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W杯ドイツ代表監督「韓国に負けるとは思わなかった」

ニューズウィーク日本版 2018年6月29日 15時0分

<前回優勝のドイツが韓国へのショッキングな敗北によって一次リーグで敗退した衝撃を、「名将」レーブ監督が語る>

ワールドカップ(W杯)ロシア大会の一次リーグで韓国に0-2で敗れ、グループ最下位での敗退が決まったドイツは、ヨアヒム・レーブ代表監督が辞任まで示唆する事態になっている。

ドイツは一次リーグ・グループFの初戦で1-0でメキシコに敗れ、大荒れのスタートを切った。2戦目の対スウェーデン戦では、後半のアディショナルタイムに追加点を入れ、2-1で辛くも逃げ切った。前回W杯で優勝しているドイツは、決勝トーナメント進出のため、すでにグループリーグ敗退が決まっていた韓国に、3戦目で勝たなければならなかった。

しかしドイツは、韓国のディフェンスを破ることができず、後半アディショナルタイムにDF(ディフェンダー)キム・ヨングォンに先制点を奪われた。この攻撃は当初オフサイドと判定されたが、今回の大会から導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が得点を認めた。

同時に行われていたスウェーデン対メキシコの試合で、スウェーデンがグループ首位のメキシコを3-0でリードしていたため、ドイツはここで総攻撃に出る。しかしGK(ゴールキーパー)マヌエル・ノイアーが韓国サイドでボールを失い、韓国FW(フォワード)ソン・フンミンがキーパー不在のドイツゴールにボールを押し込んでとどめの1点を入れた。

W杯では、過去5回の大会のうち4回で、前回優勝チームが一次リーグで敗退している。しかし、ドイツが一次リーグで敗退するのは旧西ドイツ時代も含めてこれが初めて。このため、レーブ監督の進退問題が浮上している。

勝つ気満々、傲慢だった

58歳のレーブは、2022年までの契約延長を5月に済ませたばかり。しかし一次リーグ敗退を受けて、監督ポストに今後も残るかどうかの表明を拒否している。

2020年の欧州選手権でも監督をつとめるかどうか聞かれたレーブは「その質問に答えるのはまだ早過ぎる」と語った。「様々な事情を検討するのにもう少し時間がかかる」

「自分のなかで失望が大きい。韓国に負けることは想像できなかった。うまく行かなかったことにショックを受けている。失望感がとても大きく、まだ何か言う段階ではない。これからどうするか――少し時間をかけて静かに話し合いたい」



多くのサッカー批評家は、リーグ敗退に到るまでのドイツが傲慢だったと感じている。大会前の6回の親善試合では、1勝1分けはあったがその他の試合は負けていた。またW杯の最終メンバーにマンチェスター・シティのFWレロイ・サネを選ばなかったことも驚きだった。

また一次リーグの3つの試合でいずれも雑な攻撃を見せ、結果としてカウンター攻撃から失点して負けていることから、グループFの対戦相手をみくびっていたことは確かだろう。レーブ自身も、代表選手たちが「グループリーグのひどい結果は大会期間中におのずと改善されるだろう」と考えていたことを認めている。

スイッチが入らなかった

「代表合宿の調子は良かった」とレーブは語っている。「チームワークは良かったし、選手は本当に良く練習していた。しかしオーストリア、サウジアラビアとの親善試合は良くなかった。多分ボタンを押せばギアが入ると考えていたが、(W杯初戦の)メキシコに負けてしまった。そこで1点取っていれば違っていただろう。スイッチを入れることができなかった。トーナメント戦が始まればうまくやれると確信していたが、そうはならなかった」

しかしレーブは、特に2006年W杯以降のドイツ代表の好成績と現在のユース選手の将来への期待に言及し、ドイツサッカーの未来はまだ明るいと言って譲らなかった。

「ドイツは過去10~12年間、おそらく最も安定したパフォーマンスを見せてきた。2014年のW杯、17年のコンフェデレーションズカップの優勝をはじめ、これまで長い間世界のベスト4を維持してきた」と強調した。

「今回の敗退はとてつもなく悲しく、失望しているが、ドイツには非常に才能があって可能性を持った若い選手たちがいる。このような挫折は他の国も経験していることで、ドイツは正しい結末を導き出さなければならない」

10年以上にわたって代表監督をつとめ、多くの栄光をドイツにもたらしたレーブは、サッカー界の「名将」とうたわれてきた。ロシアでの衝撃的すぎる敗北を乗り越えることはできるのか。

(International Business Times)



アビナフ・キニ

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