【外務省】OB2人のメディア対応 〝リップサービス〟に苦虫
財界オンライン / 2024年5月1日 15時0分
最近の外務省で、複数の幹部が頭を悩ませているのが、昨年退職した2人のOBの言動だ。大手メディアで同省の方針を批判したり、本来は機密扱いの情報を流したりしているが、2人とも高い知名度を誇るだけに、幹部は対応を決めかねている。
1人は山上信吾前オーストラリア大使。厳しい対中政策で知られ、大使時代は豪州メディアのインタビューに「中国に気を付けた方がいい」などと発信してきた。昨年12月に退職した山上氏は、今年2月に『中国「戦狼外交」と闘う』(文春新書)を出版。この中で、在豪州の日本大使館で自衛隊の記念日に関するレセプションを開く際、陸海空の各自衛隊旗を掲揚することを提案したが、「当時の森健良外務事務次官が止めた」などと言及した。「このような姿勢では、中国に足元をみられる」などと批判も強めている。
外務省の現役局長は「本には機密扱いの公電でやり取りした内容も含まれており、明らかに内規に違反する」と語る。
もう1人は、垂秀夫前中国大使だ。独自の人脈を駆使しながら中国政府の盲点を突くような動きをすることで知られ、同省関係者は「外務省の中でも異端児扱いされてきた」と語る。
垂氏も昨年12月に同省を退職後、NHKを含む複数のメディアに出演し、鋭い切り口で日本の対中政策を解説してきた。同省OBは「垂は山上のように、外務省に毒づくようなことはないが、メディアにかなり『リップサービス』することが多い。在北京大使館が足で稼いだ情報も易々と流すことがある」と表情をしかめる。
ただ、外務省の内部には、2人に好意的な意見もある。強権的な習近平政権に押され気味の外務省の対中政策に、不満を抱える勢力もあるからだ。多くは次官を退いた森氏の外交路線に批判的な人々でもある。
「2人を批判したり、逆に理解を示したりする動きは、詰まるところ省内の派閥争いや次官レースとも結びついている」
ある外務副大臣経験者は、こうした省内の動きを面白そうに分析した。
上川陽子・外務大臣「トルコなどの首脳と話してきて、日本への期待を感じました」
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