Infoseek 楽天

家の駐車場を“一面の”砂利やアスファルトにしてはいけないワケ。「タイヤ痕が残らない」駐車場の作り方とは――仰天ニュース・大反響トップ10

日刊SPA! 2024年3月20日 15時45分

反響の大きかった2023年の記事からジャンル別にトップ10を発表してきた。今回は集計の締切後に、実は大反響だった記事に注目。年間ランキングで忘れられがちな11月12月に公開した仰天ニュースから選ばれた、第5位の記事はこちら!(集計期間は2023年11月~2024年1月。初公開2023年12月3日 記事は取材時の状況) *  *  *

今、住宅系のYouTube界隈を騒がせている男がいる。動画チャンネル『ジュータクギャング』の押村知也だ。設計から建築、インテリアコーディネイトに至るまで住宅に関するすべてをこなす住宅のスペシャリスト「住空間クリエイター」である。歯に衣着せぬ彼の発言は、わかりやすくて痛快。『ジュータクギャング』は、更新のたびに視聴者の心をつかみまくっている。

そんな押村は、「外構のポイントは『自然』にあり」と断言する。新築やリノベーションの予定がある方は、ぜひ、参考にしてもらいたい。

建物の周りにあるものを、外構(エクステリア)と呼ぶ。車を停めるスペースや、玄関までのアプローチ、植栽などをイメージしてもらえるといいだろう。外構のイメージを大きく左右するポイントはいくつかあるが、まず、考えるべきは、地面に何を敷くかという問題。現在は、雑草対策もあり、多くの人は砂利やコンクリートを敷き詰めることを選ぶが……。

◆砂利やアスファルトを一面に敷くのはNG

家を建てるとなると、多くの人は建物に予算を集中させてしまうため、後回しになりがちな外構。だが、これらも家屋と同じように経年変化していく大事な資産。もっとも人の目につく場所なので最初からしっかりとした計画を立てておきたい。

「最近、資材の高騰もあって外構の予算を削る方が本当に多い。しかし、外構が見すぼらしいと、いかに建物にお金をかけても意味がありません。まず、ここだけは頑張ってほしいというポイントがあるのでご紹介します。コストが安いからといって全面に砂利を使うのはやめましょう。一面すべて砂利は、駐車すると沈みます。土のうえに砂利を乗せているだけの状態ですから。年月が経てばどうしても沈下します。僕らが砂利を敷く場合は、下に基礎のコンクリートを打ちますが、そこまでやると結果、高くつく。であれば、別の材質を選んだほうがいいでしょう」

砂利に次いで費用がかからないのは、アスファルトだ。

「たまにガレージの下に使っている人を見かけますが、下地に何もしなかったら穴が開きます。国がメンテナンスしている道路ですら穴が開きますから。また夏場は蓄熱してものすごく暑くなるので、アスファルトはなしです」

続く素材がコンクリート、インターロッキング、タイル、天然石などだ。

「コンクリートは汚くなるのが最大の弱点です。気になるのはタイヤ痕。黒いタイヤの痕が何本も残った駐車スペースはよく見かけます。雨だれも目立ちますね。インターロッキングというのは、レンガ調のコンクリートブロックのことで、よく歩道などに使われています。使い続けると、凹んだり欠けたりしますし、見た目が人工的な感じがするので、僕はあまり好みではありません。タイルは最初がキレイですが、清掃性は少し劣ります。天然石や自然石は、いい石を手に入れられるルートがあるならオススメ。費用はかかりますが、玄関までのアプローチなどに使うと美しい雰囲気がでます」

◆組み合わせながら、自然に寄せる。ヴィンテージの風合いを出す

ここまで欠点のある素材のほうが多かったが、結局、何がお勧めなのだろうか。

「僕がいま出している正解の一つは、組み合わせることと、自然に寄せることで、ヴィンテージ感を出すことです。前者の組み合わせというのは、メインをひとつに決めるのではなく、コンクリートと天然石、それにヴィンテージレンガの3種類を組み合わせる手法を指します。ヴィンテージレンガというのは、先ほどのインターロッキングとは違い、わざとバラつきを持たせた、自然に近いレンガ素材です。組み合わせることによって、質感の違いなどを見せます」

後者の自然に寄せるとは?

「例えば、コンクリートの打ちっぱなしは、四角く区切るのではなく、丸く曲線にして、目地には芝生や砂利を入れます。なぜ曲線なのかというと、自然界には人工的な直線は存在しません。外構はあくまで『外』なので、自然に近づけたいからです。目地も自然に近いものがいい。また、タイヤ痕を減らすにはコツがあって、まずキレイな表面をつくってからわざわざ流して仕上げます。表面をザラつかせることによって凸凹をつくり摩擦を減らすわけです。するとタイヤが全面に当たらないので、タイヤ痕は残らなくなります。ヴィンテージレンガも、施工時に大きさを割ったり高さを変えたりと、手間を加えて自然に近づけていきます。そう考えると天然石は言わずもがなです。そうやってつくり上げた外構は、最初からすでにある程度の風合い、ヴィンテージ感があり、なおかつ使えば使うほど味が出てくる。経年劣化ではなく、『経年美化』の外構というわけです」

外構は自然に近いほうがいい、というのは納得である。

〈取材・文/ツクイヨシヒサ〉

【押村知也】
(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設

この記事の関連ニュース