米労働市場、回復は緩慢=クリーブランド連銀総裁
ロイター / 2020年10月3日 6時46分
米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は2日、米労働市場の回復ペースは予想より緩慢で、失業率が新型コロナウイルス感染拡大前の2月の水準に低下するには2─3年かかるとの見方を示した。写真はメスター総裁。2017年8月撮影(2020年 ロイター/Shannon Stapleton)
[2日 ロイター] - 米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は2日、米労働市場の回復ペースは予想より緩慢で、企業が少人数での営業に転換し、労働者が新たな技能を身に付ける必要に迫られる中、失業率が新型コロナウイルス感染拡大前の2月の水準に低下するには2─3年かかるとの見方を示した。
メスター総裁はロイターのインタビューに対し、新型ウイルス感染拡大を受けた雇用削減で、低所得労働者、アフリカ系住民、ヒスパニック系住民のほか、学歴が低い人達が最も大きな影響を受け、長期間にわたり失業に直面する恐れがあると指摘。長期問題の解決に取り組む必要が出てくるため、「回復の次の段階が最も困難になる」と述べた。
その上で、レジャー、接客業を含めたサービス部門で雇用の改善は見られているものの、こうした産業で働いていた人たちの一部は、新たな職に就いたり、新しい技能を身に付けたりする必要に迫られる可能性があると述べた。
一方、住宅市場や自動車販売などは急速に回復しており、低金利による恩恵を受けている産業もあると指摘。「産業分野により大きな差があり、まるで2つの異なる経済が存在しているかのようだ」と語った。
米経済全般については、これまでのところ政府の財政刺激策に支えられてきたと指摘。政府支援策が期限を迎えるにつれ、成長が鈍化する恐れがあるとし、「政府支援がなければ、景気見通しに対する大きなリスクとなる」と述べた。
連邦準備理事会(FRB)の金融政策については、現在は「うまく調整されている」と表明。インフレ過熱のリスクが存在しているかの判断は、経済の他の部分で起きていることに左右されるとし、インフレが加速しているのか、ある一定の水準にとどまっているのか、注視していくと語った。
トランプ米大統領が新型ウイルス検査で陽性反応を示したことで、FRBはこれまでに増して米経済と金融市場を支えていくと表明する必要に迫られるかとの質問に対しては、中央銀行は常に市場が円滑に機能するよう取り組んでいるとし、「FRBは金融市場が機能し続けられるよう、常にあらゆることを行っている」と述べた。
その上で「新型ウイルスに感染した人、親しい人が感染した全ての人に、心からお見舞いを申し上げたい」と述べた。
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