昨年、『ハケンアニメ!』で日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞するなど、その演技力と表現力が高く評価されている俳優・小野花梨。反町隆史主演の大学病院を舞台にしたサバイバル医療ミステリードラマ『グレイトギフト』では、検査技師・奈良茉莉役を好演している。
◆撮影現場で毎回緊張していたコト
――まずはドラマについての感想を聞かせてください。
毎回いただく脚本を読むのがとても楽しみです。視聴者のみなさんと同じ目線で一話一話、驚きながらお話の行方を追っています。真犯人を考察しながら進ような作品に参加するのはほぼ初めてで、茉莉の無邪気でお茶目な役柄も相まって、演じるのが楽しいです。
――個人的には意外と茉莉が怪しいのでは、と思っているのですが……。
えー! そうですか!? でも、彼女の明るさが逆にそう思わせるかもしれないですね。とにかく怪しい人がいっぱいでてきますし、たくさんの個性的なキャラクターが繰り広げる群像劇なので、そこもぜひ見て欲しいです。
――主演の反町さんをはじめ、そうそうたるメンバーとの共演はいかがですか?
クランクインしてすぐは現場にいる時間が少なくて、毎回、反町さんに挨拶をすることにさえ緊張していました。お会いするたびに反町さんがお持ちのエネルギーに驚きますし、スターの威力に圧倒されます。
◆毎作品“学び”がある。それがこの世界に居続けている理由
――5歳で劇団に入り、8歳でドラマデビュー。実は20年というキャリアということもあり、“演技派”と呼ばれることも多いと思うのですが。
身に余るお言葉で、恐縮です。自分がどんなに望んでも、役をいただけないことには演じられないので、毎回、奇跡のように思っています。
――“元子役”という肩書きについてはいかがでしょう。
1mmも重さを感じたことはないです。というのも、小さい頃に出会った人とかいただいた言葉とか経験が、1つ残らず血肉になっている自覚があって。たくさんの人にお世話になって今、自分がここにいる自負がありますので、子役をやらせていただけた時間は宝物です。
――貴重な経験だったと。
自分のほうが何年も先にこの世界にいるはずなのに、気づいたらみんな大成していって「あれ?」みたいに思うこともありましたけど、その感情すら決して無駄ではなくて、それも子役から仕事をさせてもらったからならではと思うと、ありがたかったです。
――逆に子どもの頃から仕事をしていて良くなかったことはありますか?
この仕事が楽しすぎて、学校があまり楽しく感じられなかったことですね。学校という世界を窮屈に感じてしまって、純粋に楽しめなかったんです。部活にも入りませんでしたし、先輩後輩の関係や交流もまったくといっていいほどなく……。もし俳優という道を選ばなかったらそういう楽しさもあったかなとは思いますが、後悔はありません。
◆目の前にある小さい満足を抱きしめたい
――今の小野さんの俳優という仕事に対する考え方、向き合い方を聞かせてください。
毎作品“学び”があります。それがこの世界に居続けている理由な気がしています。いつだって自分がそのチームの一番後輩で、今回も何かを得て帰るぞ! という気持ちで、常に自分を疑いながら、変化を続けていきたい。今はそれ以上でもそれ以下でもないのかなと感じています。
――では、将来の目標は?
あまり大きな目標を持たずにここまでやってきているんです。大きな目標を持つことって、今の自分に満足してないような、今ある毎日に感謝できなくなるような感覚があって。目の前にある小さい満足を抱きしめて日々を過ごしていきたいです。そうやって流れ着いた先にもし何かがあるなら、それはそれで味わい尽くしたいですね(笑)。
◆「一人で過ごすことがすごく好き」
――普段の小野さんの過ごし方について聞きたいのですが。
一人で過ごすことがすごく好きなんですよ。家でずっと読書したり、料理したり。去年の末はパンづくりにハマってベーグルとかロールパンを焼きました。ほかにも小豆を炊いて餡子を作ったり、散歩はもちろん、温泉巡りしたり。食べ放題にも一人で行きます(笑)。
――この季節ならではの楽しみといえば?
コタツで寝ることですね。コタツってやっぱりどうしたって夏には出会えない一品ですので(笑)、ここぞとばかりに味わってます。
――コタツに入って本を読むなんて最高ですよね。
そうですよね。本屋さんに行って、話題の小説を探す時間もとても好きです。
◆クリスマスのお供はみそ汁と納豆
――最近読んだ本で印象に残っているものはありますか。
中村文則さん。人間の卑しい部分とか不条理な部分とか、そういうモノをきれいきれいに書かないところが好きなんです。最新作の『列』も不気味で怖いのに目が離せなくて一瞬で読んでしまいました。
――2月はバレンタインデーがありましたけど、いかがでしたか?
