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年間1000個の地球接近天体を捉える「小惑星ハンター」次の任務は重力波源観測

sorae.jp 2019年8月21日 20時45分

アメリカのアリゾナ大学は8月14日付で、地球接近天体(NEO:Near Earth Object)の検出を目的に運用されている同大学の観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ(CSS)」の新たな取り組みを紹介しています。

合体間近な中性子星の想像図

■1年で1000個の地球接近天体を発見する「小惑星ハンター」

NASAからの資金提供を受けて運営されているカタリナ・スカイサーベイは、毎年数多くの地球接近天体を発見しています。2018年に発見した天体のサイズは推定2mから1200mまで多岐に渡り、その総数は合計1056個に達します。

100m以上のサイズを持つ小惑星は「シティ・キラー」とも呼ばれており、万が一にも地球の人口密集地に落下すれば大きな被害が予想されることから、その存在をいち早く発見するのは重要な任務です。カタリナ・スカイサーベイは、そんな潜在的に危険な天体を見つけ出す小惑星ハンターとでも言うべきプロジェクトなのです。

観測に使用される望遠鏡のひとつが、海抜2800mの高所にあるレモン山天文台の1.5m望遠鏡。この望遠鏡には、実に1億1100万画素(1万560ピクセル四方)という高画素のCCDセンサーが主焦点に取り付けられています。

レモン山の1.5m望遠鏡(Credit: Catalina Sky Survey)

■カタリナ・スカイサーベイの新たな任務は「重力波源」の観測

小惑星ハンターとして成果を上げ続けているカタリナ・スカイサーベイですが、今年からは新たに「重力波源」の観測任務が追加されました。

現在、アメリカの「LIGO」や欧州の「Virgo」といった重力波検出器によって、ブラックホールや中性子星の合体によるとみられる重力波が幾つも観測されています。特に、2017年に観測された中性子星どうしの合体は貴重な重元素を生み出す「キロノバ」と呼ばれる爆発現象を伴うため、重力波だけでなく可視光を含むさまざまな波長の電磁波でも観測されました。

今回、カタリナ・スカイサーベイではこうした重力波の発生源を可視光で迅速に捜索するために、LIGOが重力波を検出したときのアラートを受け取るためのアップデートが施されました。「Searches after Gravitational Waves Using ARizona Observatories」略して「SAGUARO」(サボテンの一種、和名:弁慶柱)と名付けられたこの取り組みでは、アラートを受信次第、重力波源が存在すると予想される領域にカタリナ・スカイサーベイの望遠鏡が向けられます。

SAGUAROのロゴマーク(Credit: Michael Lundquist)

今年の4月に始まったSAGUAROですが、早くも4月9日、4月25日、4月26日に合計3回のアラートを受信し、迅速に観測できる体制にあることが確認されました。このうち9日はブラックホールどうし、25日は中性子星どうし、26日はブラックホールと中性子星の合体による重力波だったとみられています。

ただ、機械学習も併用することで5つの重力波源候補を絞り込むことはできたものの、4月の重力波に関しては重力波源とみられる天体を突き止めるまでには至っていません。今後はレモン山のお隣ビゲロー山に設置されている広視野の0.7m望遠鏡も観測に加えつつ、引き続き重力波源の追跡観測が実施される予定です。

 

Image Credit: NASA
https://uanews.arizona.edu/story/best-both-worlds-asteroids-and-massive-mergers
文/松村武宏

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