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「目をぶつけた」痛くないから放置→絶対ダメ! 眼科医が「必ず受診して」と促す“最大の理由”

オトナンサー 2024年9月5日 9時10分

 何かの拍子に目を強くぶつけてしまうと心配になるもの。中には、まぶたが内出血して赤紫色になってしまう場合もあります。特に子どもは、ボール遊びや転倒など、日常生活上で目をぶつけてしまうリスクが多いでしょう。

 ぶつけた後に目立った症状が出ていない場合、「病院に行かなくても平気そうかな…」と考え、そのまま放置する人もいると思いますが、いわみ眼科(兵庫県芦屋市)理事長で眼科医の岩見久司さんは「目をぶつけたら、基本的に全て眼科の受診が必要」と指摘します。実際、目をぶつけてしまったらどうすればよいのか、特に注意が必要なのはどのようなケースなのか、さまざまな疑問についてご解説いただきました。

■「網膜剥離」は全く症状が分からない場合も

 目をぶつけたら、全てのケースにおいて眼科の受診が必要です。なぜなら、目は“繊細な臓器”だからです。小さな外力でも重篤になることは珍しくなく、また一般の人の判断で治療が遅れる可能性もあるので、「確実に大丈夫」ということがなければ受診しておきましょう。

 以下は、目をぶつけた後、特に注意が必要な状況・状態です。

【痛みが強い場合】

目の表面、特に黒目の部分(角膜)に傷があると、物が入ったような鋭い痛みがします。これは目の表面に物が当たった場合になり、目を閉じて動かさないようにすると少しマシになります。

目の中で出血や炎症がある場合、重たい鈍い痛みがします。特に、まぶしいものを見ると痛みが強くなります。この場合、前房出血や外傷性虹彩炎(こうさいえん)を疑います。

 また、眼窩(がんか。目の周りの骨の枠)にはまるようなものが当たったときには、目の周りの骨折である「眼窩吹き抜け骨折」が起こります。その際は吐き気や嘔吐(おうと)を伴うような強い痛みが生じます。先日行われたパリ五輪のレスリング76キロ級で金メダルを獲得した鏡優翔選手も、対戦相手の頭が当たり、右目を骨折したと報告されていました。

【見え方がおかしい場合】

「目の表面に傷がある」「目の中で出血している」などの場合は、視力が下がります。また、先述の「眼窩吹き抜け骨折」があった場合は、物が二重に見えたり、目の下の部分にしびれが出たりすることがあります。

また、「飛蚊症(ひぶんしょう)」が出た場合も要注意です。飛蚊症とは、目の中の「硝子体(しょうしたい)」という部分の変化により、視界に動くものが見える症状を指します。これが打撲で出現した場合は、「網膜剥離」が生じている可能性があります。

【腫れや内出血が見られる場合】

おでこやまぶたの皮膚に出血や腫れがある場合で、その他の変化がないとき、交通事故や転落などの強い外力でなければおおむね問題なく、ただの打撲で済んでいる可能性があります。ただ、頭を打っている場合もあるので、腫れや内出血がごくわずかではない場合はしっかり受診をしましょう。また、強い外力を受けた場合は「視神経管骨折」という目の奥の神経周りの骨折もあり得るので、注意が必要です。

なお、白目が腫れている場合は、何かが刺さっている、貫いているような外傷の可能性もあります。本人、あるいは周りの誰かが何か棒のようなものを振り回している場面、何かが飛び込んで来るような場面(草刈りなど)も要注意です。

【子どもが目をぶつけた場合】

目の表面に傷があると、防御反応で目を開けません。また、「機嫌が悪い」なども不調のサインです。訴えができない世代のため、大事をとって診てもらうのがよいでしょう。

【症状がない場合】

いわゆる「網膜剥離」は全く症状が分からず、網膜が剥がれてから分かる場合もあります。

 これらの状態の中で、「眼窩吹き抜け骨折」や「網膜剥離」、目の中の出血などは緊急性が高いです。すぐに受診できる病院を探しましょう。

「眼窩吹き抜け骨折」は鼻腔につながる骨が折れているものなので、鼻をかむ行為は厳禁です。打撲は基本的に冷やすべきなのですが、目が圧迫に対して弱くなっている可能性があるので、冷やす道具がある場合も優しく当てる程度にとどめましょう。

オトナンサー編集部

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