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急増する1型糖尿病…なぜ、子供や若者に増えているのか?

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月26日 9時26分

 糖尿病になる子供や若者が世界中で増えたという。気になるのは生活習慣の乱れなどで発症する2型糖尿病だけでなく、インスリン分泌が枯渇する1型糖尿病が増えていることだ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

 昨年6月の米国内分泌学会年次総会(ENDO2023)で子供や若者の糖尿病の新規発症についての発表があった。

 小児病院の電子カルテデータを使い、新型コロナの期間前2年間(18年3月~19年2月、19年3月~20年2月)と、コロナ後1年目(20年3月~21年2月)、同2年目(21年3月~22年2月)を比較した研究である。

 結果は、子供や若者の2型糖尿病の年間発症頻度はそれぞれ、63例、45例、109例、130例で、パンデミック中の増加が明らかになった。

 米オハイオ州コロンバスの全国小児病院の研究グループが発表した。

「発表では体格指数(BMI)も増加していました。学校閉鎖や外出自粛で子供たちの身体活動や運動が制限され、在宅時間が長くなり、間食が増えたことなど生活習慣の乱れが2型糖尿病の増加につながった、との見方ができる内容でした」

 気になるのは同時に子供や若者の1型糖尿病の増加も報告されたこと。年間発生頻度はそれぞれ、191例、193例、231例、262例とやはりパンデミック中に増加した。

「1型糖尿病は、生活習慣病の一種である2型糖尿病とは性質がまったく異なる糖尿病です。本来、外敵から身を守るために働くはずの免疫が、間違ってインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を破壊することで発症します。子供や若者に多く、発症のピークは思春期だといわれています」

■ウイルス感染により関連する遺伝子の働きが変化するのではとの見方も

 発症には地域差があり、日本を含めたアジアは北欧を含む欧州の20分の1ほど。

 1型糖尿病は特定の遺伝子と関連するとの見方がある。

「1型糖尿病は通常は遺伝しませんが、特定の遺伝子を持つ人は家庭内発症が認められています。また、1型糖尿病の発症とウイルス感染との関連を示す報告も数多い。たとえば、エンテロウイルス、ムンプス、麻疹、サイトメガロウイルス、レトロウイルスなどの感染が引き金になってインスリンを産出する膵臓のβ細胞の死を誘発して発症したことが報告されています。なぜ、地域差があるのかはハッキリしていません。ただ、これらの感染症に強い人と弱い人がいて、その違いは1型糖尿病に関連する遺伝子の働きにあり、感染により、それらが変化するからではないか、との見方もあります」

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