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「他人にイラっ」とした時こそチャンス...その感情を掘り下げると、「自分の才能」が見えてくる

ニューズウィーク日本版 2024年3月14日 19時25分

<「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」自己啓発部門賞『世界一やさしい「才能」の見つけ方』著者の八木仁平さんインタビュー>

「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」で自己啓発部門賞に選ばれた『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(KADOKAWA、以下「本書」)。

著者の八木仁平さんは、3ヶ月10STEPでやりたいこと探しを終わらせる「自己理解プログラム」を提供する、株式会社ジコリカイの代表取締役です。30万部を突破した前著、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』に続き、本書も多くの読者からの支持を集めています。

受賞を記念して、八木さんに「才能の見つけ方」をうかがいました。(※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)

1冊目がヒットした後、2冊目のオファーを断った理由

──自己啓発部門賞受賞、おめでとうございます! 感想をお聞かせください。

めちゃくちゃ気合いを入れて書いた本なので、相当うれしいです!

担当編集者さんから「執筆・制作にかける熱量が他の著者さんの10倍くらい高いですね」と言っていただいたくらい、こだわりがありますし、本を書くのが大好きなんです。そのこだわりが伝わったようで、ありがたいですね。

『世界一やさしい「才能」の見つけ方』
 著者:八木仁平
 出版社:KADOKAWA
 要約を読む

──ご本にかけた「こだわり」について、もう少し詳しく教えていただけますか。

前作の『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』をたくさんの方に読んでいただけたこともあり、出版社さんからは「すぐに次の本を出版しましょう」と言ってもらいました。でも、しっかり練り上げたいい本を出したかったので、自分の納得がいくまで待ってもらったんです。

日々少しずつExcelにネタ出しをしていき、十分なネタがたまったタイミングで原稿を書き始めました。制作には2年ほどかかったでしょうか。

──とても充実したご本ですよね。巻末の「才能の具体例1000リスト」には圧倒されましたし、才能が見つかる5つの質問もユニークです。

才能が見つかる5つの質問は「他人にイラッとすることは?」「親や先生によく注意されたことは?」「やっちゃダメと禁止されると辛いことは?」「あなたの短所を『だからこそ』と言い換えるとどうなりますか?」「他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えることは?」ですね。

これは担当編集者さんとディスカッションしながらつくりました。

僕は “自己理解おたく” なので、どんなに難しい質問でも答えられます(笑)。でも、読者さんはきっとそうじゃないですよね。答えやすく、答えを考えるのが楽しい質問にしようと、じっくり練りました。

──出版後に印象的な反響はありましたか。

「自分に自信が持てました」など、いろいろなお声をいただきました。

一番伝えたかった「なりたい自分を捨てろ」というメッセージが刺さっている方が多いようで、安心しています。

「道端に犬のフンが落ちていることにイラッとする」も才能のひとつ!

──本書で提示されていた「才能を見つければ、その瞬間から人生は変わる」「あなただけの才能を見つけることで、“一生ものの自信” を手に入れる」というメッセージ・考え方を、たいへん魅力的に感じました。

いまの社会の問題として「他者比較がしやすくなったこと」が挙げられると考えています。

僕自身も過去、2歳上の兄との比較に苦しんでいました。「兄みたいにならなくちゃ」「社交的な兄に比べて、内向的な僕は劣っている」と思い込んでいたんです。

「他者より劣っている」と思い込んで自信を失い、人生に不安を抱くという現象が、いま社会のあらゆるところで起きています。

僕は「自分はこんな才能を持っている。この才能を生かすことが自分の役割だ」と腹落ちしていますから、他者と自分を比べることはありません。自分ができることを精一杯やっていくだけ。みなさんに、この状態になってほしいんです。

自分だけの才能は誰にでもあります。必ずです。自分だけの才能を見つけて心地よく生きていってほしいというのが、本書に込めたメッセージです。

──SNSの普及で一人ひとりの才能が可視化される時代になり、「自分には才能がない」と悩む人が増えていると想像します。そんな人たちに対して、最初に取り組んでほしいことを一つだけ伝えるとしたら、何とアドバイスされますか?

