は落ち着くはず」と分析しますが、現状では「納期が短縮する見込みは低い」といいます。
すでに予約受注が始まっているというハリアーの一部改良モデルですが、現時点では納期は1年以上となっていることからもわかるとおり、異常事態ともいえるこの相場が今後も続く可能性は高そうです。
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新車価格と中古車価格がほとんど変わらないとなると、今後はクルマの選び方そのものが変わってくることになるかもしれません。
今後クルマを選ぶ際には、どのタイミングで売却をするのか、あるいは乗り潰すのかなどの「出口戦略」を明確にすることが、より一層重要になるといえそうです。