ECB、景気見通し巡り対立深まる 利下げ議論に影響も=関係筋
ロイター / 2024年9月2日 14時26分
9月2日、欧州中央銀行(ECB)の政策当局者らは景気見通しを巡ってますます意見が対立しており、複数の関係筋によると、景気後退を懸念する向きもあれば、長引くインフレ圧力に注目する向きもあり、今後数カ月にわたって利下げ議論に影響を与える可能性がある。7月撮影(2024年 ロイター/Jana Rodenbusch)
Balazs Koranyi
[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の政策当局者らは景気見通しを巡ってますます意見が対立しており、複数の関係筋によると、景気後退を懸念する向きもあれば、長引くインフレ圧力に注目する向きもあり、今後数カ月にわたって利下げ議論に影響を与える可能性がある。
6月に金利を引き下げたECBは、物価上昇の鈍化を受けて9月にも追加利下げすることがほぼ確実だ。しかし、その後の政策運営はより複雑になる可能性が高いという。
議論の核心は、ECBがインフレ率を2025年末までに2%に引き下げることを目指す中、経済成長の弱さと潜在的な景気後退がインフレにどのような影響を与えるかだ。
少数派のハト派は経済が想定よりも弱く、景気後退リスクは高まっており、雇用市場は軟化していると主張。これはECBが金利引き下げでビハインド・ザ・カーブ(後手に回ること)に陥っていることを示唆しており、より迅速な利下げの可能性を支持するものとなる。
一方で22年の利上げ開始以来、政策論争を支配してきたタカ派は、実際の成長率は弱い調査結果を持続的に上回っており、経済は持ちこたえていると主張。消費は堅調で、欧州には素晴らしい観光シーズンとなったばかりで、建設業もようやく回復しつつある中、成長は依然として好調だ。
さらに、賃金の伸びは2%のインフレ目標に合致する水準を大きく上回っているため、実質所得は急速に回復し、引き続き経済を支えていきそうだ。
これらはECBがインフレ率が2%に戻ると確信するまで緩やかな利下げを行うとの見方の根拠となっている。
保守派として知られるECBのシュナーベル専務理事は、インフレ懸念が成長よりも優先されるべきだと主張している。
<10月理事会>
関係筋によると、利下げはすでに幅広い合意があるため、この意見対立が9月の政策決定に影響を与える可能性は低い。
しかし、ラガルド総裁が決定をどのように伝えるかに影響し、10月理事会への期待を変える可能性がある。
ハト派はラガルド総裁が成長リスクを強調し、連続利下げの可能性も排除できないと示唆することを望んでいる。
一方のタカ派はそのようなメッセージが市場の期待を高め過ぎてECBを窮地に追い込むことを懸念。投資家はすでに10月利下げの可能性を40─50%と考えており、ハト派メッセージはそうした見方をさらに強めることになる。
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