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【写真特集】銃と生きるテキサスの女性たち

ニューズウィーク日本版 2015年11月13日 19時0分

 ハンドバッグに忍ばせて、洗面台の傍らに、あるいは寝室のナイトテーブルに。彼女たちが口紅や携帯電話のように持ち歩いているのは、拳銃だ。

 銃に寛大なことで知られるテキサス州では4月、他人に見える形での銃携帯を認める法律が下院で可決された。今後はより堂々と持ち歩けるようになる。

 写真家シェリー・カールトンは、地元テキサスで銃を持つ「普通の女性たち」をカメラに収めた。同州では銃携帯許可の取得者の25%が女性、そのほとんどが白人だ。銃社会で育った彼女たちは、自分や身近な人を守るためなら引き金を引くこともいとわない、と口をそろえる。

 兵士や警察官が銃を携帯するのは見慣れた光景だが、女性が銃を持つことに社会は厳しい目を向ける。それでも彼女たちは身を守るために銃を選ぶ。か弱い立場になることを断固として拒否しているかのようだ。

 銃所持の賛否や政治的議論は別にして、自衛のために銃を持つ女性の実態や、テキサスに根付いた文化を理解することは重要だと、カールトンは考えた。銃を手にした女性たちはこう宣言しているようだ──私は決して「被害者」にはならない。


「私が心配するのはすべての女性の身の安全。弱いほうの性として神は女性をつくられたが、私たちは無力のままでいる必要などない。簡単な話だ。自分の身は自分で守ればいい。男性がいつも守ってくれるとは限らない」──ドナ


「私は住宅建築や不動産の仕事をしていて、母親でもある。口径9ミリグロックをハンドバッグや車の中にいつも置いている。何かあったときに私が自分の身を守れると分かっているから、夫も安心して眠ることができるようだ」──二コール

キャサリン――テキサスで銃を持ち歩く女性の立場はさまざまで、子供を持つ専業主婦や起業家、学生、アーティストもいる。刑事裁判所の判事キャサリンもその1人だ。彼女たちが銃の携帯を人前で自慢げに話すことはあまりないが、かといって後ろめたさを感じているわけでもない


「射撃が趣味の一家で育った。銃は伝統であり家族の絆だ。私はいくつも銃を所有し、肌身離さず持ち歩く。恐怖心に駆られてではない。わが身に責任を持つためだ。怖いものは、と聞かれたら私は笑ってこう答える。38口径を持ち歩いていて、怖いものなんてある?」──アレーナ


「私は自営業をしていて、しばしば3人の子を連れて長い距離を移動する。女性は犯罪のターゲットになりやすいけれど、私は被害者にはなりたくない。私は私の家族と自分自身を、自分の手で守りたい」──ジェニファー

「銃の携帯許可を取得した第一の理由は、学校とテキサスの家を往復するときに銃を持ち歩くから。テキサス出身者は皆から銃を持ったクレイジーな田舎者扱いされる。だから私はこう主張する。私たちの多くが銃を持ち、きちんと責任も負っている」──エイミー


ケイティ――射撃大会に出場する一家で育ったケイティに人生初の銃を贈ってくれたのは祖父。ルガーのスーパーブラックホークで、映画『ダーティハリー』の銃と同じタイプだった。今では家でも常に手の届く場所に銃を置いている彼女は、銃はあくまで自衛手段の1つと主張する


「子供時代には色とりどりに飾ったイースターエッグを的にしては射撃訓練をしていた。私は拳銃3丁に加えてショットガンとライフルを1丁ずつ持っている。どれも私個人のものだ」──ミーガン


「私は320ヘクタール超の大牧場を所有していて、1人きりで回ることも多い。いろいろな事件に遭遇して、コルト38口径を常に携帯するようになった。ピューマやイノシシ、野生の犬に遭遇したり、連続殺人犯の捜索が近隣で行われたこともあった」──メアリー・ルー

Photographs from "Concealed: She's got a Gun" (Kehrer Verlag) by Shelley Calton

関連リンク:写真集「Concealed」 by Shelley Calton

<本誌2015年8月25日号掲載>

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Photographs by Shelley Calton

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