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【年末調整】電子化された控除証明書のメリットや注意点を税理士が解説

相談LINE 2020年12月8日 19時0分

令和2年分の年末調整より、年末調整の電子化がスタートします。これは平成30年度改正を受けてのものです。同年度の改正においては、生命保険料控除の証明書など、一定の年末調整に係る書類について、電子情報で雇用主に提出することができることとされました。
従来、生命保険料控除などの証明書ははがきで保険会社から送付され、そのはがきを年末調整の書類に添付することで生命保険料控除などの適用を年末調整で受けていましたが、今後は保険会社などから電子データで証明書を受領し、その電子データを勤務先に提供することで年末調整において控除を受けられることとなります。

■具体的な流れ

具体的な流れについて、もう少し見ていきましょう。国税庁のホームページによると、従業業員が、保険会社等から控除証明書等を電子データで受領した後、国税庁のホームページから年末調整控除申告書作成用ソフトウェアをダウンロードする必要があります。

このソフトウェアは国税庁が年末調整のために無償で配布するソフトウェアで、年末調整書類の記載事項である住所・氏名等の項目を入力した上で、上記の控除証明書などの電子データをインポートすることで年末調整申告書の電子データが作成されるようです。

従業員は、この電子データを勤務先に提供することで年末調整手続きが完了するとともに、雇用主は提供された電子データを、自社の給与システム等にインポートして年末調整の計算を行うこととなります。

■電子化のメリット

このような手続きになると、煩雑な年末調整業務が多いにスリム化されますので、勤務先にとっても大きなメリットになります。もちろん、従業員にとっても大きなメリットになり、とりわけ年末調整時に問題になっていた、控除証明書の紛失のリスクがなくなることは大きいと言えます。

反面、電子化は一朝一夕にはできないでしょうから、早めの準備が必要になります。

■最も重要なのは届出書

とりわけ、最も重要なのは、年末調整の電子化には、あらかじめ税務署に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」という申請書の提出が必要になることです。書類の提出がなければ認められませんので注意してください。

なお、この申請書は、提出月の翌月末日に承認があったとみなされますので、電子化には少なくとも二月程度の期間が必要になります。

■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在の専門は元国税調査官の税理士として税務調査のピンチヒッターと税務訴訟の補佐。税法に関する著書、講演、取材実績多数。税務調査対策術を無料で公開中。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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