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「妻に激ギレされる失態も」育児休業を3か月間とったSPA!の30代男性編集者が感じた“10の知っておくべきこと”

日刊SPA! 2024年3月17日 8時53分

 このところ、男性の育児休業取得のニュースをよく目にする。実際、政府も男性の育休取得公表義務の対象となる企業を拡大したり、イオンのような大手企業は子育て世帯への手取り100%補償制度をはじめたりと、なんとかして育児休業を取らせようと躍起になっているように見える。
 実際、政府は2030年までに男性の育児休業取得率を85%までに引き上げることを目標としている。厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、2022年の男性の育児休業取得率は17.13%。まだまだ道のりは遠いようだが、96年度0.12%、15年2.65%、2017年5.14%だったので、急激に数値が伸びていることは間違いない!

 もはや世間の空気的にも「育休は取って当然!とらせない会社はひどい!」みたいな感じだが、かくいう筆者もそんな世間の声を追い風に約3か月の“イクメン生活”をさせてもらった。ウェブメディア「日刊SPA!」の編集者として、普段はそれなりに忙しく、不規則な勤務形態で働いている。もちろん個人によって事情は異なり、必要な情報も異なるが、今回は、私なりに事前に知っておくと役立ちそうな育休の情報を10つまとめて紹介したいと思う。

◆1)育休取得前にやることはたくさんある

 育休を取ること自体は、妻の妊娠が発覚してから、お互いに相談して早い段階で決めていた。会社にも3か月くらい前から上司にそれとなくその意思を伝えていた。規則としては育休の1か月前に必要書類を提出する決まりだが、後任者への引継ぎや仕事の調整などやることは山ほどある。もちろん、会社は育休の取得を拒否することはない(法律で禁じられている)が、引継ぎ資料の作成や上司への報告など、早めの準備を心がけるに越したことはないと。ただでさえ、出産前には職場や病院、自治体、家族関係など連絡をしなければいけない事柄がたくさんあるのだ。

◆2)制度は手厚い(ただし申請は大変)

 よく言われているが日本の育休制度は、取得率こそ低いが、手厚さは世界でもトップクラスである。育休自体は出産から子供が1歳(最長2歳)になるまで取得でき、2回に分けることもできる。180日間(半年)は賃金の67%、181日目以降は賃金の50%を受け取ることができる(しかも給付は非課税)。翌年の住民税も安くなり、給付期間中は社会保険料(健康保険と厚生年金)の納付が免除される。

 また、自治体ごとにさまざまな子育て支援がある。私は東京都民だが、月額5000円が支援される「018サポート」という制度、産前産後に合計15万円分のギフトカードがもらえる「出産・子育て応援ギフト」という制度もある。

 着実に支援環境が整いつつある一方で、申請が難しかったり、通るのに時間がかかったりすることは気になった。私の場合、出産応援ギフト(5万円分)と、子育て応援ギフト(10万円分)を夫婦別々に付与させてしまい、あとで妻に激ギレされるという大失態を犯している(本来であればどちらかのIDに統一させる)。できるかぎり前から、少しずつ計画づくりを進めることが大切だと感じる。

◆3)パートナーを大事にしたほうがいい

 妻が入った病院では出産して5日目(はやっ!)には退院する。もちろんお互いの両親に来てもらって手伝ってもらえるならそれがベストだが、ともに地方出身者である私たち夫婦は、年齢や仕事などさまざまな事情があり、それは叶わずその日から2人だけで子育てをした。子供を産んで、身体的にも、精神的にも大きな負担を受けた(いわゆる産褥期の)妻は、いろいろと不安定になりがち。

 とにかくパートナーを大事にすることを私は心がけていた。ライターさんや編集長から「産後の恨みは一生残る」と聞かされ、さらに主体性を出すために「手伝う、参加するといった言葉はNG」だとも言われていた(それでもつい使ってしまうが)。今後の夫婦生活を円満にするためにも、とにかく妻には優しくしたほうがいい。

