阪神・藤川監督が、今キャンプで初めて選手に密着レッスンを施した。ブルペン投球をする1年目の椎葉に対し、自ら“こうするんだよ”と実演。投げ終わった後、左側のお尻で体重を受け止めるよう、アドバイスを送った。
「迷い込まないように、ですね。自分への落とし込み方は人それぞれ違う。アプローチの仕方を変えて、わかりやすいように説明をするというだけ」
右腕の隣で教える前には、捕手をホームベースの前に移動させ、投球の距離を詰めさせる工夫もしていた。
「フォームで悩んでいるのか、ボールがうまくいかなくて悩んでいるのか、どっちか、はっきりしないといけない。今はフォームの乱れを修正しているところ。それなのにボールを気にしていた。であれば、キャッチャーを前にしたほうがメカニック(フォーム)は安定しやすいので」
約10分間のマンツーマン指導。複数のコーチが授けた修正点を簡素化し「捕手を前に」という良化のための舞台装置も設けた。悩めるドラフト2位ルーキーは、光が差し込んだように「その通りだと思った。左で(体重を)受けないといけない。安定してくると思います。まあまあ、ぶれているので」と手応えを口にした。
10月の甲子園での秋季練習で就任後初めて直接指導したのが椎葉で、いわば強化指定選手。甲子園では及川、この安芸では門別にも直接の技術指導をしたものの、ワンポイントレッスンの色合いが強く、この日のような濃密な時間は初と言っていい。“火の玉レッスン”を消化した先に、今年かなわなかった1軍デビューが待っている。 (倉世古 洋平)