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情報BOX:中国、金融安定化法制定へ システミックリスク防止狙う

ロイター / 2024年7月3日 11時7分

中国はシステミックな金融リスクを防ぐための取り組みの一環として、経営難に陥った金融機関を救済する基金の創設を盛り込んだ金融安定化法を近く公表する。写真は3月、北京の人民大会堂で行われた全人代の閉会式(2024年 ロイター/Florence Lo)

[北京 2日 ロイター] - 中国はシステミックな金融リスクを防ぐための取り組みの一環として、経営難に陥った金融機関を救済する基金の創設を盛り込んだ金融安定化法を近く公表する。

同法案は先週の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会で2度目の審議が行われた。法案は通常、3度の審議を経て成立する。

<金融安定化法とは何か>

銀行や保険会社、資産運用会社、証券会社など66兆ドル規模の中国金融セクターに対するリスクの回避や解決、処理に焦点を当てた中国初の包括的な法律となる。

中国の法律事務所JunHeによると、中国ではこれまで商業銀行や証券会社、保険会社を対象に業界別の法律はあるが、新法は現行の規制枠組みにおける溝を埋めるものになるという。

華泰証券のアナリストはリポートで、新法は「システミックな金融リスク防止と省庁間の監督に関する仕組み」を定め、システミックな金融リスクを防ぐため異なる金融規制当局と市場参加者間の協力改善に対応すると説明している。

法案は2022年12月に最初の審議が行われた。1日に発表された改正案は中央の金融業務指導機関が金融の安定と発展のための政策の意思決定と監督に責任を持つとしている。また、金融監督当局と地方政府は、金融リスクの防止および軽減の責任を果たすべきだとしている。

<金融安定保障基金とは何か>

この法律の柱は金融安定保障基金の設立だ。同基金は問題を抱えた金融機関を救済し、影響が波及するリスクを防止するためのバックアップ資金源として設計されている。主に金融機関が基金に拠出する。

中国人民銀行(中央銀行)も再融資制度を通じて低利融資を行うことができるとし、融資はリスクのある金融機関の売却による収入で返済されるべきだとしている。

基金の正確な規模は明らかにされていないが、中国の銀行監督当局は22年に金融機関から646億元(88億9000万ドル)を調達したと明らかにした。

最終的には毎年1200億元から1800億元を調達する見込みで、大規模な金融危機に対応できる規模になると中国証券のアナリストは指摘する。

基金の対象は、大手銀行や保険会社など「大きすぎてつぶせない」システム上重要な金融機関やリスクが高いと判断された金融機関になるという。

モラルハザードを防ぐため、外部支援を求める前に経営難に陥った金融機関と主要株主が債務整理と損失回復に必要な措置を取ることを法案は義務付けている。

<なぜ今基金必要としているのか>

基金の設立は国際的な慣行に合わせるものだ。米国や欧州連合(EU)などの主要先進国には、問題を抱えたシステム上重要な金融機関に資本支援を提供する同様の基金がある。

中国は預金保険基金のほか、保険業や信託業の基金がすでに存在するが、これらの基金の規模はシステミックな金融リスクに対処するには十分ではない。

経営難に陥った小規模地方銀行、宝尚銀行を19年に救済した際には、同年末時点で1216億元の残高があった預金保険基金の半分以上が使われた。

中国の金融システムは現在不動産危機と景気回復の低迷に起因するさまざまな課題に直面しており、中小銀行が金融業界の脆弱な部分として浮上してきた。

地方政府傘下の投資会社、融資平台が抱える9兆ドルの債務も中国の金融の安定を脅かしている。地方銀行や信託会社を含む幅広い金融機関が融資平台に大きなエクスポージャーを持つため、融資平台の債務リスクが広がる恐れがある。

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