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NASA長官の「冥王星は惑星」発言、クイーンのブライアン・メイも全面支持

ニューズウィーク日本版 2019年9月4日 18時0分

<NASAのジム・ブライデンスタイン長官が、「冥王星は惑星」だとの個人的な考えを示し、話題になっている......>

繰り返されてきた冥王星の惑星議論

子どもの頃、太陽系の惑星の並びを覚えるのに、「水金地火木土天海冥」または「水金地火木土天冥海」と言っていた人も多いのではないだろうか? (海王星と冥王星の順番については、1979〜1999年は冥王星の方が太陽に近くなっていたため「冥海」となっていた。現在は「海冥」の並び)

ところが2006年、国際天文学連合(IAU)が新たに「惑星」の定義を定めたことで、冥王星は惑星から外れ、準惑星に「格下げ」されてしまった。ということで現在は、太陽系に惑星は8つしかないことになっている。

しかし米航空宇宙局(NASA)のジム・ブライデンスタイン長官はこのほど、個人的な見解としながらも「冥王星は惑星」だとの考えを示し、話題になった。

この発言を受けて、ロックバンド「クイーン」のギタリストで、天文物理学の博士号を持つブライアン・メイ氏も、長官を支持すると表明。「冥王星はやはり惑星!?」との議論が再燃している。教育ニュースサイトcuriosity.comが昨年10月12日付で「冥王星の惑星議論がなくならない理由」という記事で書いた通り、この議論はこれまでも繰り返し行われてきた。

NASA長官「考えは変わらない」

英エクスプレス紙によると、ブライデンスタイン長官が今回冥王星について発言したのは、コロラド大学の構内で行われたイベントだ。ここで同長官は、「ちなみに、私に言わせてみれば冥王星は惑星だ」と発言したのだ。

そのときの様子は、気象学者であり気象ジャーナリストでもあるコリー・レッペンへーゲン氏が、「たぶんテレビで放送されることはないと思うけど、私にとって今日のお気に入りのサウンドバイト」と一言添えて、動画付きでツイッターに投稿している(サウンドバイトとは、テレビなどの放送用に抜粋された言葉や映像)。

My favorite soundbyte of the day that probably won't make it to TV. It came from NASA Administrator Jim Bridenstine. As a Pluto Supporter, I really appreciated this. #9wx #PlutoLoversRejoice @JimBridenstine pic.twitter.com/NdfQWW5PSZ— Cory Reppenhagen (@CReppWx) August 23, 2019


動画の中でブライデンスタイン長官は、「"NASAの長官が冥王星を再び惑星だと宣言した"って書いてくれてもいい。この考えを貫く。私はそう教わったし、この考えは変わらない」とはっきり話している。動画を投稿したレッペンへーゲン氏はツイートの中で、「冥王星サポーターとして、本当に(この発言に)感謝する」と書いた。



メイ氏「同意する人、意見聞かせて」、ファンに呼びかけ

ブライデンスタイン長官の発言を受け、ブライアン・メイ氏も冥王星の惑星入りを支持する考えをインスタグラムに投稿した。宇宙に関する米国のニュースメディアspace.comに掲載された、「NASA長官、"それでも冥王星は惑星に値する"と発言」という見出しが付いた記事のスクリーンショットを自身のインスタグラム・アカウントに投稿したメイ氏は、「私に権限などないけれど」と前置きしつつ、「まったくもって同意する」と書いた。

この投稿をInstagramで見る Well, not that I have any authority... but, for what it's worth, I strongly agree. Pluto was discovered and named as a planet a while before I was born. At that time it was generally instinctively understood that a Planet was one of a family of roughly spherical objects that orbited the Sun (rather than orbiting something else). So, to me, Pluto is a classical PLANET. End of story. We can easily choose to make Pluto the outer edge of the classical planet zone, in which case we'll end up with 9 planets and an ever-increasing number of Kuiper Belt Objects great and small, as they are discovered. Anybody like my definition ? It would have saved a lot of trouble 10 years ago !! Incidentally, the origins of the word planet are no help at all. The word simply means "wandering star" from the Greek, as I understand it, although Greek is not my strong point ! Let's hear it for PLUTO - the 9th Planet !! If you agree, let me know - and I will show Alan Stern - the genius who revealed the magnificent appearance of Pluto at close quarters - through the NASA New Horizons Mission. I was proud to be a very small part of that triumph. Alan's team use a nine-fingered salute (to which I subscribe) so there is little doubt what side they are on !!! Bri Brian Harold Mayさん(@brianmayforreal)がシェアした投稿 - 2019年 8月月28日午後9時13分PDT


メイ氏は投稿の中で、冥王星は自分が生まれる前から惑星とされていたし、太陽の周りを回る球体が惑星と呼ばれていた、と指摘。「なので、私にとって冥王星は古典的な惑星。議論は不要」だと書いた。また、「冥王星は太陽系の外縁に位置する9番目の惑星でもありカイパーベルト天体でもある」と決めるのは簡単なはずだとして、9番目の惑星とすることに賛成なら意見を聞かせてほしいとファンに呼びかけた。その結果を、アラン・スターン氏に見せる、というのだ。

スターン氏は、冥王星やカイパーベルト天体の探査を行うニュー・ホライズンズをNASAが2006年に打ち上げた際、主任研究員を務めていた。前出のcuriosity.comの記事によると、冥王星を惑星と呼ぶ考えを長年支持している人物だ。

とはいえ、IAUの報道担当ラーシュ・リンドバーグ・クリステンセン氏はCNETに対し、「冥王星の分類を再考するという決議案は提出されていない」として、惑星に戻される具体的な動きはないことを明らかにした。同氏はまた、「とは言え、このような話題を議論するのは良いことだし健全だ」とも話したという。



Brian May - New Horizons (Ultima Thule Mix) [Official Music Video]

Queen guitarist Brian May and NASA open 2019 at tiny, icy world past Pluto


松丸さとみ

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