<太陽光パネルと浄水装置を搭載したコンテナを僻地の村に設置する新興企業の挑戦>
世界には、今も電気と清潔な水のない土地で暮らしている人たちが大勢いる。新興企業のオフグリッドボックスは、そうした不便な土地に安価な電力と飲み水を届けたいと考えた。そのために選んだ手段は......1辺約1.8メートルのコンテナボックスだった。本誌ジュリアナ・ピニャタロが同社のトロイ・ビレット取締役に話を聞いた。
***
――事業について教えてほしい。
世界中に安価なエネルギーと安全な飲み水を届けたい。今日の世界には、これらを切実に必要としている人がまだ10億人近くいる。この2つをセットにして提供することで大きな成果を上げられると思っている。
――オフグリッドボックスは、そこでどんな役割を果たすのか。
1辺約1.8メートルのコンテナに、太陽光発電パネルと浄水装置を取り付けて村の中心に設置する。コンテナ1個で2000人のニーズを満たせる。
――達成したい最大の目標は?
自宅で安全な飲み水と電力を利用できない人たちが、5分くらい歩けば18セントほどの料金で照明や携帯電話用のバッテリーを充電したり、清潔な飲み水を受け取ったりできるようにしたい。この程度の金額なら、1日当たりの所得が2ドルに満たない人たちも利用できる。
――コンテナの設置場所は、どうやって選ぶのか。
まずそれぞれの地域のことを調べて、何が必要かを把握する。調べもせずに現地のニーズを決め付けたりはしない。電力と安全な飲み水が必要とされていると分かれば、そこにコンテナを送る。設置作業には3時間くらいしかかからない。
ビレット取締役 Courtesy of Offgridbox
――現地のコミュニティーは、どのように関わるのか。
この事業を行う上で最大の難関は、運営の担い手を務める地元の住民を見つけることだ。私たちがずっと現地にとどまるわけにはいかないから。それに、地域コミュニティーの力も育みたい。
そこで、地元の女性起業家たちに日々の運営と維持管理を担ってもらっている。コンテナ1個につき女性起業家が4人。そのほかに、専門的な問題が発生したときのために、コンテナ10個につき1人の割合で経験豊富な技術者を配置している。
――これまで同じ課題の解決を目指してきた人たちの活動から学んだことはあるか。
慈善事業は多くの場合、目先の問題を解決することに終始している。水が必要な地域に飲用水のボトルを送ること自体は素晴らしい。でも、それは一時しのぎの対策でしかない。それでは、長期的な解決策にはならない。必要なのは、予算面で持続可能性があり、好影響を生み出せる活動だ。
私たちのやっていることが唯一の解決策だとは思っていない。この後、さまざまな取り組みが始まるだろう。
――事業の成功にどのくらい近づいているのか。
最初は、住人50人の村から始まった。その後、ルワンダに約50個のコンテナを設置する資金を調達できた。けれども、1000個設置しなければ、ルワンダ全体のニーズの20%も満たせない。もっと事業を拡大させる必要がある。しかも、コンテナが求められているのはルワンダだけではない。
(電気と安全な飲み水を利用できずにいる)世界中の10億人の人たちにコンテナを届けたい。そのためには、村ごとにこつこつ進めるほかない。
――挑戦が成功したら、世界はどう変わるのか。
今までよりも多くの団体や政府、そして企業が協力し合い、不便な土地のコミュニティーを助けるようになって、世界にもっと明るい未来が訪れるだろう。人々の経済的な力を向上させるテクノロジーに投資することにより、人類は成功できる。
<本誌2019年6月18日号掲載>
※6月18日号(6月11日発売)は「名門・ジョージタウン大学:世界のエリートが学ぶ至高のリーダー論」特集。「全米最高の教授」の1人、サム・ポトリッキオが説く「勝ち残る指導者」の条件とは? 必読リーダー本16選、ポトリッキオ教授から日本人への提言も。
ジュリアナ・ピニャタロ
世界には、今も電気と清潔な水のない土地で暮らしている人たちが大勢いる。新興企業のオフグリッドボックスは、そうした不便な土地に安価な電力と飲み水を届けたいと考えた。そのために選んだ手段は......1辺約1.8メートルのコンテナボックスだった。本誌ジュリアナ・ピニャタロが同社のトロイ・ビレット取締役に話を聞いた。
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――事業について教えてほしい。
世界中に安価なエネルギーと安全な飲み水を届けたい。今日の世界には、これらを切実に必要としている人がまだ10億人近くいる。この2つをセットにして提供することで大きな成果を上げられると思っている。
――オフグリッドボックスは、そこでどんな役割を果たすのか。
1辺約1.8メートルのコンテナに、太陽光発電パネルと浄水装置を取り付けて村の中心に設置する。コンテナ1個で2000人のニーズを満たせる。
――達成したい最大の目標は?
