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情報BOX:香港を一変させる国家安全維持法の注目ポイント

ロイター / 2020年7月1日 13時56分

 中国が香港の政治統制を強めるための「香港国家安全維持法」が現地時間6月30日午後11時(日本時間7月1日午前0時)に施行された。写真は香港で、親中派の人々が掲げる中国国旗と香港の旗。30日撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

[香港 1日 ロイター] - 中国が香港の政治統制を強めるための「香港国家安全維持法」が現地時間6月30日午後11時(日本時間7月1日午前0時)に施行された。

これにより香港は、1997年に英国から返還されて以降で最大の変化が起きると予想される。法律の主な注目ポイントは以下の通り。

<どこまで踏み込んだか>

施行後初めて明らかになった法律の詳細をとりあえず検討したところでは、適用範囲と罰則の程度の両面で、ある部分は多くの人々が懸念していた以上に厳しい内容になった。

国家分裂、政権転覆、テロおよび外国や外部勢力との結託については、最高で無期懲役。一部の法律専門家を驚かせたのが適用範囲の広さで、2014年に民主派が行った「雨傘運動」のような平和的なデモでさえ、外国が関係しているとの証明がされた場合、10年の禁固刑を言い渡される恐れがあるという。

香港に拠点を置く外国人の団体、組織、メディアに対する国家管理と監督も強まる。また9月の立法会選挙を前に民主派の動揺を誘うのが確実なのが、国家安全維持法に違反する政治家は当選無効とされることだ。

同法は、施行前の違反行為に遡及適用はしないとしている。

中国政府と香港政府はこれまで、同法は香港の安全保障に存在する幾つかのほころびを解消する上で重要だと主張してきた。彼らの見解では、昨年何カ月も続き、時には暴力化した抗議デモが起きたのは、そうしたほころびのせいだ。

<最大の懸念要素>

香港に史上初めて中国政府の治安・情報を担当する出先機関が出現する。これらの機関に香港の法律を超越する権限が与えられることが、香港の自由にとって大いなる脅威になる、というのが安全保障専門家や外交官、一部政治家などの見立てだ。

中国政府は香港に「国家安全維持公署」を新設し、法を執行する。香港政府も独自に国家安全維持委員会を立ち上げ、専門の警察部門がこれを支える。中国本土の出先機関の職務遂行に際して、香港当局による査察や拘束は一切認められない。

<なお不透明な部分>

香港で起きた国家安全保障に関する案件を審理する裁判官は、行政長官が任命することになる。弁護士団体は、これは香港における法の支配の伝統を損なうものだと訴えている。

一方、外国勢力との結託が疑われるなど、一定の条件にかなう重大かつ複雑な事件では、中国本土の裁判所が審理することもできる。司法制度が従来とは一変する。容疑者が正式な犯罪者引き渡し協定なしに本土に連行される仕組みを含め、今後数日間議論が高まりそうだ。

香港の外国人判事が、国家安全保障問題の事件で審理から外されるかどうかはまだはっきりしていない。

これまで香港は、中国本土から独立した司法制度と、慣習法をベースとする法体系を維持し、それが国際的な金融センターとして成功を収めた鍵だと長らくみなされてきた。

<次の展開>

大きな問題は、この法律がどのように執行されるかだろう。香港では多くの人が、迅速に執行されるか、それとも当局が新たに設置する機関の機能を試した上で、慎重に動きだすかどうかを注視している。

有名な民主活動家や独立派の一部は、自分たちが真っ先に拘束されると予想し、活動組織を解散した。

法律施行直前に、香港政府は専門の警察・検察部門が既に法執行できる態勢にあると表明した。

中国政府と香港政府はここ数週間、国家安全維持法の対象となるのは一握りの人々だけで、香港の一般市民の権利や自由は侵害されないと繰り返してきた。それでも地元の政界や活動家、学界、宗教界、ビジネス界では不安が消えず、そもそも、これまで当然のこととして享受していた香港の開かれた社会が消えてしまうとの見方が出ている。香港を離れるべきかどうか悩んでいるとの声も聞かれる。

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