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「インスリンと家賃が同じくらい高い」アメリカから、糖尿病患者がカナダに買い出しに行ったら!

ニューズウィーク日本版 2019年7月10日 19時30分

<国境を超えるだけでインスリンの値段が10分の1以下になる! アメリカの医療費の高さの一端が見えた>

アメリカのミネソタ州に住む糖尿病患者のグループが7月5日、カナダまで足を運び、アメリカでは380ドルするインスリンを34ドルで購入した。

グループは、ミネソタ州のミネアポリスとセントポールからバスでオンタリオ州ロンドンまで行き、アメリカの10分の1以下の値段でインスリンを購入した。アメリカの医療費の高さに注目を高め、批判するための旅でもあった。

「カナダで買ったインスリンは34ドル、アメリカで買ったインスリンは380ドルだった」と、グループの一員であるデブ・サウザーは「FOX9」に語った。「アメリカでは、家賃を払うか、インスリンを買うかで迷わなくてはならない」

この旅行で、サウザーは3カ月分のインスリンを購入した。地元の医師が書いた処方箋がなくても購入できる最大限の量だ。サウザーがFOX9に語ったところによれば、サウザーの家族が新たに購入した医療保険では、インスリンの自己負担は1カ月あたり1000ドル近くにのぼるという。

「インスリンなしで数時間経つと、とても具合が悪くなる。インスリンなしで数日過ぎれば、死ぬ可能性もある」とサウザーは言う。「国境を越えるだけで、こんなに安くインスリンが買えるなんて、信じられない......3カ月分で、何千ドルも節約できる」

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5年間で価格倍増

このグループに同伴した「ツイン・シティーズ・パイオニア・プレス」紙によれば、ミネソタ州の双子都市からオンタリオ州ロンドンまでは、バスで15時間ほど。

「わざわざアメリカを出なければ、手の届く値段でインスリンを買えないなんて、こんなことがあってはならない」と、この旅行を企画したローズマリー・エノバカーレは言う。

ミネソタ州メープルグローブから参加したクリステン・ホーストソンは、11歳の息子のためにインスリンを購入した。

グループがカナダに到着して最初に入った薬局は、このグループによるインスリン購入を断わった。そしてその理由として、この旅行にメディアの注目が集まっていることから、製薬会社の反発を受けるおそれがあると説明した。2軒目の薬局は、グループによる大量の注文に応じることができなかった。

3度目に購入を試みた、オンタリオ州ロンドンにあるウォルマート内の薬局で、ようやく購入に成功した。

インスリンのバイアル(小瓶)1本は、通常の患者ならおよそ10日分にあたる。アメリカでは、バイアル1本の価格は300ドルほどだ。しかしカナダでは、同じバイアルをわずか10分の1の30ドルで購入できる。

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米医療費研究所によれば、2012~2016年までの間にインスリン価格はほぼ2倍に上昇した。糖尿病患者のインスリン購入費用は、2012年には年間2864ドルだったが、2016年には5705ドルに倍増したという。

恐ろしいのは、政府が薬価を決めるのではなく市場に任されているアメリカでは、高いのはインスリンだけではないということだ。

(翻訳:ガリレオ)


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クリスティナ・チャオ

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