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焦点:日銀利上げ、背中押した政府 国債減額には異論も

ロイター / 2024年8月2日 16時17分

7月の金融政策決定会合での日銀の追加利上げは、歴史的な円安に伴う物価高に歯止めをかけ、新しい経済ステージへの移行を印象付けたい岸田文雄政権の意向も後押しした。写真は2014年1月、都内で撮影(2024年 ロイター/Yuya Shino )

Yoshifumi Takemoto Kentaro Sugiyama Takaya Yamaguchi

[東京 2日 ロイター] - 7月の金融政策決定会合での日銀の追加利上げは、歴史的な円安に伴う物価高に歯止めをかけ、新しい経済ステージへの移行を印象付けたい岸田文雄政権の意向も後押しした。併せて決定した国債買い入れの減額では、政府サイドから途中経過を示すことに異論も出たが、日銀は予見可能性を求める市場の声にも配慮し、透明性を担保するうえで必要との判断に傾いた。

<岸田発言がサイン>

「振り返れば、経団連での夏季フォーラムの総理発言がゴーサインだったのでは」と、政府関係者の1人は語る。

7月30、31日の金融政策決定会合に先立つ19日、岸田首相は長野県軽井沢町での同フォーラムで「金融政策の正常化が経済ステージの移行を後押しし、経済ステージの移行が金融政策のさらなる中立化を促す」と述べた。

年初からの円安は政権にとって「頭痛の種」(首相周辺)だった。円安が続き、コストプッシュ型のインフレが再燃すれば家計の所得環境改善をめざす政権の痛手となる。

今年4、5月に続き、6月27日から7月29日までに5兆5348億円の為替介入を実施したことで、年初からの円安は節目の10%を割り込み、「次は日銀の出番」(経済官庁幹部)との声も出る中での利上げ判断だった。

政府内では、今回の決定に容認論が広がっている。鈴木俊一財務相は31日、利上げを巡り議決延期請求権を行使しなかったことを明らかにした。

別の政府関係者は「利上げのタイミングについては市場を相手にしている日銀が考えたらいいというのが政府の一貫した立場」としつつ、「いつ、どのタイミングでと働きかけたことはないが、できるうちに正常化していくのは当然」と語る。

岸田首相は31日、日銀利上げを受け「デフレ型経済から成長型経済への移行が重要という政府との共通認識に沿って行われた」と評価した。

<予見性に懸念、減額幅は穏当>

日銀は、利上げとともに決定した国債買い入れ減額で、先行きの買い入れの量を明示することで市場に配慮する姿もみせた。

政策手段を量から金利に移行するなかで、途中経過を明記すれば「量的政策に縛りがかかり、フリーハンド(自由裁量)が狭まる」との声も政府内にあったが、日銀は予見可能な形での減額が適切との判断に傾いた。

複数の関係者によると、日銀は当初から経過を示すことを前提に協議を進めていたという。

減額幅を巡り、市場には「四半期ごとに5000億円」(在京の外資系証券)との見方もあった。実際には4000億円の減額にとどめ、減額対象の残存年限が1年超10年以下に集中したことで「金融機関の国債需要に配慮したハト派的な決定」(SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミスト)との見方が出ている。

政府内でも減額幅そのものは「コンセンサスに沿った穏当な水準」(内閣府幹部)との受け止めが目立つ。

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