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ツイッタ―大量凍結、トルコアカウント77件は悪なのか

ニューズウィーク日本版 2017年3月23日 18時47分

<政治的、宗教的な暴力を主張する投稿が増加していることを背景に、テロを助長すると見なされ凍結されたアカウントの数ばかりに注目が集まるが......>

21日、米ツイッターが半年に一度発表する透明性報告書によると、「テロリズムを助長する」として半年間で停止したアカウントは37万6890件。2015年8月~2016年12月までの累計は63万6248件にのぼった。

アメリカや欧州の各国政府は暴力を煽る投稿、とりわけイスラム過激派の主張のオンライン拡散を防ぐよう、ツイッタ―、フェイスブック、グーグルをはじめとするソーシャルメディア(SNS)に圧力をかけている。

全てが悪なのか

だが、仮に国家が危険と判断したからといってすべてを信じていいのだろうか。2016年の下半期、ツイッターは世界中からジャーナリストやニュースメディアのコンテンツの削除を求める88件の裁判所命令とその他の法的要請を受けたという。うち77件がトルコからのものだ。

トルコでは昨年7月にクーデター未遂が起きた。エルドアン政権は、数万人のジャーナリストを拘束。ロイターによれば、クーデター未遂事件後の10月には15以上のメディアを閉鎖している。エルドアンは長年にわたり、反政府的なオンライン活動の弾圧も続けており、言論の自由を求める市民らは警戒を強めている。

こうしたトルコからの削除要請に対し、言論抑圧の疑念が生じたときはできる限り異議を申し立てたが、1件も聞き入れられなかったとツイッタ―は言う。結局トルコではこれまで、14のアカウントと15の投稿だけを取り下げたという。

【参考記事】トルコ政府が悪口だらけのツイッターを遮断

【参考記事】トランプ勝利を歓迎するトルコのエルドアン大統領



停止=削除ではない

アカウント停止は解除されるケースがある。新興白人ナショナリスト運動「オルト・ライト(オルタナ)」の名付け親ともなった右翼の中心人物リチャード・スペンサーが、度重なる差別的な発言で、アカウントを凍結されたと報じられたが、それからわずか1カ月で解除された。

ただ、このときは「中傷行為」の取り締まりではなく「複数アカウントの不正利用」が原因だったことが後ほど発覚し、アカウントの停止が解除されたということだ。

【参考記事】トランプ「メディアは国民の敵」、独裁につながる=マケイン議員ら

無期限停止のケース

ツイッタ―のポリシーには、一時的な停止または無期限での凍結の条件として、強烈な身体的脅迫、ヘイト行為、複数アカウントの不正利用などが挙げられている。

昨年7月には、黒人女優レスリー・ジョーンズを誹謗・中傷したとして右翼のニュースメディア「ブレイトバート・ニュース」の編集者マイロ・ヤノプルスのツイッタ―利用を無期限で禁止した。

【参考記事】オルタナ右翼のアイドル、マイロ・ヤノプルスが出版界に投げかけた波紋


ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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