物価目標への政策とコロナ対応、同時には難しい=中村日銀審議委員
ロイター / 2020年7月1日 19時15分
7月1日、日銀の中村豊明審議委員は就任会見で「2%ぐらいの緩やかなインフレが続く世界が企業経営には望ましい」と述べる一方、2%の物価目標を目指した政策運営をコロナ対応と並行して行うのは難しいとの見方を示した。5月22日、東京の日銀本店で撮影(2020年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 1日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は1日、就任会見で「2%ぐらいの緩やかなインフレが続く世界が企業経営には望ましい」と述べる一方、現在は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が蒸発した状況にあるため、2%の物価目標を目指した政策運営をコロナ対応と並行して行うのは難しいとの見方を示した。
中村審議委員は日立製作所の取締役などを歴任した。2008年のリーマン・ショック当時、米ドルの調達に苦労したエピソードを披露しながら、日銀のコロナ対応を「リーマン・ショックでの経験を生かしてやってきている」と評価した。その上で「コロナの感染状況を把握しながら、今までプロアクティブにやってきたように今後も早め早めの対応が大事だ」と述べた。
金融システムについては「日銀が先手を打って対応したため、大きな混乱は生じていない」と指摘した。地方銀行の財務健全性については「厳しいところは厳しいと思う」と述べる一方、預金保険機構が直ちに対応すべきところはないとした。中村審議委員は預保の運営委員会の委員を務めてきた。
一方、中村委員はマイナス金利政策について「金融政策は打っても需要は増えないという流動性のわなに入っているような経済状況」と述べ、「いつかはマイナス金利じゃない時代にならないと、インフレになかなか戻らないという気がする」と語った。
同日公表された6月調査の日銀短観について、中村委員は「想定通り、ネガティブな先行き見通しになっている」と述べた。国内景気は「下期からは戻り歩調と期待している」としつつ、感染第2波や南米などの感染状況に警戒感を示した。
企業経営を担ってきた経験から、中村委員は「経済は国が運営しているのではなく、企業活動による付加価値の創出で成長していく」と述べ、企業のマインド転換が必要だと語った。
*内容を追加しました。
(和田崇彦 編集:山川薫)
この記事に関連するニュース
-
「日銀の利上げが続いても最大1%程度」マイナス金利解除でも住宅ローン金利は上がらないこれだけの理由
プレジデントオンライン / 2024年7月21日 9時15分
-
ドル円乱高下・株高続く 今夏の日米金融政策はどうなる?【Bizスクエア】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 6時30分
-
17年ぶり消費増税、強気の「展望リポート」に3人反対=14年上半期・日銀議事録
ロイター / 2024年7月16日 9時8分
-
みずほ証券・上野泰也の分析「財界出身の日銀審議委員が経済について述べた『正論』」
財界オンライン / 2024年7月6日 11時30分
-
続く円安と物価高……要因は“カンフル剤”異次元緩和を続けた副作用 石川和男が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年7月6日 9時0分
ランキング
-
1「トヨタが日本を見捨てたら、日本人はもっと貧しくなる」説は本当か
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月24日 6時20分
-
2「平気でウナギを食べる人」が知らない資源の実態 ウナギをいつまでも食べ続けるためには
東洋経済オンライン / 2024年7月24日 11時30分
-
3トヨタ子会社の3工場で稼働停止、部品欠品で「ランクル」「アルファード」の生産ストップ
読売新聞 / 2024年7月23日 20時15分
-
4危険な暑さ…千葉で39度も 「長袖」で対策? 直射日光防ぎ、「冷感」「放熱」猛暑対策に特化【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月23日 23時6分
-
5普通免許OKのトラック=運転手不足に対応―いすゞ
時事通信 / 2024年7月24日 15時56分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)