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アングル:認証不正が自動車株直撃、押し目買い機運削ぐ マクロ影響警戒も

ロイター / 2024年6月3日 19時32分

自動車メーカーによる認証不正は、株価にも打撃を与えた。資料写真、株価ボード、2013年10月撮影(2024年 ロイター/Toru Hanai)

Noriyuki Hirata

[東京 3日 ロイター] - 自動車メーカーによる認証不正は、株価にも打撃を与えた。調整局面が続いてきた自動車株には押し目買いの意欲も出ていたが、今回の不正をきっかけに影響を見極めたいとの声が浮上している。大規模な生産の抑制にまで発展した場合、マクロ経済への悪影響が懸念され、市場全体のリスク要因にもなりかねない。

「全容がわからない中で、自動車株は目先は買いにくい」と証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長は指摘する。トヨタのほか、ホンダ、マツダ、ヤマハ発動機、スズキの5社から、型式指定申請における不正行為の報告があったと国土交通省は3日に発表した。

国交省は、基準適合性を確認するまで、不正行為が確認された車種の出荷停止を指示し、5社の立ち入り検査を順次実施する。トヨタは、まだ調査中ながら、2014年以降の7車種で国が定めた基準と異なる方法で試験を行っていたことが分かったとしている。社内検証で法規に定められている性能に問題はないことを確認済みで、ユーザーが車の使用を控える必要はないとしている。現時点で連結業績予想への影響も軽微としている。

もっとも、市場関係者の脳裏には、トヨタ傘下のダイハツ工業で発覚した車両の安全性を確認する試験不正の問題とその後の展開がよぎる。ダイハツでは問題発覚後、不正の対象が拡大し、国内外で販売する全車種の出荷を一時停止する局面もあった。

市場では「生産が止まるとなると、計画が未達になるおそれがある」(証券ジャパンの大谷氏)と懸念する声も聞かれる。

自動車セクターの問題だけにとどまらず「マクロ経済にも影響が波及しかねない」(国内運用会社のファンドマネージャー)との警戒感もくすぶる。1─3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期から0.5%減り、2四半期ぶりにマイナスとなった。ダイハツなどの認証不正問題に伴う生産・出荷停止など特殊要因が影響し、個人消費や設備投資が押し下げられた。

3日の5社の終値は濃淡まちまち。マツダが3.2%安と比較的大きく売られた一方、トヨタが1.7%安だった。ホンダは0.2%安、ヤマハ発は0.5%安にとどまった。いずれも、大引けにかけては下げ渋った。朝方から堅調だったスズキは上げ幅を削りながらも1.5%高を維持した。5社のうち、現行車種の不正を報告したのはトヨタ、マツダ、ヤマハ発の3社。

自動車を含む輸送用機器セクターのパフォーマンスは、1―3月期に35%上昇し業種別のトップだった一方、4―5月は大幅高の反動や保守的な今期見通しもあって7%安となり、29位に大きく後退している。ある程度の調整は進んだとの見方もあり「下がれば買いたい投資家は多い」と、いちよしアセットマネジメントの秋野充成社長は話す。

市場では、東証が旗振り役となってガバナンス改革が進む中で「日本株の見直し機運に水を差される」(国内証券のアナリスト)との声がある一方、「構造改革が進む中で過去の膿があぶり出されてきている」(国内運用会社のファンドマネージャー)と前向きに捉えようとする意見もある。国交省はあす4日、トヨタ本社(愛知県豊田市)に立ち入り検査を行う。

一方、6月に入り、株主総会が近づく中、「株主総会に向けて一波乱あるかもしれない」(東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリスト)との見方も聞かれる。

トヨタに関しては、米議決権行使助言会社のグラスルイスが5月、豊田章男会長の取締役選任議案に反対するよう株主に推奨したことがわかっている。「取締役会が十分に独立性を保っていない」ことが理由としている。

各社は夕方以降、記者会見を行っており「きょうの会見を受けた明日の株価動向をみてからという投資家は多いのではないか」(証券ジャパンの大谷氏)との声がある。

(平田紀之 編集:橋本浩)

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