◆4)おばあちゃんの知恵袋は役に立つ

 生まれたばかりの子供はとにかく泣く。正直想像以上のしんどさだった。退院して2日目、まったく赤ちゃんが泣き止まずに限界突破していた時期があった(本当にはやい)。

 そこで、すがる思いで私は、実家に暮らす妻の母親(義母)にビデオ電話をした。すると、私たちの話を聞いて、瞬時に状況を把握した義母は一言。「立てばええんや……」。実は、私は座って赤ちゃんをあやしていたのだ。立ち上がって歩きながらあやしたほうが、赤ちゃんは“輸送反応”と呼ばれ、泣き止むのだが、これを試した途端、本当に泣き止んだ。

 また別のときには、ベビーカーで号泣した赤ちゃんをビデオ通話ごしに見て、また一言。「幌(ほろ)を開ければええんや」。やはりすぐ泣き止んだ。「周りの景色が見られなくて寂しかったんや」という義母の言葉に、科学的根拠があるか不明だが、わかったのは、彼女は経験的に赤ちゃんのあやし方を知っているということ。毎日、深夜3時頃まで飲酒&アニメ視聴している義母だが、実は頼りになる存在であると、私はこのとき思ったのだ。あのときは本当にありがとうございました。

◆5)申請関係は早めにやっておこう

 出産1か月後から赤ちゃんの予防接種がはじまる。しかし、申請しても予約が取れるのは1か月後みたいな話が育児期間中はよくある。前出の「018サポート」に関しても、マイナンバーカードや住民票など必要書類を申請しても、その結果が分かるのは(私の場合だけかもしれないが、こちらも)1か月後だったりする。

 下手すると育休明けになってしまいかねないので、出産前から少しずつ準備をして、出産したら早めに申込むように心がけたい。産前からの準備はわかっていても、忙しいので、つい後回しにしがち。それでもやっぱり早めに準備するようにと念押ししておく。

◆6)育休を当然だと思わない

 世の中的に育休取得を奨励する流れがあり、幸運なことに私の職場もそれを応援してくれていたので、私はにすんなりと育休に入ることができたが、それが当然の権利だとはあまり思っていない。もちろん、男性の育児休業取得率が増えるのはよいことであるし、女性だけが育児負担が増えることはあってはならない。

 しかし、つい先日ある50代の男性と話していたときに「俺らの時代は、育休中とりたいなんて言ったら、じゃあ明日から来なくていいよだったから」と言われたのが、ミョーに印象に残っている。確かに、数十年前まではそれが常識だったのだ。

 いまだにさまざまな考えを持つ人はいるだろうし、自分が恵まれた時代にいるのだから、職場で代わりに働いてくれている人たちへの感謝の気持ちは持っておいたほうがよさそうだ(なんて書くとゴマを擦っているようだが)。職場復帰がスムーズにできるように事前準備をしたり、復帰時には簡単な手土産も持って行ったりしたほうがいいだろう。双方が気持ちよく働けるようにすることで、育休制度自体も長く、より活用されていくと思うのだ。

◆7)家族の助けはなるべく借りよう

 状態にもよるが、赤ちゃんのおおよそ出産1か月後から自動車や電車など長距離の移動が可能になる。私の場合は、出産から40日後に、妻と赤ちゃんとともに車で実家に帰省し、1か月弱お世話になった。2人きりの育児は大変だ。それがもう一人いるだけでここまで変わるのかというくらいラクになった。

 たとえば2人きりだと、1人は育児、もう一人は家事だったのが、そこに1人加わるだけで、1人分の手が空く。その間に休憩できるのだ。実家に帰ってはじめてゆっくり落ち着くことができたと思う。こちらが出向くのではなく、来てもらうのでもいいので、家族のサポートは受けておくに越したことはない。その節は、本当にちゃーさんありがとうございました。