「他人にイラッとすることは?」と自分自身に問いかけてみることです。

まず前提として、才能の定義は「つい、やってしまうこと」。当たり前に、自然にやっていることです。

一方、多くの人が自分の才能に気づけないのは、他者比較で「他の人より得意なこと」を探しているから。それでは絶対に見つかりません。上には上がいるからです。

たとえば僕は文章を書くのが得意ですが、圧倒的にうまいかと言われると、イエスとは言えません。もっとうまい人はいくらでもいるでしょう。そういう意味で「他の人より得意なことは?」と聞かれても、答えられる人はほとんどいないのではないでしょうか。

「他人にイラッとすることは?」という質問から見えてくるのは、自分は当たり前にできるのに、他の人にはできないこと。「どうしてこんなこともわからないの?」「どうしてできないの?」「どうしてそんなことしちゃうの?」とイラッとするポイントに、あなただけの才能が隠れています。

──「他人にイラッとすること」に才能が隠れているなんて、思いもしませんでした。

アンガーマネジメントという言葉があるとおり、イライラは悪いものだと思われがちです。でも「イラッ」を抑えてしまうのはあまりにももったいないこと。その「イラッ」を仕事にぶつければいいだけなんです。「他人にイラッとすること=才能」だと自覚すると、人生がうまくいきますよ。

それに、「他人にイラッとすることは?」と聞かれると、たくさん浮かんできませんか? ポジティブな感情よりネガティブな感情のほうが印象に残りやすいため、いろいろな「イラッ」が思い浮かぶはずです。

──八木さんがこれまで聞いた、ユニークな「他人にイラッとすること」の例を教えていただけますか。

「道端に犬のフンが落ちていることにイラッとする」という人がいました。「ここからどうやって才能を見つければいいの?」と思いますよね(笑)。

でもこの「イラッ」を深掘りしていくと、みんながルールを守っている状況が、その人にとっての当たり前の基準であるという気づきが得られました。この人には、ルールを設定してみんなに守ってもらったり、ルールを広めていったりする仕事が向いていそうです。

「みんなが軽率に行動しているように見える。どうしてもっとリスクに敏感にならないのか、イラッとする」と言った人もいます。この人はリスクを見つける才能を生かして、絶対に炎上しない謝罪会見のコンサルタントになりました。この仕事に就いたとたん、高く評価され始めたそうですよ。

「国語・算数・理科・社会・自己理解」の世界をつくりたい

──八木さんにとっての最終目標は「国語・算数・ 理科・社会・自己理解」といわれる世界をつくることだそうですね。

自分の才能が見つからない、生かせないことの根本原因は教育にあると思っています。

僕が小学5年生のころ、クラスに引っ込み思案なCさんがいました。Cさんは国語の授業で当てられ、教科書を読むことになったのですが、なかなか大きな声が出ません。

すると先生がみんなの前で「もっと大きな声を出せるでしょ」と叱りました。Cさんは一生懸命やっていますが、やはり大きな声は出せません。そんなCさんを、先生は「どうしてできないの? 努力すればできるよ」と叱責し続けました。

僕はその光景を見て、怒りとともに、「努力すればできる」という言葉に対する違和感と怒りを覚えました。そしてそのモヤモヤ感は今でも残っています。

先生は「できないことや苦手なことを克服するのがいい人生だ」という思いから、Cさんを叱ったのでしょう。それは、才能や自己理解について深く知る機会がなかったからだと思います。

日本では、たいていの人は足し算・引き算・かけ算・わり算ができますよね。これってすごいことではないでしょうか。誰かが教育の仕組みをつくったから、算数がみんなの共通言語となっているのです。

僕の願いは、自己理解も算数と同じように、みんなが当たり前にできる世の中にしたいということ。これが実現すれば、世界はもっともっと良くなるだろうと思います。

──本書をこれから読む人に向けて、メッセージをいただけますか。

本書は、つい他者と比べて「自分はダメだ」と思い込んでいる人に読んでもらいたいです。

他者との比較ばかりしているのはつらいですし、ずっとせかされているような気分でしょう。やがて生きる喜びがなくなってしまうかもしれません。

そして、たとえ人よりいい結果を残せたとしても、上には上がいますから、「もっと、もっと」と終わりのないゴールを追いかけることになります。

そうならないように、自分の中の絶対的な才能という、いつでも立ち返れるものを見つけてください。

気づいていないだけで、才能はあなたの中に大事な宝物として存在して、あなたに生かされるのを待っています。ぜひ才能を見つける時間をとってほしいです。

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』
著者:八木仁平
出版社:KADOKAWA
要約を読む

八木仁平(やぎ じんぺい)

3ヶ月10STEPでやりたいこと探しを終わらせる「自己理解プログラム」を提供する、株式会社ジコリカイ代表取締役。高知県生まれ。早稲田大学卒業後すぐに独立したものの、お金以外の働く目的を見失って鬱状態に。本当にやりたいことを見つけるため、独自の「自己理解」に取り組む。その手法を発信し始めたところ、ブログは累計2600万PV、Twitterフォロワー数4万人超に。「自己理解プログラム」には全国から問い合わせが殺到している。最終目標は「国語・算数・ 理科・社会・自己理解」といわれる世界をつくること。共に実現を目指すメンバーを募集中。著書に、30万部を突破した『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』(KADOKAWA)がある。

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flier編集部

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