FRB、年内利下げに不透明感 インフレ抑制に「進展なし」と議長
ロイター / 2024年5月2日 10時53分
米連邦準備理事会(FRB)は4月30日─5月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、金利据え置きを決定した。写真はパウエルFRB議長。2023年3月撮影(2024年 ロイター/Leah Millis)
Howard Schneider
[ワシントン 1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は4月30日─5月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、金利据え置きを決定した。最終的には利下げに傾いているとの姿勢を引き続き示したものの、このところの予想外に強いインフレ指標に警戒感を示し、利下げが遠のく可能性を示唆した。
パウエル議長は利下げ開始に必要な「より大きな自信」を得るには、これまで予想されていたよりも時間がかかる可能性が高いとの見方を示し、年内利下げ開始に不透明感が残った。
利上げの公算は依然として小さいとしたが、金利据え置きが長期化する可能性を示唆した。
現在の政策金利水準について、インフレを抑制するため経済活動を十分に下押ししていると引き続き考えているとし、インフレ鈍化が明確になるまで必要な限り待つ用意があると述べた。
FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置くと全会一致で決定。政策金利は昨年7月以降、この水準に据え置かれている。
パウエル議長は記者会見で「インフレは依然として高すぎる」とし、「インフレ低下に向けたさらなる進展は保証されておらず、先行きは不透明」と指摘。「より大きな自信を得るには予想よりも時間がかかりそうだ」と述べた。
インフレ率は年内に低下すると引き続き見込んでいるとしたが、「以前より確信は低下した」とも語った。
また「インフレが予想以上に持続し、労働市場が堅調を維持しながらもインフレが横ばいで推移し、確信が高まらないような状況になれば、利下げを見送るのが適切なケースとなるだろう」とし、「利下げしない道と、利下げする道がある。データ次第だ」と述べた。
現在の経済状況を巡る不透明感にもかかわらず、パウエル議長が利上げの可能性は低いとしたことは市場に安心感をもたらした。
同議長の会見中に米国株は切り返し、米債利回りは低下。エバーコアISIのアナリストは議長の発言について「多くの人が懸念していたほどタカ派的ではなかった」とし、「基本的なメッセージは利下げ先送りで、利下げ中止ではないということだ」と述べた。
米フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場では9月利下げ開始との見方が強まった。
<インフレ鈍化「進展ない」>
声明では、過去1年間で「インフレ率は緩和したが、依然高止まりしている」とし、経済評価と政策指針の主要な点を維持。「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」とした。
同時に「ここ数カ月間、2%のインフレ目標に向けてのさらなる進展は見られない」とも指摘した。
アナリストは、FRBが最初の利下げに踏み切ると示唆するには「インフレ率が依然高止まりしている」との文言が声明から削除される必要があるとの見方を示している。
<バランスシート縮小ペース減速へ>
FRBはまた、バランスシートの縮小ペースを減速させると発表。6月1日から月間で最大600億ドルの米国債の縮小ペースを250億ドルに引き下げる。一方、住宅ローン担保証券(MBS)の縮小ペースは月間350億ドルで維持する。[nL6N3H40BE]
パウエル議長は会見で、縮小ペースを減速させることにより、前回のバランスシート縮小時に見られた市場混乱のリスクを軽減することが可能と改めて指摘。縮小ペースの減速でバランスシートの最終的な規模に「より緩やかに」到達できるとした。
FRBは景気の現状について「経済活動は引き続き堅調なペースで拡大し、雇用の伸びは引き続き力強く、失業率は依然低い」と全体的な評価を維持した。
第1・四半期国内総生産(GDP)が1.6%増と比較的弱かったことについてパウエル議長は、国内民間需要の3.1%増加の方が景気の現状を適切に反映しているとした。
米経済がスタグフレーション(景気停滞とインフレの併存)に陥るリスクを問われると、現在はインフレ率が一時10%を超え、失業率も高水準だった1970年代終盤とは状況が大きく異なると指摘。
「現在は成長がかなり底堅く、インフレ率も3%を下回っている」とし、「『スタグ』も『フレーション』も見られない」と述べた。
*議長の発言などを追加しました。
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