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財務次官に主計局長の矢野氏 組織立て直しと菅政権下支えが課題

財界オンライン 2021年7月9日 11時30分

財務省の次期事務次官に矢野康治主計局長(1985年旧大蔵省)が就任した。矢野氏は一橋大卒で、2006年7月の藤井秀人氏(71年同、京大卒)以来の東大出身者以外の次官誕生となることがマスコミで話題を呼んでいる。

 一方、霞が関では、菅義偉政権の官邸の機能強化に向けて有力人材を提供してきた同省のトップが、12~15年に当時官房長官だった菅氏の秘書官を務めた「側近中の側近」官僚の矢野氏となることが注目されている。

 矢野氏は昨夏、税制を担う主税局長から異例の横滑り人事で、予算や経済対策を担当する主計局長に就いた。同期入省のライバルで「主計局畑のエース」とされた可部哲生氏が上がりポストの国税庁長官に回ったことから、矢野氏の次官昇格が有力視されていた。

 矢野氏の次官抜擢の背景について、有力次官OBは「部下からの人望が厚い矢野氏をトップに据えることで組織の立て直しを図る狙いが
あった」と解説する。同省では近年、森友学園への国有地売却を巡る公文書の改竄問題や元次官のセクハラ発言問題などスキャンダルが相次いだ。しかも、安倍前政権下では、経産省出身官僚に税制や予算まで政策決定の主導権を握られた。

 その結果、主計局を中心に現場の士気は著しく低下。そこで昨夏の人事で、省内でも有数の財政健全化論者の矢野氏を次官待ちポストの主計局長に抜擢し、省内の不満解消を図ったという。

 今回、菅首相の信認が厚い矢野次官の誕生で、財務省が政策決定でどこまで影響力を及ぼすことができるかが注目される。コロナ禍に対応した経済対策に伴い財政赤字は一段と膨らんでおり、年内には財政健全化目標の見直しも予定されている。「官房長官秘書官時代から、物おじせず、諫言してきた」といわれる矢野氏。次官としてコロナ対策の巨額赤字を埋め合わせる特別増税などに道筋を付けられるか、真価が問われそうだ。

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