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園児が通園バスに置き去りにされ死亡した事件…「教育者としての責務怠る」第三者委が報告書(静岡・牧之原市)

Daiichi-TV(静岡第一テレビ) 2024年3月29日 18時44分

この事件は2022年9月、牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で、河本千奈ちゃん当時3歳が通園バスに約5時間にわたって置き去りにされ、重度の熱中症で亡くなったものです。

この事件をめぐって静岡地検は、2023年11月、元園長・増田立義被告と元担任の被告の女を業務上過失致死の罪で在宅起訴し、4月23日に静岡地裁でその初公判が開かれます。

この痛ましい事件を受けて、牧之原市は2022年、事故の検証と再発防止策の提言のために第三者委員会を設置。5人の専門家が、1年以上にわたり、会議や事故現場での聞き取り調査を重ねてきました。

29日、発表された”重大事故検証報告書”。46ページにわたるその中身では、事件の問題点のほか、再発防止に向けた提言などが示され、第三者委員会が牧之原市役所で報告を行いました。

まず、今回の事件の問題点について、「運転手が留意すべきバス運行時の注意点や確認手順などを承知していなかった」「送迎業務において、単なる移動時間の補助という位置づけとなっていて、 園児を育てるという認識がなかった」などとし、園児の安全や成長に向き合う教育関係者としての責務を怠ったと園の体制を批判しました。

また、今後の再発防止に向けた主な案として、「保育者の資質や専門性の向上」「園運営の組織育成と体制の見直し」をあげたほか、「安全管理を補完するものとして ICTを活用すること」などを提言。

園長をはじめとする職員の意識改革はもちろん、園児の安全を守るための管理マニュアルの作成は必須であると明記しました。

第三者委員会のメンバーとして、今回の報告書の作成に携わった常葉大学の木宮敬信教授は・・・

(常葉大学 木宮敬信教授)

「通常なら、園長をトップリーダーとして非常勤職員まで、安全に関する情報が共有されたり、研修を行ったりすることが必要だが、そういった体制づくりも十分ではなく、直接的な原因ではないにしても、危険な事故を起こしやすい状況にあった。危機管理の中には、事後の危機管理、遺族対応も含めた関係性の構築も含まれるが、不十分な点があったし、遺族の感情を害するような対応があった。市町ぐるみでとか、近隣の園と共同して、マニュアルの検証や研修の機会を設けることなどにつなげていってほしい」

一方、事件で最愛の娘を亡くした千奈ちゃんの父親。

当時の園長は、事件直後に辞任したものの、現在もその運営を続けている園に対して、新たな園児の募集を停止し、廃園とするよう求めてきました。

千奈ちゃんの父親は、今回示された報告書について「有識者の人たちが1年間かけて議論を進めた結果、当たり前の内容が記されたということは、結果的に基本が全くできていないのが明らかになったということ。平凡なミスで千奈が亡くなったと思うと本当に言葉にならない」と話しました。

また、4月の初公判で出廷する元園長らについて、「用意された言葉ではなく、本心を話してほしい。執行猶予付きの判決ではなく、実刑判決を強く求めたい」とコメントしました。

事件の発生から1年半。悲劇を繰り返さないために、教育や保育の現場に携わる人の意識向上が求められます。

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