自宅で安全な飲み水と電力を利用できない人たちが、5分くらい歩けば18セントほどの料金で照明や携帯電話用のバッテリーを充電したり、清潔な飲み水を受け取ったりできるようにしたい。この程度の金額なら、1日当たりの所得が2ドルに満たない人たちも利用できる。
――コンテナの設置場所は、どうやって選ぶのか。
まずそれぞれの地域のことを調べて、何が必要かを把握する。調べもせずに現地のニーズを決め付けたりはしない。電力と安全な飲み水が必要とされていると分かれば、そこにコンテナを送る。設置作業には3時間くらいしかかからない。
ビレット取締役 Courtesy of Offgridbox
――現地のコミュニティーは、どのように関わるのか。
この事業を行う上で最大の難関は、運営の担い手を務める地元の住民を見つけることだ。私たちがずっと現地にとどまるわけにはいかないから。それに、地域コミュニティーの力も育みたい。
そこで、地元の女性起業家たちに日々の運営と維持管理を担ってもらっている。コンテナ1個につき女性起業家が4人。そのほかに、専門的な問題が発生したときのために、コンテナ10個につき1人の割合で経験豊富な技術者を配置している。
――これまで同じ課題の解決を目指してきた人たちの活動から学んだことはあるか。
慈善事業は多くの場合、目先の問題を解決することに終始している。水が必要な地域に飲用水のボトルを送ること自体は素晴らしい。でも、それは一時しのぎの対策でしかない。それでは、長期的な解決策にはならない。必要なのは、予算面で持続可能性があり、好影響を生み出せる活動だ。
私たちのやっていることが唯一の解決策だとは思っていない。この後、さまざまな取り組みが始まるだろう。
――事業の成功にどのくらい近づいているのか。
最初は、住人50人の村から始まった。その後、ルワンダに約50個のコンテナを設置する資金を調達できた。けれども、1000個設置しなければ、ルワンダ全体のニーズの20%も満たせない。もっと事業を拡大させる必要がある。しかも、コンテナが求められているのはルワンダだけではない。
(電気と安全な飲み水を利用できずにいる)世界中の10億人の人たちにコンテナを届けたい。そのためには、村ごとにこつこつ進めるほかない。
――挑戦が成功したら、世界はどう変わるのか。
今までよりも多くの団体や政府、そして企業が協力し合い、不便な土地のコミュニティーを助けるようになって、世界にもっと明るい未来が訪れるだろう。人々の経済的な力を向上させるテクノロジーに投資することにより、人類は成功できる。
<本誌2019年6月18日号掲載>
※6月18日号(6月11日発売)は「名門・ジョージタウン大学:世界のエリートが学ぶ至高のリーダー論」特集。「全米最高の教授」の1人、サム・ポトリッキオが説く「勝ち残る指導者」の条件とは? 必読リーダー本16選、ポトリッキオ教授から日本人への提言も。
ジュリアナ・ピニャタロ