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やはり健康不安? プーチンの「忠僕」カディロフ首長、最新映像での「異変」...以前と別人のような弱々しさ

ニューズウィーク日本版 2024年4月6日 15時32分

<公開されたチェチェン共和国ラムザン・カディロフ首長の映像は、彼の健康不安説を払拭するどころか強めてしまう結果に>

ロシア南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長の動画が新たに公開された。カディロフをめぐってささやかれている健康不安説を払拭することを目的とした動画と見られるが、動画の中の彼は以前とは違って弱々しい様子を見せており、かえって「噂」に拍車をかける結果となってしまったようだ。

■【動画】プーチンの「忠僕」カディロフ首長...「重病説」払拭のために映像公開も、あまりに弱々しすぎて逆効果に

カディロフをめぐっては、さまざまな噂が浮上してきた。彼はイスラム教徒が大半を占めるチェチェン共和国に圧制を敷き、複数の国際団体から人権侵害を行っていると非難されている。ロシアのウラジーミル・プーチンの忠実な信奉者であるカディロフは、チェチェンの部隊を派遣してロシアによるウクライナ侵攻を支えている。

健康不安説が勢いを増したのは2023年9月。ウクライナ国防省情報総局のアンドレイ・ユソフ報道官がカディロフについて、「かなり前から」体調が悪化していると発言したのがきっかけだった。ウクライナのニュースサイト「Obozrevatel(オボズレバテル)」は、カディロフが昏睡状態に陥って、治療のためにロシアの首都モスクワに搬送されたと報じた。

本誌はこの件についてロシア政府にコメントを求めたが、これまでに返答はない。

カディロフはその後、散歩をしている様子を撮影したとする動画(撮影場所は不明)を自身のテレグラムチャンネルに投稿。「真実とインターネット上の嘘の区別がつかない者は、散歩に出て新鮮な空気を吸うよう強く勧める」と書き込んだ。

健康不安説の払拭を狙ったが「逆効果」か

彼の健康状態について確かな情報はないが、ロシアの独立系調査報道機関「Agentstvo」によれば、新たに公開された動画により、健康不安説がますます高まっている。Agentstvoは、問題の動画はおそらくカディロフの健康状態が悪化しているという噂を払拭する目的で公開されたものだが「かえって逆効果になったようだ」と指摘した。

動画のうち一本は4月1日に撮影されたとされ、カディロフがチェチェン共和国グロズヌイにある宮殿の建設現場を無言で歩いている様子が映っている。もう一本は、カディロフが彼を待っていた市民たちと短い挨拶を交わす様子を捉えた短い動画だ。

Agentstvoは、夕食時に周りの人々が力強く手を叩いて拍手をしているなかで、カディロフだけは静かに弱々しくテーブルを叩いているだけだと指摘。2021年に開かれた夕食会で、カディロフが力強く拍手をする様子を捉えた動画と今回の動画を比較した。

またヨルダンからのゲストを迎えた際の様子を捉えた動画ではカディロフの動きがぎこちなく、イスラム神学者の墓を訪れた際には彼が杖をついていたとも指摘した。

2月にはプーチンの年次教書演説に姿を見せず

またカディロフは、プーチンが2月に議会や政府の代表を前に行った年次教書演説を、2年連続で欠席している。

ロシアの日刊紙「コメルサント」は、カディロフの欠席理由について風邪をひいたためだと報じた。だがロシアの独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は、カディロフは新たな病気の治療を受けていたために年次教書演説に出席できなかった可能性があると報じた。

Agentstvoは3月27日に、年初以降にカディロフのテレグラムチャンネルに投稿された動画を分析した。一連の動画はカディロフをアップで撮影した場面が少ししかなく、またカディロフが登場する頻度や彼が映っている場面の長さも以前よりずっと少なかった。

同メディアが引用した追跡データによれば、2月以降、カディロフは定期的に航空機でモスクワを訪れている。ロシアの情報当局との関係を主張するテレグラムチャンネル「VChK-OGPU」は、今ではグロズヌイに必要な設備が導入されて医師がカズロフの元を訪れて治療を行っているため、モスクワ訪問は必要なくなったとしている。


ブレンダン・コール

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