イラン核科学者暗殺、国連安保理は対応見送りの公算=外交筋
ロイター / 2020年12月2日 9時49分
12月1日、複数の外交筋は、イランの著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏が殺害された事件について、国連安全保障理事会が行動を起こす可能性は低いとの見方を示した。写真は国連のロゴ。ニューヨークの国連本部で9月撮影(2020年 ロイター/Mike Segar)
[ニューヨーク 1日 ロイター] - 複数の外交筋は、イランの著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏が殺害された事件について、国連安全保障理事会が行動を起こす可能性は低いとの見方を示した。
イランは事件発生後、直ちに国連に対応を求めた。犯行声明は出ていないが、イランはイスラエルの関与を指摘。イスラエルの首相官邸はコメントを控えている。
安保理は、理事国の要請があれば、事件について協議し、合意が成立すれば、声明を発表する可能性がある。
ただ、今月、国連安保理の議長国を務める南アフリカのジェリー・マティラ国連大使は1日、現時点で理事国から今回の事件に関する協議の要請は出ていないと発言。外交筋によると、声明の発表に向けた協議も行われていない。
国連安保理は、国際的な平和と安全の維持に責任を持つ機関で、軍事行動や制裁の発動を承認できる。ただ、承認には少なくとも9カ国が賛成し、常任理事国(米国、フランス、英国、ロシア、中国)が拒否権を行使しないことが必要になる。
米国は伝統的に国連安保理でイスラエルに対する制裁に反対する立場を取っている。米政府は事件に関するコメントを控えている。
国連のグテレス事務総長の報道官によると、イランから書簡を受け取った同事務総長は「すべての暗殺と裁判なしの殺害」を非難するとした上で、自制を求めた。
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