EU域内銀行、不動産関連の融資拡大 市場混乱に脆弱=EBA
ロイター / 2024年7月3日 9時1分
欧州連合(EU)の銀行監督機関は7月2日、域内銀行が商業用不動産セクターに1兆4000億ユーロ(1兆5000億ドル)以上を融資しており、一部の金融機関が市場の混乱に脆弱な状況にあるとの見方を示した。写真は独フランクフルト中心部の建設現場。昨年7月撮影(2024年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
Huw Jones
[ロンドン 2日 ロイター] - 欧州連合(EU)の銀行監督機関は2日、域内銀行が商業用不動産セクターに1兆4000億ユーロ(1兆5000億ドル)以上を融資しており、一部の金融機関が市場の混乱に脆弱な状況にあるとの見方を示した。
欧州銀行監督機構(EBA)は最新のリスク報告書で、銀行は地政学的要因による「不確実性の高まり」に直面していると指摘。資本水準は「適切」だが、利益増加に伴い配当が増加するため警戒が必要だとし、「調査対象銀行の2024年の予定支払額は1000億ユーロ近くに達し、ここ数年で最高額となる」と説明した。
EBAは銀行の不動産、民間信用、投資ファンドなどのノンバンク金融仲介機関(NBFI)に対するエクスポージャーも精査。「構造的かつ循環的要因が商業用不動産市場に亀裂を生じさせている」と指摘した。
域内銀行の不動産関連エクスポージャーは過去10年間で40%増加し1兆4000億ユーロに達し、主に中小銀行のエクスポージャーは自己資本の何倍にもなり、景気後退の影響を受けやすくなっていると指摘した。
EBAによると、23年12月時点でNBFI部門は銀行発行債務の4分の1以上を占めており、複数加盟国では、NBFIによる家計や企業への直接融資や民間信用の伸びが「急速に加速している」という。「不動産市場の低迷は市場の安定性にも大きな影響を及ぼす可能性があり、この分野に大きく依存するノンバンク金融機関に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘した。
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