FRB、金利据え置き インフレ巡る「進展の欠如」指摘
ロイター / 2024年5月2日 6時17分
米連邦準備理事会(FRB)は4月30日─5月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いた。写真はパウエルFRB議長。2023年3月撮影(2024年 ロイター/Leah Millis)
Howard Schneider
[ワシントン 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は4月30日─5月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、金利据え置きを決定した。最終的には利下げに傾いているとの姿勢を引き続き示したものの、このところの予想外に強いインフレ指標に警戒感を示し、経済の均衡化に向けた動きが停滞している可能性を示唆した。
FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置くと全会一致で決定。政策金利は昨年7月以降、この水準に据え置かれている。
パウエル議長は、FRB当局者が利下げ開始に必要な「より大きな自信」を得るには、これまで予想されていたよりも時間がかかる可能性が高いとの見方を示した。
記者会見で「インフレは依然として高すぎる」とし、「インフレ低下に向けたさらなる進展は保証されておらず、先行きは不透明」と指摘。「より大きな自信を得るには予想よりも時間がかかりそうだ」とした。
一方でインフレ率は年内に低下すると引き続き見込んでいると語った。
パウエル議長の会見中に米国株は切り返し、米債利回りは低下。エバーコアISIのアナリストは、パウエル議長の発言は「多くの人が懸念していたほどタカ派的ではなく、市場の動揺を誘うというよりはむしろFOMCの声明に沿った内容だった」とし、「基本的なメッセージは利下げ先送りであり、利下げ中止ではないということだ」とした。
米フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では9月利下げ開始との見方が強まった。
<利下げ時期>
声明では、過去1年間で「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」とし、経済評価と政策指針の主要な点を維持。「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」とした。
同時に「ここ数カ月間、2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展はみられない」とも指摘。また、前回3月の声明では「雇用とインフレ率の目標達成に対するリスクのバランスが改善しつつあると判断する」としていたが、今回の声明では「この1年間で改善に向かっている」との文言に改められ、FRBが進展が行き詰まっていると見なしている可能性が示唆された。
アナリストは、FRBが最初の利下げに踏み切ると示唆するには、「インフレ率が依然高止まりしている」との文言が声明から削除される必要があるとの見方を示している。
インフレーション・インサイツのオマル・シャリフ氏は「FOMCはインフレについて第1・四半期のデータが期待していたような一段の進展を示さなかったと指摘したが、同時に声明は労働市場のさらなる堅調さをインフレのレンズを通しては見ないことを示唆した」と述べた。
<バランスシート>
FRBはまた、バランスシートの縮小ペースを減速させると発表。6月1日から月間で最大600億ドルの米国債の縮小ペースを250億ドルに引き下げる。一方、住宅ローン担保証券(MBS)の縮小ペースは月間350億ドルで維持する。[nL6N3H40BE]
パウエル議長は記者会見で、縮小ペースを減速させることにより、前回のバランスシート縮小時に見られた市場混乱のリスクを軽減することが可能と改めて指摘。縮小ペースの減速でバランスシートの最終的な規模に「より緩やかに」到達できるとした。
*内容を追加して再送します。
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