私、イベントアンチなので(笑)、そういうイベントごとにはなかなか縁がないですね。クリスマスもケーキやチキンは一口も食べず、みそ汁とか納豆とか食べてます。
何気ない日常を愛する彼女の演技をこれからも注目していきたい。
【小野花梨プロフィール】
’98年、東京都生まれ。’06年、ドラマ『嫌われ松子の一生』でデビュー。主な出演作は『カムカムエヴリバディ』『罠の戦争』『初恋、ざらり』『お別れホスピタル』など。’23年、映画『ハケンアニメ!』で第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。現在出演中のドラマ『グレイトギフト』はテレビ朝日系にて毎週木曜よる9時~放送中。脚本は『キングダム』『謎解きはディナーのあとで』も担当した黒岩勉が務めている
<撮影/鈴木大喜 取材・文/中村裕一 ヘアメイク/森下奈央子 スタイリング/髙橋美咲(Sadalsuud>
【中村裕一】
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter
◆撮影現場で毎回緊張していたコト
――まずはドラマについての感想を聞かせてください。
毎回いただく脚本を読むのがとても楽しみです。視聴者のみなさんと同じ目線で一話一話、驚きながらお話の行方を追っています。真犯人を考察しながら進ような作品に参加するのはほぼ初めてで、茉莉の無邪気でお茶目な役柄も相まって、演じるのが楽しいです。
――個人的には意外と茉莉が怪しいのでは、と思っているのですが……。
えー! そうですか!? でも、彼女の明るさが逆にそう思わせるかもしれないですね。とにかく怪しい人がいっぱいでてきますし、たくさんの個性的なキャラクターが繰り広げる群像劇なので、そこもぜひ見て欲しいです。
――主演の反町さんをはじめ、そうそうたるメンバーとの共演はいかがですか?
クランクインしてすぐは現場にいる時間が少なくて、毎回、反町さんに挨拶をすることにさえ緊張していました。お会いするたびに反町さんがお持ちのエネルギーに驚きますし、スターの威力に圧倒されます。
◆毎作品“学び”がある。それがこの世界に居続けている理由
――5歳で劇団に入り、8歳でドラマデビュー。実は20年というキャリアということもあり、“演技派”と呼ばれることも多いと思うのですが。
身に余るお言葉で、恐縮です。自分がどんなに望んでも、役をいただけないことには演じられないので、毎回、奇跡のように思っています。
――“元子役”という肩書きについてはいかがでしょう。
1mmも重さを感じたことはないです。というのも、小さい頃に出会った人とかいただいた言葉とか経験が、1つ残らず血肉になっている自覚があって。たくさんの人にお世話になって今、自分がここにいる自負がありますので、子役をやらせていただけた時間は宝物です。
――貴重な経験だったと。
自分のほうが何年も先にこの世界にいるはずなのに、気づいたらみんな大成していって「あれ?」みたいに思うこともありましたけど、その感情すら決して無駄ではなくて、それも子役から仕事をさせてもらったからならではと思うと、ありがたかったです。
――逆に子どもの頃から仕事をしていて良くなかったことはありますか?
この仕事が楽しすぎて、学校があまり楽しく感じられなかったことですね。学校という世界を窮屈に感じてしまって、純粋に楽しめなかったんです。部活にも入りませんでしたし、先輩後輩の関係や交流もまったくといっていいほどなく……。もし俳優という道を選ばなかったらそういう楽しさもあったかなとは思いますが、後悔はありません。
◆目の前にある小さい満足を抱きしめたい
――今の小野さんの俳優という仕事に対する考え方、向き合い方を聞かせてください。
毎作品“学び”があります。それがこの世界に居続けている理由な気がしています。いつだって自分がそのチームの一番後輩で、今回も何かを得て帰るぞ! という気持ちで、常に自分を疑いながら、変化を続けていきたい。今はそれ以上でもそれ以下でもないのかなと感じています。
――では、将来の目標は?
あまり大きな目標を持たずにここまでやってきているんです。大きな目標を持つことって、今の自分に満足してないような、今ある毎日に感謝できなくなるような感覚があって。目の前にある小さい満足を抱きしめて日々を過ごしていきたいです。そうやって流れ着いた先にもし何かがあるなら、それはそれで味わい尽くしたいですね(笑)。
◆「一人で過ごすことがすごく好き」
――普段の小野さんの過ごし方について聞きたいのですが。
一人で過ごすことがすごく好きなんですよ。家でずっと読書したり、料理したり。去年の末はパンづくりにハマってベーグルとかロールパンを焼きました。ほかにも小豆を炊いて餡子を作ったり、散歩はもちろん、温泉巡りしたり。食べ放題にも一人で行きます(笑)。
――この季節ならではの楽しみといえば?
コタツで寝ることですね。コタツってやっぱりどうしたって夏には出会えない一品ですので(笑)、ここぞとばかりに味わってます。
――コタツに入って本を読むなんて最高ですよね。
そうですよね。本屋さんに行って、話題の小説を探す時間もとても好きです。
◆クリスマスのお供はみそ汁と納豆
――最近読んだ本で印象に残っているものはありますか。
中村文則さん。人間の卑しい部分とか不条理な部分とか、そういうモノをきれいきれいに書かないところが好きなんです。最新作の『列』も不気味で怖いのに目が離せなくて一瞬で読んでしまいました。
――2月はバレンタインデーがありましたけど、いかがでしたか?
私、イベントアンチなので(笑)、そういうイベントごとにはなかなか縁がないですね。クリスマスもケーキやチキンは一口も食べず、みそ汁とか納豆とか食べてます。
何気ない日常を愛する彼女の演技をこれからも注目していきたい。
【小野花梨プロフィール】
’98年、東京都生まれ。’06年、ドラマ『嫌われ松子の一生』でデビュー。主な出演作は『カムカムエヴリバディ』『罠の戦争』『初恋、ざらり』『お別れホスピタル』など。’23年、映画『ハケンアニメ!』で第46回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。現在出演中のドラマ『グレイトギフト』はテレビ朝日系にて毎週木曜よる9時~放送中。脚本は『キングダム』『謎解きはディナーのあとで』も担当した黒岩勉が務めている
<撮影/鈴木大喜 取材・文/中村裕一 ヘアメイク/森下奈央子 スタイリング/髙橋美咲(Sadalsuud>
【中村裕一】
株式会社ラーニャ代表取締役。ドラマや映画の執筆を行うライター。Twitter⇒@Yuichitter