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アングル:IPO市場、9月活発化で期待 完全復活はまだ先か

ロイター / 2023年10月2日 9時53分

 9月は新規株式公開(IPO)が昨年初め以降で最も活発となり、市場の先行きに期待が広がっている。写真はニューヨーク証券取引所のボードに表示された、ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アームのロゴ。9月14日撮影(2023年 ロイター/Brendan McDermid)

Echo Wang Pablo Mayo Cerqueiro

[ニューヨーク/ロンドン 29日 ロイター] - 9月は新規株式公開(IPO)が昨年初め以降で最も活発となり、市場の先行きに期待が広がっている。

ディールロジックのデータを見ると、今年これまでの株式資本市場の取引総額は4230億ドルで、前年同期比で5%増加したものの、2021年に記録した過去最高水準にはなお遠く及ばない。

ただここ4週間で米国と欧州の少なくとも25社が上場を果たし、長らく低迷していたIPO市場に回復の光が見えてきたかもしれないとの声が出ている。

特に注目を集めたのはソフトバンクグループ傘下の英半導体設計大手アーム、米マーケティング自動化会社クラビヨ、米食品宅配のインスタカートがそれぞれ実施したIPOで、合計調達額は60億ドル超と、今年の欧米IPOによる総調達額の5分の1余りに達した。

3社の公開価格はいずれも仮条件レンジの上限もしくは上限より高く、投資家の支持を得たことが分かる。もっとも上場初日に値上がりしたアームとインスタカートの株はすぐに公開価格未満に落ち込み、IPO市場の完全復活までにはまだ時間がかかることも読み取れる。

バークレイズの米州株式資本市場責任者ロバート・ストウェ氏は「われわれは絶対的な強気市場というより、依然として市場の再建途上にある。それでも需給両サイドから(IPOへの)関与が増え始めている」と述べた。

シティグループの欧州・中東・アフリカ株式資本市場共同責任者スニール・ハーグナニ氏も、今後も案件が殺到するのではなく、緩やかに取引が再開し続けることになるとの見方を示した。

過去1カ月のIPOはハイテクが主流だったが、7―9月の期間に広げると業種はもっと多様化している。例えば7月にはドイツのティッセンクルップ傘下の水素製造会社ニューセラと、ルーマニアのエネルギー生産会社がそれぞれ本国で株式を公開した。

これまでの欧米のIPO企業に共通するのは、既に黒字化しているか、黒字化の道筋がはっきりしているという特徴だ。アームとインスタカート、クラビヨも上場時点で黒字だった。

トーマ・ブラボーのパートナー、ロス・デボー氏は、収益化の経路が市場の評価につながることをクラビヨのIPOではっきりと確認されたと指摘した。

別の専門家は、近くIPOを控えている企業の大半も、たとえ黒字でなくても黒字になる道のりは確かだと話した。

<株式所有構造の安定化>

今年の幾つかの代表的なIPO案件では、株式所有構造の安定化を図るためにコーナーストーン投資家を取り込む動きが見られた。

ドイツ銀行の欧州・中東・アフリカ株式資本市場共同責任者シュテファン・グルファット氏によると、投資家側も業界の有力企業に対してはコーナーストーン投資を検討しがちだという。

実際アームは顧客のエヌビディアやアップルなどが出資者に名を連ねた。

買い手と売り手の評価額の差が縮小してきていることも、IPOの増加に道を開いている。

ただ米州みずほの米国株式資本市場責任者ジョシュ・ワイズマー氏は「来年第1・四半期にIPO市場の門戸がより広がるには、年内の案件が堅調な結果を残し続ける必要がある」と強調した。

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