Infoseek 楽天

エールフランスがミレニアル世代向けの航空会社を立ち上げ 制服もカジュアル

ニューズウィーク日本版 2017年7月27日 17時30分

<エールフランスが、LCCや中東航空会社との競争をにらみ、ミレニアル世代向けの新しい航空会社を発表。若いデジタル世代のニーズに合ったサービスを展開するという>

「LCCじゃない」妹ブランド

フランスのフラッグ・キャリアであるエールフランス航空が先ごろ、ミレニアル世代向けの新しい航空会社「Joon」を立ち上げると発表した。ミレニアル世代の定義は様々あるようだが、エールフランスのプレスリリースによると対象としているのは18歳から35歳。エールフランスは新しい航空会社を「妹ブランド」と位置づけ、若いデジタル世代のニーズに合ったサービスを展開するとしている。

新ブランドでのサービスを「young and connected」と表現していることや、最高経営責任者にエールフランスやグループ会社でネットワークやデジタル・サービスを経験してきたジャン・ミシェル・マチュー氏が就任したことから、サービスは機内でのインターネット使用などが含まれることが予想される。

フォーチュン誌によると「Joon」はフランス語の「若い」を意味する「jeune」(ジューヌ)から取ったもの。同誌は格安航空会社(LCC)として報じているが、エールフランスのプレスリリースでは、「製品やサービスはエールフランスのものを反映したオリジナルを提供する予定で、LCCではない」としている。

サービス内容はまだ不明

詳細は9月の就航時に発表するということで、ミレニアル世代にピッタリというサービスは具体的にはまだ不明だ。テレグラフは、「例えば機内のエンターテイメント・システムが豊富だとか、機内食や飲み物をミレニアル世代の好みに合わせている、などミレニアル世代を特に想定したサービスがあるのかについて、エールフランスから確認が取れなかった」としている。

詳細がはっきりしない中、客室乗務員の制服についてはイメージをすでに発表しており、若いブランドを意識したデザインがうかがえる。一般的なカッチリした制服やお国柄を反映したものではなく、男性クルーの制服はアンクルパンツと白のスニーカーとかなりカジュアル。CNNは「シリコンバレーにある新興のアプリ会社のチーム写真みたいだ」と表現している。



運航路線についても詳細は分かっていないが、公式サイトによると今秋にパリのシャルル・ド・ゴール空港発の中距離路線から始め、2018年夏には長距離路線を就航するとしている。また、プレスリリースには、Joonのロゴを付けたエアバスA320(近・中距離向け旅客機)、A340(長距離)、A350(長距離)が掲載されていることから、これらの機材が使用されると考えられている。



厳しい業界を生き抜く戦略は年齢差別的?

CNNは前述の記事で、エールフランスの広報担当者が、40歳でも搭乗は許されると話した、と伝えている。テレグラフはこれを受けて、「ミレニアル世代からもっとずっと離れた年齢の人は搭乗できるのか、客室乗務員はミレニアル世代じゃないとダメなのか、などは不明」としている。

また、ベルギーの航空専門サイト「luchtzak」の掲示板でも、航空会社が特定の世代向けのサービスを展開することが話題になっており、「私40歳だけど、すごくネット使うよ」という声や、「年齢差別的だ」という意見もみられた。一方で、シャルル・ド・ゴール空港で働いているという人は、「イージージェット(英国のLCC)に乗ってフランスやヨーロッパに来る若いアメリカ人はすごく多い。朝5時から夜9時までターミナル2D(イージージェットのあるターミナル)は人でいっぱい」と書き、Joonの潜在顧客が多いことを示唆した。

CNNはエールフランスのこの動きについて、ミレニアル世代を取り込もうという以外にも、ヨーロッパの長距離航空会社やLCC、さらに、同社の市場シェアを侵食しつつある中東の大手航空会社に対抗するためと分析している。

なお、英国のフラッグ・キャリア、ブリティッシュエアウェイズも6月に、「妹航空会社」としてアメリカ大陸への航路を主力商品とする「Level(レベル)」を就航させている。

【参考記事】中国シェア自転車「悪名高きマナー問題」が消えた理由
【参考記事】「日本のオシャレ人形と観光名所でパチリ」が流行の兆し?


【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル! ご登録(無料)はこちらから=>>


松丸さとみ

この記事の関連ニュース