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アングル:政権奪還確実な英労働党、成長の障壁撤廃に向けEUと再協議へ

ロイター / 2024年7月3日 7時17分

 7月4日の英総選挙で14年ぶりに政権を奪還することが確実な野党労働党のスターマー党首は、すぐに英国の欧州連合(EU)離脱で残された課題に向き合わなければならない。写真は英議会議事堂近くで、反ブレグジットを訴える人。1月31日、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/Toby Melville)

Alistair Smout

[ロンドン 1日 ロイター] - 7月4日の英総選挙で14年ぶりに政権を奪還することが確実な野党労働党のスターマー党首は、すぐに英国の欧州連合(EU)離脱で残された課題に向き合わなければならない。

スターマー氏に求められているのは英国の経済成長を上向かせる仕事だが、その実現にはブレグジット(英のEU離脱)に伴って設けられた幾つかの障壁を取り除く必要がある、というのがビジネス界の見解。つまり英政府として、EUとの持続的な協議再開につながる公算が大きい。

英国は2020年1月、当時の与党保守党を率いたジョンソン首相の下で最終的にEUから離脱。労働党も、EU単一市場や関税同盟への再加盟は否定している。

ただ労働党の主張では、EUとの間に存在する貿易上の障壁を撤廃し、特にコスト増と書類手続きの負担に苦しむ国内の中小企業を支援することはできるという。

労働党の「スターマー内閣」で民間企業相への就任が予定されているジョナサン・レイノルズ氏は、同党は「古傷を再びえぐる」ことはしたくないと話す。

しかし英商工会議所主催のイベントで「われわれが(EUと)より良い合意に到達する必要があるのは明らかで、達成可能な改善項目は存在する」と強調した。同会議所はこれまで、EUとの「薄氷を踏むような」関係性に終止符を打つべきだと与野党に訴えてきた。

英監査法人メンジーズの調査によると、英国企業の3社に1社はジョンソン氏が合意した離脱協定の修正に向けた協議を要望し、次期政権に単一市場再加盟を求める割合と、現在の離脱協定がもたらした障壁が国際事業展開の足かせになっているとみなす割合はともに20%に達した。

<高いハードル>

労働党が早期に実行するとしている約束の一つは、動物性製品の国境検査手続き簡素化につながるEUとの新たな合意締結だ。これらの手続きは英国の農家や輸入業者にとって厄介な問題となっている。また特定の専門資格の相互承認や、アーティストのツアーに関する規制緩和などをも目指す。

同党によると、これらは正式な離脱協定の見直し交渉なしで比較的簡単に実現できる項目だ。

ただEUのある関係者は、そうした小さな問題でも英国は厳しい選択を迫られると警告する。

例えば動物性製品の検査簡素化で合意するなら、英国はEU司法裁判所を通じて紛争解決策を提示しなければならず、これはブレグジット推進派が英国の主権侵害とみなして忌み嫌う措置となる。

この関係者は「同志国や友好国、同盟国とは協力したいと誰もが思う。しかし加盟国と同じメリットを付与するという考えはハードルがいささか高くなる」と指摘した。

シンクタンク、チェンジング・ヨーロッパのアナンド・メンソン氏は、英国と何年も衝突してきたEUが再協議にどれだけ熱意を持っているのか、労働党は見誤っているかもしれないと語る。

EUは既に懸案を多数抱えているし、英国が食品などの技術的問題改善を望んでいるのに対して、話題にしたがっているのは若者を中心とする人の移動の問題、すなわち域内の市民が英国でより簡単に暮らし、働けるようにすることだ、とメンソン氏は説明した。

このため「形式的には大々的な変更があっても、実質的には些細な修正にとどまると思う」という。

保守党は、労働党が英国を再びEU司法裁判所の管轄下に置くことで「ブレグジットの巻き戻し」を図っていると主張。スナク首相は今週の討論会で、労働党がEUとの新たな合意に基づいて人の移動の自由を受け入れようと計画していると批判し、スターマー氏がEUとの合意が移民増加をもたらすとの見方を否定する場面もあった。

労働党のレイノルズ氏は、EUにもメリットを提供して貿易環境の改善を進めたい考えを披露した上で「必ずしも簡単ではないが、達成を見込める交渉や手続きというものが存在する」と訴えた。

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