日本のLNG投資、コロナ禍の価格急落や温暖化で資産劣化も=報告書
ロイター / 2020年7月3日 13時44分
[東京 2日 ロイター] - グローバルエナジーモニター(GEM)の調査によると、日本の銀行や政府系機関は2017年以降、液化天然ガス(LNG)プロジェクトに250億ドル近くの資金を提供してきたが、新型コロナウイルス感染拡大を受けた価格急落や気候変動リスクの高まりによって資産価値が劣化する可能性がある。
2011年に起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて全国の原発が稼働停止に追い込まれて以降、政府はエネルギー安全保障の強化を進めてきた。日本のLNG投資は石炭への投資に匹敵する規模だが、一方でLNGや石炭が環境に大きな影響を及ぼすことを示す証拠は増加している。
GEMがロイターに明らかにした調査報告書によると、投資回収に数十年を要するリスクの高いLNGプロジェクトに資金を出すことには疑問の余地があり、一部のプロジェクトは遅延や中止のリスクもあるという。
GEMのアナリスト、グレイグ・エイトキン氏とテッド・ネース氏は報告書で「新型コロナ流行と2020年の原油価格急落という同時ショックが世界のLNG供給網の脆弱性をあらわにする中、エネルギー安全保障強化という当初の投資目的は、現在では根本的に欠陥があるように見える」と指摘した。
日本は世界最大のLNG輸入国であり、長期的に輸入は減少しているものの、国内電力需要の約40%をLNGで賄っている。
報告書ではまた、価格が下落している再生可能エネルギーやエネルギー貯蔵との競争もLNG資産の劣化につながる可能性があるとの見方を示した。
GEMによると、日本の銀行と政府系機関などは10カ国で20を超えるLNGターミナル、タンカー、パイプラインに234億ドルの融資や支援を行ってきた。さらに11カ国で14のターミナルへの資金提供が計画されているという。
報告書では、政府系の国際協力銀行(JBIC)のほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>、三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>、みずほフィナンシャルグループ<8411.T>などに言及している。
報告書を受けたロイターの取材に対し民間3行は、先の方針変更により化石燃料事業への融資基準を厳格化したと指摘。融資額の確認などは控えた。JBICの返答は得られていない。
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