Infoseek 楽天

独身男性の「結婚相手は普通の子がいい」は大きな間違い

ニューズウィーク日本版 2016年12月24日 8時45分

<未婚・晩婚が社会問題化している。30~40代の独身男性から悩み相談を受けてきた人間関係コンサルタントの木村隆志氏によれば、結婚したいなら「普通の人がいい」などと言わず、短所のどれかを引き受けることだ>

 未婚・晩婚は、日本社会を物語るキーワードとなった。結婚するか否かは個々人の選択であるにもかかわらず、日本の人口減少とも関わることから、社会問題と化している。高い生涯未婚率がニュースとなり、いまや自治体が婚活を支援する時代だ。

 これまでに5000人を超える30~40代の独身男性から悩み相談を受けてきたという人間関係コンサルタント/コラムニストの木村隆志氏は、新刊『独身40男の歩き方』(CCCメディアハウス)でリアルなエピソードと具体的なノウハウを紹介。約260万人に上る日本の40代独身男性に向けて、人生を充実させるためのさまざまなヒントを提供している(目次はこちら)。

「これから恋愛・結婚をするもしないも『自由』。仕事、趣味、友人関係のどれに重点を置くかも『自由』。お金の使い方もファッションの選び方も、健康に対するスタンスも『自由』。そんな独身だから得られる数々の自由がある中で、どんな選択をしていくのか?」と、木村氏は「はじめに」で問いかける。

 ここでは本書から一部を抜粋し、5回に分けて掲載する。第4回は「第2章 恋愛と結婚」より。


『独身40男の歩き方』
 木村隆志 著
 CCCメディアハウス


※シリーズ第1回:40代未婚、不意に夢や子どもをあきらめる瞬間が訪れたら?
※シリーズ第2回:40代独身男性はスーツをどのように着ればダサくないか
※シリーズ第3回:SNS炎上、アイドル熱愛発覚、ペットロス......生きがいを失う男たち

◇ ◇ ◇

「ブス」「デブ」「年上」「性格に難アリ」「家事下手」"普通の子"とは結婚できない?


 婚活の相談者さんに、「どんな人と結婚したい?」と聞くと、驚くことに大半の人が「普通の子」と答える。次に多いのは、「好きになってもらえるなら、どういう人でも」という控えめな言葉。ただ、こう答える人も頭の中では同じように「普通の子がいい」と思っている。いずれにしても、「普通でいいなんて、謙虚でいいんじゃない?」と思いがちだが、決してそんなことはない。

 彼らは女性が集まる場に行くと、けっきょく美しさと若さを優先するからだ。しかし、振り向いてもらえないから、「やっぱり普通の子」と思い直す。とはいえ、周りを見渡しても、どこへ行っても、「普通の子がなかなかいない」ことにはなかなか気づけない。40代の独身男性が、「普通の見た目で、普通の年齢で、普通の性格で、普通に家事ができる」独身女性と出会える可能性なんて、限りなくゼロに近いのだ。

 夫婦生活で最も求められるのはバランスの良さであり、何かが秀でていても、何かが大きく欠落している人との生活は、不満が募り、我慢を強いられる。つまり、"普通"を併せ持っているだけで、その女性は結婚相手に選ばれやすくなるのだ。裏を返せば、「見た目、年齢、性格、家事能力のうち1つ以上に難があるから、その女性は独身」とも言える。

 あなたに求められているのは、「普通の人がいい」などと言わず、「ブス」「デブ」「年上」「性格に難アリ」「家事下手」のどれなら引き受けられるか? という潔い選択。もしこれらの短所があったとしても、「普通以下」とみなしてシャットアウトしないことが大切なのだ。

【参考記事】生涯未婚率は職業によってこんなに違う



 あるいは、「ブスは3日で慣れる」を信じるか、「どんな女性もどうせ歳を取って劣化する」と割り切るか、「歳を取れば穏やかな性格になるだろう」と楽観視するか、「家事は自分が頑張ればいい」と引き受けるか。どれならできそうなのか、本気で考えてみてほしい。