◆8)ガチで使って役立ったモノはこれ

 育児に必要なおむつやミルクなどのベビー用品は、本当にいろいろな種類がある。おむつだけでも4、5メーカーから出ており、どれがいいかわからない。もちろん、それぞれ実際に一度使ってみて判断するのが一番だが、参考までに私の日用品のおすすめを載せたい。

 粉ミルク「森永E赤ちゃん エコらくパック」、おむつ「花王メリーズ」、哺乳瓶「ピジョン母乳実感」(高額なので保有する哺乳瓶全体の半分くらいあれば)、赤ちゃん用洗剤「アラウベビー 洗濯用せっけん 無香タイプ」、保湿クリーム「アトピタ 保湿しっとりクリーム」。抱っこでは「エルゴ」と「コニー」の2つを家用と外用で使い分けた。エルゴはサイズ調整がしやすく体への負担も少ない。コニーは家での寝かしつけに最適だった。

 また、アプリでは育児記録アプリ「ぴよログ」、家族アルバム「みてね」の2つが大いに役立っている。「みてね」にはお互いの両親や海外に住む親せきを招待し、娘の成長の様子を見守ってもらっている。写真に対し、いろいろなコメントが入るのが面白い。妊娠中は出産サポートアプリ「パパninaru」、出産直後は「ninaru baby」をダウンロードし、育児情報を取り入れていたが、宣伝や広告が多いのが気になり今はそこまで使っていない(妻は「ninaru baby」は寝かしつけの音楽が流せるので便利だと言っていた)。

◆9)思った以上に来客が多い

 出産は私たち夫婦にとっても大きなイベントだったが、それぞれの両親や親戚にとってもそうだったようで、私たちの親族も、わざわざ群馬や京都、さらにはアメリカから娘の顔を見にやってきてくれたのだ。事前に知らせてくれることもあれば、当日になって実はもう、家や病院のそばに来ていたなんてケースもある。

 常に突然の来客があると思って、家の片づけや買ってきて(持ってきて)ほしいものを思い浮かべておくとよい。また、出産祝い金をもらったら1か月以内に内祝いを返すことを忘れずに。

◆10)酒はノンアル。おすすめは…

 最後にSPA!っぽいエピソードとして、育休中の飲酒について書きたい。編集者という仕事柄、打ち合わせと称してライターさんや漫画家さん、編集者の知り合いたちと飲みに行く機会が多かったが、コロナ禍、妻の妊娠が発覚してからは飲みに行くこと自体はほぼなくなった。

 かわりにたまに晩酌代わりにストックしてある缶ビールや缶チューハイを飲んでいたのだが、子育て中となるとそうはいかない。そんなとき重宝していたのがノンアルコールビール。いろいろ飲んでみたが、個人的にはサントリー「オールフリー」がもっともビールっぽさがあって美味しかった。柑橘系の爽快感がある「オールフリー ライムショット」、どこまで効果があるか不明だがGABA配合で記憶力を高めるという「あしたを想うオールフリー」がよかった。わりとレアな商品らしいが「【国産無添加】日本ビール 龍馬1865」も見つけたら買っていた。ぜひ参考にしてほしい。

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 最後に伝えたいこととして、出産からわずか数か月間で、新生児は驚くほど成長していく。肌ツヤが良くなったり、手足もプックリと太ってくる。徐々に言葉らしきものを発してきて、日々の写真を振り返っても、1日として同じ顔はないといっても過言ではない。私は妻と話して出産直後のもっともしんどい3か月間に育休をとったが、同じ日は一日もないと思って、誤解を恐れずに言えばぜひ育休をエンジョイしてほしい。

<TEXT/日刊SPA!取材班(シルバー井荻)>

【シルバー井荻】
平成生まれのライター、編集者。ファミマ、ワークマンマニア。「日刊SPA!」「bizSPA!フレッシュ」などの媒体で執筆しています

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