NY市場サマリー(1日)
ロイター / 2020年5月2日 6時19分
[1日 ロイター] - <為替> 安全通貨と見なされる円に買いが入った一方、豪ドルなどのリスク通貨が下落した。米トランプ政権が新型コロナウイルス感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する可能性があることが関係筋の話で明らかになったことを受け、リスク選好度が低下し、安全資産に資金が流れている。
米当局者を含む複数の関係筋によると、新型ウイルス感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する動きが米政権内で出ており、中国への制裁発動や、新たな関税またはその他の貿易制限のほか、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」を中国に対し認めない措置などが検討されている。
トランプ大統領は米国でも死者が増大している新型ウイルスの感染拡大を巡り中国に対する非難を強めており、感染拡大を受け中国との通商合意の重要度は後退したとの認識をこれまでも示している。
アクション・エコノミクスは「トランプ大統領が感染拡大を巡り中国を非難し、新たな関税発動の可能性をちらつかせたことで、株式市場で見られていた良好なムードが冷え込んだ」と指摘。「市場が『リスクオフ』となったことで、(安全通貨と見なされる)円がアウトパフォームする一方、コモディティー通貨はアンダーパフォームした」と述べた。
円
中国人民元も対ドル
ユーロは対ドル
主要6通貨に対するドル指数<=USD>は0.04%低下の99.08。
この日は欧州とアジアの市場の多くがメーデーの祝日のため休場だった。
MUFGの調査部門責任者、デレック・ハルペニー氏は「新型ウイルス感染拡大が及ぼしている影響の規模を踏まえると、ロックダウン(都市封鎖)などの感染抑制策が緩和されるに従い、地政学的な緊張が高まるリスクは当然増大する」とし、「将来的に世界的な通商問題の新たな火種となる」と指摘。ドイツ銀行の外為ストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は米国が政治的意図を持って中国に対する資本規制を導入した場合は、「明らかにドル売り要因となる」と指摘。「外貨準備がドルからユーロ、円、英ポンドなどにシフトする可能性がある」と述べた。
<債券> 国債利回りが小幅に上昇した。市場は来週公表される四半期定例入札の詳細に注目しているという。大規模な新型コロナウイルス対策の資金調達に向け、規模が膨らむと想定されている。
指標10年債利回り
ジェフリーズの金融市場エコノミスト、トム・シモンズ氏は「来週のリスクイベントを控え、大きなポジションを構築する投資家はいないだろう」と指摘。四半期定例入札は「天文学的な金額になる」とした。
また「財務省が工面しなければならない資金は巨額に上るため、資金調達を巡る問題の処理の仕方には多くの不確実性がある」と語った。
さらに市場は4月の米雇用統計にも注目しているとし、「データが悲惨なものになることはすでに分かっているが、市場が詳細な内容に反応するかどうかが問題だ」と述べた。
この日の小幅な利回り上昇は、米政権が中国保有の米国債の一部を帳消しにすることを協議しているとの米紙ワシントン・ポストの報道に対し、米債市場がさほど関心を持っていないことも示唆した。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は報道について「無実無根」と述べた。
サントラスト・アドバイザリー・サービシズの債券戦略部門ディレクター、アンドリュー・リッチマン氏は、理論的には米国債を帳消しにするという見方で米債の安全性が損なわれ、利回りが上昇すると指摘。ただ新型コロナによる経済的影響が改善するのか、悪化するのかを判断する信頼ある情報を投資家は待っているようだとした。
この日序盤には利回りがやや上昇する場面があった。米供給管理協会(ISM)が1日公表した4月の製造業景気指数が41.5と、前月の49.1から低下し、2009年4月以来の低水準を付けたことを受けた。1カ月としての低下幅は08年10月以降で最大だった。
2年債利回りは1.4bp上昇の0.2018%。
2年債と10年債の金利差
<株式> 続落。ダウ平均株価<.DJI>が622ドル安で取引を終えた。トランプ大統領が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の原因は中国にあるとして、新たな対中関税の発動も辞さない構えを示したことが嫌気された。
主要株価指数は軒並み2%を超える下げとなり、週間でもマイナスに沈んだ。
トランプ氏は「われわれが署名した通商合意は中国が(米国産品の)購入を増やすというもので、実際に多くを購入している。しかし、新型コロナで起きたことを優先すべきで、通商合意は二の次になった」とし「コロナを巡る状況は全く受け入れられない」と発言した。
レノックス・ウエルス・アドバイザーズ(ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、デービッド・カーター氏は「4月は景気の落ち込みを見越した動きで非常に底堅い相場展開となったが、実際には景気の落ち込みは予想よりも長期化かつ深刻化する恐れがある」と指摘。さらに「トランプ氏の中国いじりは、ただでさえ経済や金融の不確実性が根強い中で、最も好ましくない」と述べた。
経済指標では、米供給管理協会(ISM)が公表した4月の製造業景気指数は41.5と、前月の49.1から低下し、2009年4月以来の低水準を付けた。1カ月としての低下幅は08年10月以降で最大となった。
個別銘柄では、電気自動車(EV)大手テスラ
アマゾン・ドット・コム
アップル
ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を5.23対1の比率で上回った。ナスダックでも4.40対1で値下がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約102億株。直近20営業日の平均は約122億株。
<金先物> トランプ米大統領が中国に対し、新型コロナウイルスへの対応をめぐって報復措置を講じる可能性を示唆したことを受け、6営業日ぶりに反発した。中心限月6月物の清算値は前日比6.70ドル(0.40%)高の1オンス=1700.90ドル。
トランプ大統領は前日、新型コロナの発生源が中国湖北省武漢市のウイルス研究所だとする説に関し、確度の高い証拠を見たと主張。報復措置として関税を課す可能性を示唆した。これを受け、市場では投資家のリスク選好意欲が後退し、安全資産の金への需要が高まった。
また、米サプライ管理協会(ISM)が1日朝方発表した4月の米製造業景況指数は41.5と、前月(49.1)から低下。金融危機の影響を受けた2009年4月以来の低水準に落ち込んだことも、投資家のリスク回避姿勢を助長し、金相場の支援材料となった。金塊現物相場は午後2時57分現在、15.665ドル高の1700.890ドル。
<米原油先物> 主要産油国や米石油会社による減産への期待から続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値は前日比0.94ドル(5.0%)高の1バレル=19.78ドル。上げ幅は一時1.64ドル(8.7%)に達し、20ドル台を回復した。7月物は0.44ドル高の22.29ドルだった。
石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、先月12日に合意した日量970万バレルの協調減産をこの日から実施。米国の生産減少や中東諸国の自主的削減なども含めると、減産量の合計は日量1540万バレルに達することから、市場では需給の引き締まりへの期待が高まった。
この日に2020年1─3月期決算を発表した米石油大手のシェブロンやエクソンモービルが大規模な減産を発表したことも相場の上昇を支援した。両社は4〜6月期に最大で日量40万バレルの減産に踏み切る方針を明らかにした。
米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが1日発表した同日まで1週間の国内石油掘削リグ稼働数は前週比53基減の325基と、16年6月以来の低水準になったことも好感された。
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