 1つ言っておきたいのは、「そういう女性しかいないなら結婚なんてしなくていい」なんて突っぱねると後悔する、ということ。あなたがこの先の人生で、【3章】の仕事、【4章】の人間関係、【5章】の趣味とお金、【7章】の健康のいずれかでつまずいたとき、必ずや「結婚しておけばよかった」と思うときが来るからだ。もちろん結婚しなければいけないわけではないが、突っぱねて選択肢から排除することはやめたほうがいいだろう。

 昨年結婚した私の相談者さんが対照的な経過を辿っているので、ぜひそのエピソードを参考にしてほしい。

 青果店勤務の和友さん(43歳)は、近所の公園に犬の散歩へ行っていたとき、そこで出会ったある女性に愛犬家の集まるサークルを紹介してもらい、すぐに参加。20人を超える愛犬家と知り合った。

 その後、公園近くのドッグカフェで何度か集まるうちに初老の夫婦と仲良くなり、奥さんから、「よかったら娘(38歳)を交えて会ってほしい」と言われた和友さん。会ってみると、「正直、見た目がタイプではなかった」ものの、お互いの犬を交えて楽しく過ごせたこともあって、2人で食事に行くことに。2人きりになって話してみたら、思いのほか居心地がよく、「また会いたい」と思ったが、彼女から「結婚前提のおつき合いならぜひ。そうでないならごめんなさい」と言われてしまう......。

 和友さんは「今の気持ちでそれは無理だ」、「いや、彼女のような性格のいい女性はなかなか会えないかも」などと1週間悩んだ末、交際を申し込むことを決意。いざつき合ってみると、家事能力は申し分がなく、年齢も5つ年下で「普通より少しいいかも」と思いはじめるなど、見た目以外は「普通以上だった」ことに気づいて、すぐにプロポーズした。

 ゲーム制作会社に勤める雅之さん(42歳)は、「キレイな人と結婚したい」という夢を叶えるべく、一念発起して2つの結婚相談所と3つの婚活サイトに登録。年齢や性格を問わず、美人であることを優先してアプローチした。懸命の努力もあって半年後に結婚相談所で知り合った2歳年下の美人女性とつき合いはじめることに成功。当然ながら結婚前提のため、わずか3か月で婚約し、さらに2か月後、親族だけで結婚式を挙げた。

 雅之さんから連絡があったのは、夫婦生活がはじまってわずか3週間後。「彼女が思ったよりだらしない人で、家事を全然しないんですよ......」と打ち明けてきたのだ。さらに聞くと、「性格は穏やかなのですが、誰かと遊びに行くか、家で寝てるかのどちらか。結婚式の直後からそうだった」とのこと。「離婚も考えてしまいます」という雅之さんに一度落ち着いて考えることを勧め、何とか思い留まらせたものの、いまだ火種はくすぶったままだ。



 和友さんと雅之さんは、ともに結婚したものの、どちらが幸せかは一目瞭然。「見た目がタイプではない」ことを受け入れて結婚した和友さんが安定した夫婦生活を送っている一方、見た目にこだわって結婚した雅之さんの夫婦生活は不安定でストレスのたまるものになっている。雅之さんには申し訳ないが、早期離婚する夫婦はこういう「一部のみに惹かれて結婚した」というケースが多いだけに、みなさんにはこういう婚活を避けて欲しい。

 最後に、朗報と言えばそうなのだが、実は35~40歳の独身女性には美人が多く、私の相談者さんでも約7割を占めている。その理由は、自分の美しさを知っているから「好条件の男性ばかりを探してきた」「受け身の恋愛ばかりで悪い男に引っかかってきた」から。しかし、35歳を超えると突然モテなくなり、人柄重視の婚活に切り換えるため、みなさんにも十分チャンスがあるのだ。しかし、性格や家事能力は未知数なだけに、みなさんはそんな美女と出会ったとしても無条件で飛びつかず、それぞれの項目をしっかり見極めて結婚に踏み出すべきだろう。

.........探すべきは「短所が気にならない」女性。狙い目は35~40歳の美女

【参考記事】未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

※シリーズ第5回:仕事のグチをこぼす相手すらいない40代男性は珍しくない


『独身40男の歩き方』
 木村隆志 著
 CCCメディアハウス



ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

この記事の関連ニュース