1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

焦点:米FRB当局者、9月利下げの必要性で一致も根拠はさまざま

ロイター / 2024年9月4日 7時23分

ほんの2カ月前まで、ほとんどのFRB当局者は9月17日─18日の会合で金利を引き下げるとは考えていなかった。しかし、パウエルFRB議長が年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、政策を調整する「時期が来た」と述べた8月下旬には、ほぼ全ての当局者が同じような考えになっていた。写真はワシントンのFRB前で2018年8月撮影(2024年 ロイター/Chris Wattie)

Ann Saphir Howard Schneider

[3日 ロイター] - ほんの2カ月前まで、ほとんどの米連邦準備理事会(FRB)当局者は9月17日─18日の会合で金利を引き下げるとは考えていなかった。

しかし、パウエルFRB議長が年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、政策を調整する「時期が来た」と述べた8月下旬には、ほぼ全ての当局者が同じような考えになっていた。

主な理由は幅広いデータが一方向に動いたためだ。これにより、FRB当局者は、主な懸念事項が持続的なインフレ、労働市場の弱さ、企業や家計の財政状況の悪化、政策ミス、あるいはこれらの要因の組み合わせなのか、見通しに対するリスクを再評価する必要性に迫られた。

マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院の経済学教授で、イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会の元委員であるクリスティン・フォーブス氏は「一つの理由が皆を動かしているのではない。さまざまな人がさまざまなデータ、さまざまな指標、さまざまなリスクに注目し、最終的に皆が同じ結論に至ったということだ」と話す。

ジャクソンホール会議の合間に「優れた議長は、人々をまとめて望む結果を得ることができるが、多くの場合、異なる人々をまとめ上げるためには異なる動機を利用する必要がある」と指摘した。

少なくとも数人のFRB当局者は依然、態度を決めかねており、政策緩和を支持するかどうかはインフレ減速や労働市場の弱さを示す一段の兆候が出るかどうか次第とみられる。

しかし、大多数は9月の利下げをほぼ確実とみている。利下げ幅が通常の0.25%なのか、それとも0.5%になるのかは、今後出てくる情報で決まることになるだろう。

当局者はまだ、インフレ抑制について「任務完了」の横断幕を掲げてはいない。ただ前月比のインフレ率がここ数カ月、年率換算でFRB目標の2%を下回る中、物価上昇圧力が和らいでいると確信している。

ボストン地区連銀のコリンズ総裁は、ジャクソンホール会議の合間に行われたロイターのインタビューで「軌道がそこにあるという確信が高まっている」と述べた。

同時に、労働市場は依然として健全と考えており、インフレの影響に関する声も聞いているとし、総じて考えると利下げへの「段階的かつ計画的なアプローチ」が理にかなっていることを意味するとした。

インフレ低下への確信が強まりつつも、雇用増加の鈍化に対する警戒感は薄いという同氏の見解は、フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁ら他の当局者も共有している。ハーカー氏は先月、利下げは25ベーシスポイント(bp)で始め、「計画的な」ペースで行いたいとブルームバーグ・ラジオに語った。

<労働市場、転換点迎えたか>

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁も、同様に物価圧力の弱まりに安心しているが、雇用に関しては下振れリスクを認識しているようだ。

デイリー氏は先週、労働市場の悪化はまだ見られないと述べた。しかし、わずか1カ月前には、労働市場が下降に転じないようにすることが「極めて重要」だと警告し、もしそうなり始めたらより積極的な行動が必要になるとの見方を示していた。

デイリー氏が注視している指標の一つは、これまでのところ労働市場の冷え込みはレイオフの増加ではなく、採用の鈍化によるものであることを示すデータだ。

リッチモンド地区連銀のバーキン総裁はこれを「採用も解雇も少ないモード」と呼ぶ。ブルームバーグのポッドキャストで先月、「持続するとは思えない」と語った。

クーグラーFRB理事はジャクソンホール会議で、(労働市場は)既に転換点に到達した可能性があると指摘。実際、求職者1人当たりの求人数は、現在4.3%の失業率が急上昇する水準まで減少している。

<財界からも「行動」求める声>

アトランタ地区連銀のボスティック総裁はこれまで、今年は利下げを一度だけ行う必要があり、それは第4・四半期以降だとしていた。

他の多くの当局者と同様に、ボスティック氏もインフレ率が予想よりも速く低下するのを目の当たりにしてきた。8月下旬にはヤフー!ファイナンスに対し、雇用市場への「過度のダメージ」を防ぐために金利を引き下げたいと語った。

考えが変わったもう一つの理由は、ビジネス界のリーダーたちの声だ。「7月に何かすべきだという声を聞いた。1月には誰もそんなことは言っていなかった」という。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は、金利を引き下げるべきもう一つの論拠を示している。FRBが政策金利を5.25─5.50%に据え置いているにもかかわらず、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)価格指数は6月は前年比2.5%上昇し、前年の3.3%から伸びが大幅に鈍化したのだ。

差が拡大していることは、借入コストが実質的に着実に高くなっていることを意味する。経済が過熱している場合には適切な圧迫となるが、そうでない場合には過剰な締め付けとなると、グールズビー氏は考える。同氏が8月下旬に述べたように、雇用市場が「ほぼ全ての尺度で」既に冷え込んでいるとすれば、引き締め効果がさらに強まるかもしれない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください